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24話:夢

 前宮が寝ている顔を取っては加工して起きた時に見せて驚かせようと計画した4人は、写真を撮って楽しく加工している。


 前宮の顔は、とても優しそうな顔で怒ってもそんな怖くないような顔立ちだった。


「優しそうでしかも寝顔が天使過ぎる。今思ったけどなみと高部さん、鶴海さんって夢は何なの?」


 唐突な質問に3人は固まったが、その質問に最初答えたのは守山だ。


「私は…今この教育委員会ってとても殺伐としてるじゃん?彼の恩師、森田先生も死んでしまったからさ。一から是正したいな」


「なみも前宮のこと好きなの?ずっと顔赤いしさ…。それに口角上がってる」


 守山の変化に気づいた山本は少し笑って話す。


 守山の夢がとても良い夢であったので、3人はその夢が叶うようにと願った。


「私は色んなものを自由に創造したいかな。今回の件で自由も何かも失われたからさ、一から自由という芸術を描きたい」


「私は理系だけど、人のために役立つようなことをしたいかな。森田さんみたいな人柄が1番だと思うし、本当に前宮に世話になったからさ」


 高部と鶴海も森田遼の影響が強かった。


 最後は山本だったが、山本は何故か泣いている。


「まゆっちなんで泣いてるのさ?もしかして、まだ傷痛むの?」


「違うよ。私にとっての夢は涼太君のことを守りたいの。でも、私で大丈夫なのかなって思って泣いちゃった…。守られっぱなしだからさ」


 山本は2人の付き合ってる証拠でもあるネックレスを触りながら話す。その涙に目覚めたのか、前宮は起きた。


「いやはや、よく寝た…。外で寝るのいつぶりかなってお前ら何してんの?そして、この状況は一体、どうしたんだ…?」


 前宮が起きた時には、山本は泣いて守山と高部、鶴海はにこやかでどう考えるのが良いのか分からなかった。


 寝顔を加工した画像を見せてその場を和ませようと守山は取り行う。


「おい(笑)僕の寝てる顔を撮るな!まぁ、寝顔フェチにとっては良いのかもしれないけどさ…どういう趣味なの?」


 泣きながら山本も笑い、いつぶりなのか分からない狂喜乱舞だった。そしてまだ復帰したばかりだったので山本の足はまだ痛みが走っていた。泣きそうな山本に前宮は足と肩を持って、お姫様抱っこをする。


 守山とその女子団員は歓声が上がった。


「やめてよ涼太君!嬉しいけど恥ずかしい…。傷口開いたらどうするの?」


「僕を信用して欲しい。もう傷は作らせない。僕がその絆創膏となるから!まゆっち!一緒に結婚して幸せにする。だから、僕に全て任せてくれないか?」


 山本はこくりと頷いて学校内でキスをする。前宮と山本の目には涙が見えた。


 大山が学校へ忘れ物を取りに来た時、2人の姿を見て隠れて写真を撮った。


「山本のこと幸せにしてやれよ…。前宮のこと支えてやれよ…」


 2人に夢と明るい将来を心から願った。2人の愛はとても深く山本の笑顔が今までの笑顔ではなく幸せで満面の笑みで涙と共に溢れている。幸せは2人が手本だと言わんばかりに。


「本当に好きなんだね、前宮のこと」


「良いカップルだわ。早く誰かと付き合いたいものだよ」


 守山と鶴海は、2人を見て息を吐くようにして言う。


 団員にいる嘉藤と黒岩は、そんな2人を見てめでたいと言わんばかりに拍手していた。


「練習も大事だけど、まゆっちの体が1番だからまずは力を取り戻すために頑張ろう。言ったはずだぜ?僕は、まゆっちの足になるって」


「ありがとう。本当にありがとう!そんな涼太君も体弱いんだから無理しないでよね。私心配になるからさ」


 お互い様な感じでやり取りをする山本と前宮はそのまま駅まで運んで帰路に着く。ありがとうと笑顔で答える山本に、前宮はうん!と頷くような感じで答えた。


 担任もいなければ邪魔な先生もいない、本当に夢のような状態だった。


「前宮がいなかったら応援団出来なかったかもね…。流石だよね。付き合って結婚のプロポーズとこの短期間で色々あったけど、絶対守る。守られっぱなしも黙ってられないからさ。だから、そこは分かってよね」


 電車に揺られながら山本は前宮に心の中に誓う。


 家に到着すると、早速部屋にあった錘を全て捨てた。山本は、自分自身を傷つけない事を約束した。


「もう、この錘とはおさらばしないとね。ここに飾るのはあのネックレスかな。大切な日とか、前宮と会う時にだけつけよう」


 山本は首に御守りとしてつけていたネックレスを飾り、前宮に託された心の御神体を部屋を見渡せれる場所に飾る。山場を越えたので今度は学校の準備をした時、下村充から誰になるのだろうと考えていた。


 応援団肯定してくれる先生はいるのだろうか?山本の頭の中はそれだけで押し潰されそうになっていた。

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