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2話:仲間

 春休みに入った山本の学校は親睦会の計画を立てた。


 内容はボウリング大会をしようということ。総勢30人越えの大会となり、会場になるボウリング場を貸し切るための手続きを山本が行った。

 やがて親睦会当日となり、最初に会場入りしたのは女子応援団団長の守山と男子応援団団長の大山だ。2人は練習内容を議論しては笑ったり真剣な眼差しで話をしていた。


「ここの時の手が傾いてるから伸ばすといいのでは?」


「それもそうだけどもうちょっと柔らかくしたほうがもっと形良くなるよ」


 団長同士の話し合いは高部、鶴海、山本が来るまで続き、その3人も到着してあとは後輩を待つのみとなった。


「2人とも早いね。お!なみじゃん!やっほー!何話してたの?」


 山本のテンションに大山はお疲れのようだ。何があったのかコンビニへ走り甘い炭酸飲料をがぶ飲みした。


 それを見た守山はドン引きする。


「そんなに飲むと団服着れなくなるよ?」


 守山のストレート発言に大山は吐き出そうと必死になったが遅かった。


 そんなやり取りの中、男子応援団の他の仲間たちが来た。


「大山先輩!今来たよ!そして後輩も僕が責任持って全員連れてきた!13人の少なさは楽だね」


「そんな本音を言う必要あるんか?副団長。初めて会うだろうから挨拶しとけ?」


 スリムでイケメンな男の子が女子応援団の団長含む4人の前に現れた。


「初めまして!男子応援団副団長の三國幸治郎です。女子応援団の皆さんにお会いできて光栄です」


 彼は大山が信頼できる時期団長の三國幸治郎。大山の意思を受け継ぐ男気が持ち味でその演舞は、応援団へ入りたがる人たちの心を揺さぶる。まさに学園の男子が憧れる青春の鏡だ。


「三國!良くやった!守山、山本、高部、鶴海!この集団こそ今年の男子応援団だよ。イケメンやろ?」


 大山の一言にハテナを隠しきれない守山たち。なぜならみんな団服着る為に体作りを基本としてるのに大山だけそれを気にしていないからだ。

 男子応援団が集合すると女子応援団後輩も到着した。しかし、女子副団長は泣きながら現れた。守山は気にせずに男子応援団に紹介を開始する。


「大山君、三國君!この集団こそ今年の女子応援団だよ!1人泣いちゃってるけどみんな可愛いでしょ?」


 負けずに対抗してきた。男子は目がハートになって中にはフラフラしてる人もいた。


 集まったことだからという事でボウリング会場へ足を運ぶことに。三國は泣いてる女子副団長に寄り添った。


「大丈夫か嘉藤?お前何で泣いてんだよ…。せっかく一緒にいれるんだから笑顔になりなよ」


「ごめん…。今回の騒動私のせいだからってずっと責めてたの…。こんな事になるなんて思っていなかった」


 泣いていた彼女は嘉藤美保。守山の時期女子応援団団長となる実力が光る団員。高部のアドバイスによって形も綺麗になり、同じクラスの人らを魅了するほど可愛い団員だ。三國とは入団した時に付き合い、学校以外で会うのはこの親睦会が初めてだ。


 ボウリング場はとても広く、人が応援団以外誰もいなかった。声を揃えて一同は山本に言う。


「確か、山本が予約したんだっけ?こりゃデカいな…。完全に貸切じゃん」


「こんな感じのボウリング場初めて!今日はこれから体育祭の応援団演舞を行う者同士として楽しみましょ!騒動があった事については水に流して、親睦を深めることが目的なので楽しみに楽しんで明日からの過酷な練習をやろう!それじゃ、あとは自由で…」


 団員はそれぞれの重さのボールを徐ろに選び、投げた。


「なみ〜!一緒に投げよう!4人の幹部ってやつで練習内容を考えながらさ!」


 山本の提案に守山は頷いた。


 そんな中、大山は1ゲーム12球全てストライクの最高スコアを叩き出す。一同は唖然としたが、三國は開いた口が塞がらないという言葉が似合うほどの状態だった。


「全球ストライク投げた方〜。景品がありますのでロビーにお越しください!」


 アナウンスによって三國を強引に連れてロビーへ向かった。


「全球ストライクおめでとうございます!こちらは1年間無料パスポートになります!」


 得を超えたお得なパスポートに大山は満足な表情だった。そんな喜ぶのも束の間、時間は過ぎて行き男女共に仲良くなる。山本の企画は大成功で幕を閉じた。


 帰宅後高部、山本、守山、鶴海はグループ通話を始めた。


「今日はお疲れ様でした〜!明日から練習だけどどうしよっか?一応賛成派の先生に許可を得るために今連絡してるよ」


 守山の行動に一同は尊敬の意を表す。数分後に答えが来た。


「みんな!やったよ!許可降りたよ!」


 これで男女ともに練習が出来る、と一同は胸を撫で下ろす。演舞練習に賛成してくれてかつ、校内での練習許可を下ろしたのは学園長の下村充だった。


「それじゃあ、練習内容最初は動画見てもらったからさ、それを見たという前提で進めようよ。間違えたときは流石に1回目だから大目に見ておこうよ。私たちも最初は下手くそだったし、足の皮擦りむくまで練習して先輩の前で泣きながら練習したしさ…」


 守山の考えに鶴海が一つ効率の良い練習方法を他の3人に提言した。


「一度見てるなら通してやって出来具合で分けるのはどう?4人いるから4段階評価してさ、それでうまくした方が個人的に効率いいと思う」


「でもどうやってその評価するの?私たちがするにしてもさ、何をポイントにするのが良いの?」


 高部はその考えに対して突っ込んだ。だが、守山は自信満々に


「私が全部見るよ!総員24人だからそれ相応に評価する。ダメって人はそのまま除外して各自練習開始にしちゃおう」


 名付けてサバイバル演舞と言った方が正解だろうか…。


 ただ、男子の方はどうするのか分からずじまいに終わった。通話終了後守山は動画を女子応援団のグループチャットに送信した。山本は演舞の動き確認を姿鏡で見ては動画を確認して涙を流しながら練習をした。


 そして、その小さな体に重くのし掛かる重圧に弱音も続く。


「2年間もやって最後まで失敗せず出来るかなぁ…。指導者共に自分を伸ばす最後の戦いでもあるし、職員の凝り固まった考えをぶっ壊さなきゃな。私たちが勇気と感動を与える応援演舞を見せるんだ!」


 自分を鼓舞しながら動きを確認して、満足したところで山本は夢の中へ誘われた。疲れてたのか数秒で熟睡した。


 明日からの練習を楽しみに…。

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