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7話:前哨戦

 今日はお休みの朝を迎えた山本は優雅に朝ごはんを食べた。


 筋肉の痛みや傷跡が残ってる足が目立っている事に気づき、絆創膏や湿布を貼ったりイヤホンで好きな音楽を聴きながら演舞の練習で時間がなく、出来なかった宿題をしたりと有意義に過ごした。


「この演舞生活も終わりなのかな…。でも楽しいし、後輩にもそれなりに勇姿見届けてもらえたら嬉しいから最後まで頑張ろ…」


 職員の考えをぶっ飛ばす意を込めて山本は奮戦を誓う。


 その夜、練習のため荷物整理を行っていたところにグループ通話開始の知らせが届いたので参加をした。開始したのは守山と嘉藤だ。


「今来てる人でいいや、演舞の取材すごい事になったよ!生放送で行う事になった。だから、失敗は許されないけどやれることやろう!」


 高らかに守山は話したが、山本は疑問に思った。


「じゃあ、男子はしないの?」


「男子もするけど、女性活躍が今の時代必要としてるから私たちが今回主役だよ!だから、男子もするけどメインは私たち女子応援団だから輝けるチャンスだよ」


 なるほど、と思った。大山君にもその話は伝わってるのだなと山本は思った。


 そして続々と参加者が増えて団員全員がグループ通話に参加した。


「わぁ…通話が重くなってきたな(笑)さて、どうしようか、て言っても突然だから仕方ないか!続けまーす」


 守山が驚くのも無理はない。


 この通話は深夜1時に行なっているという事実に生活習慣どうかしてるだろ、とツッコミが入るくらいだ。ここに参加した幹部と言われる者は高部、山本、鶴海、嘉藤だが流石にやりすぎじゃないか?と思う時はツッコミ役で山本がツッコむらしい。


「カメラ何台くらいだろうね?楽しみだよ」


 高部はテレビ出演出来ることにワクワクとドキドキが止まらないようだ。通話途中に大山から山本に連絡が来ていた。その内容が、


「起きてるか?団服入らなくなった(笑)」


 流石の山本も、大山バカやろ…と思ったが、彼のダイエットに助言をいれながら練習に打ち込む形を取る。


 通話は30分後に終わり、団員はそれぞれの家で夢の中へ誘われた。


 翌朝の5時、山本は目覚めてそのまま練習場所へ行けるように軽装で着替えた。彼女は電車での通学だった為、時間が大幅にかかる。遅刻常習犯ギリギリの人でもあったので、この時期は毎朝早く起きて練習が終わった後、授業は優しい先生の前では寝てしまうという特技が身に付いた。もはや、お家芸と言ってもいいだろう。


「列車の中で聴く音楽は目が覚めるけど誰もいないから本当に開放感がある。でも、この場面を見なくなるのは少し悲しいかな…」


 体育祭での演舞を最後になる守山、山本、鶴海、高部は今まで怒られた事や、泣いた事などを思い出しながら最後まで楽しむことを貫いていた。


 最初に練習場所の学校へ着いたのは山本だ。グラウンドに一礼して太鼓の小さい物を用意したり、荷物を置いては動きを確認したりとアップを進める。その後続々と集まり、男子応援団も集合するという異様な光景になった。取材を受ける話の代表で守山が全てを話す。


「朝早い中、お疲れ様です。今日は取材の話について話すから忘れないようにね!今回、男子も一緒に取材することになりました!そして体育祭の演舞が本当の本番だけどその前哨戦という形で女子は袴、男子は特攻服に着替えてもらって本番同様にやるのでそのつもりで…。職員の考えをぶっ壊す意気込みで山本!一発気合を入れてくれるかい?」


 突然の振りに困惑したが、足軽に円陣の中心へ入る。


「おはようございます!みんなここまでよく練習してきました。取材もあるから失敗は許されません!ですが、これも青春なので苦しくても、キツくても、泣きたくても我慢して一回一回の練習に魂込めてやっていきましょう!行くぞ!さぁ行こう!」


 野球部の円陣かよって言われる気合入れだったが掛け声とともに男女それぞれの練習が始まる。


 朝の練習にはサッカー部やハンドボール部も練習することが多いが、2つの部活は応援団の練習風景を見て邪魔するわけにはいかないと思ったのか範囲を縮小して基礎トレーニングを行なっていた。


「声が小さい!もっと出来る!チンタラしてんじゃねぇよ」


「そこ!遅れたよ!バランス崩れるからもっと速く移動しろ!男子の方もヘラヘラする時間はないと思うよ」


 ついに女子から男子に文句を言い始めるという問題が起きた。大山は困惑したが、すぐに顔を変えてすまないと言わんばかりに男子も闘志を燃やす。


 放課後もその炎は鎮火することなく、超高速で全体練習を行った。その速さはまさにからくり人形が最後の足掻きをしてるようなそんな動きだ。


 そんな日々を過ごしてついに取材前日を迎える。いつものようにグラウンド全体を使った練習を行い、最後の最後まで細部を徹底した。終わった後、集合して最後の打ち合わせをした。


「男子も女子もいい面構えになった!明日は本番なので今日はよく休んで明日に備えよう。さて、明日本番だから本当は明日気合入れをしたいけど今日と明日の分を敢えてしようかな。それじゃあ奇跡の復活を遂げて練習の質が良い黒岩!かましてくれるかい?」


 守山の一言に黒岩は元気よく返事をして中心にきた。足の骨折は無かったのかと言わんばかりに動けている。


 まさに奇跡の大復活。


「こんにちは!黒岩桐乃です!私の骨折で迷惑をかけてしまいごめんなさい。その分追いつくために自分なりに追いつこうとついてきました!先輩のようにうまくできませんが、失敗を恐れることなく明日のテレビ取材と生放送頑張っていきましょう!職員の考えぶっ壊して私たちが演舞の常識を創造しましょう!」


 単純なことだったけどそれはとても力強い、彼女たちの精神が込められている。


 男子も三國を召喚して無理矢理させようと大山は送り込んだ。


「どうも!大山先輩から強引にしろと言われた三國です。明日本番だけど、僕は緊張しています…でも、女子応援団と一緒に取材を受けれるという機会に光栄でございます!大山先輩団服ギリギリ着れるようになったらしいので僕は嬉しいです!明日は職員も見に来ると思うのでギャフンと見せつけましょう!行くぞ!応援団!」


 大山からしばかれた三國だったが、団服着れるまで痩せたのは大きいと一同は思った。


 それぞれ帰宅した後、山本はいつも以上に動きを確認する。時に息がバラバラになったりとしたが、経験したことのない事を経験できる感謝を込めて先輩として頑張る事を誓った。


 体育祭だと思って明日は頑張ろう、と。


 その日、山本は崩れるかのように就寝した。足の疲労と傷、それは全ての思い出が物語る。

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