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18話:別れ

 前宮の冷静な指示に動き、対応することになった両応援団だが大山と守山は下村充がいる校長室へ走る。


 そこには前宮含む、応援団に所属する人間の退学証明書が用意されていた。


「おい、あんたは一体何しようとしてんだ?全ての退学理由が教育委員会への反発だと書いてるが下村校長、何様なつもりで書いてんの?」


「大山君、今は手を出さないで。まずは校長先生がなぜこんな手荒なことをしたのかを聞こうよ。下村校長!何故こんな事をするのです?」


 大山を落ち着かせた守山は下村に投げた。下村は椅子に腰掛けて足を組んでいたので見下すようにして言う。


「君らは応援団を何だと思っている?そんなに大切な物なのか?自らの人生を棒に振ってまでしたいのか。まず先に言おう、テレビ局を入れた理由はこの学校の知名度を上げるためだけだ。そして君たちのカミングアウトにより多数の先生方が辞められた、私の学校職員を何だと思っている?なぁ?六田」


 六田が隠れていてその横には2人の数学教師、三武慎二と一嶋徹が出てきて2人を取り押さえた。男子の大山は三武と一嶋、女子の守山は六田が腕と肩を抑えるようにして動けなくした。


 守山はもうこれまでか、と覚悟した。


「やめて下さい!女子生徒に対して不用意に触れるのは校則ではダメですよね?触らないでください!いやっそこは…だめっ!」


 何と六田は、守山のブラウスボタンを一つずつ切り外していた!


「今すぐ応援団を解散しろ!ここでお前の下着と体を晒されるのは嫌だろ?今ここに前宮、山本、鶴海を連れて来い。じゃないと30分ごとに守山のブラウスのボタンを切り外す」


 なんて愚劣なスケベジジイだと息のしづらい大山は思った。


 下村の指示により携帯を取り出す事を許された守山は山本に電話をかける。すぐに繋がった。


「まゆっち!聞こえる?下村が黒幕だった。そして六田に捕まって30分ごとに私のきているブラウスのボタンを切り外すと言われた!私に構わず森田遼さんのところへ行って」


「嘘でしょ…森田遼さんからは下村が黒幕だというのは前宮から教えてもらったよ。私が伝えるタイミングが合わなかった。ごめん…。そんななみを見捨てるわけにはいかない!なみの体はそんなふうにして捨てて良いの?なみの体はなみ自身のものだし私たち女子応援団の真由と高部、鶴海のものだよ。だから、そんな諦めないでよ!バカ!えっ?前宮、今はやめ…」


 通話の相手が山本から前宮に変わった。


「守山さん、通話をスピーカーモードにして。もしもし、今そこにいるのは下村校長と六田先生でよろしいですね?そして大山君がそこにいるはずなのですがあなたたちだけではないようですね。守山さんのブラウスのボタン切り外そうとしている六田先生、いや、クソエロジジイと言った方がいいか。か弱い女の子にそんな変態なことしてんじゃねぇぞ!そして、大山を抑えてるやつ名を上げろ!森田遼に会った後すぐにぶち殺す。今日退院した前宮涼太ですがこの命お前らにかけて1人残さずぶん殴る。六田、ブラウスのボタン切り外して彼女の見られたくないものまで晒しやがったら殺すだけじゃ済まないからな。覚悟しとけよ害悪老人集団!」


 前宮は大激怒。


 彼は女子応援団の頑張りを知っていたからこそのことで、山本が女の子として触られたくないところを触られたりしたという相談を聞いてたからこそ激しく言えた。前宮は奥の手を使い出す。


「山本、鶴海、高部、バスだと絶対遅れる。六田の事だ、絶対に間に合わないとみて守山の服を脱がそうとしている。今持ち合わせが12万持っている。すぐタクシーへ乗って行こう。帰る際に森田遼さんも乗せて阻止しよう」


 前宮の手持ちに3人は一瞬固まったが、すぐにタクシーを呼ぶ。


 市役所へ大急ぎで行ってくれとドライバーへ指示した。


「ねぇ前宮。そんなにお金持ってて大丈夫なの?流石にその金額落としたらさ、他の人に取られてやばいでしょ?」「ん?これはダミーだよ。本物はこれ。こっちは30万ぐらい入れてるよ。株って本当にガチ勢になると稼げるね」


 アイスを奢ってもらった3人はあの時、高いやつ頼めば良かったと後悔した。市役所へ到着するとすぐに支払う。


「ドライバーさんありがとうございます。お釣りいらないから!僕たち急いでるので」


 何から何まで大物すぎる前宮だったがすぐに市役所のエレベーターに乗り、森田遼の部屋へ向かう。しかし、山本は泣いていた。あの時話せばよかったと後悔した。


 だがしかし、前宮はつかさず話した。


「真由さん。後悔しても仕方ない。君は君なりに今するべき事をしよう。守山のことが気になるのだろう?大丈夫。ブラウス破られて下着まで晒しやがってたらすぐぶん殴って守山の服一式手に入れてやるから、心配しないで」


 山本は怖いのか前宮を抱きしめていた。


 森田遼のところへ行くと、そこには多くの職員と思われる人間が溢れている。


「ヤバくない?これ、何で多いの…?」


 鶴海が思った事を話すと同時に前宮の姿を見た職員は襲いかかってきた。


「貴様のせいでお前の通う学校を辞めたのだぞ!覚悟しろ」


「何が言いたいんだこの野郎」


 前宮は荷物を山本に預けて構える。1人ずつ殴り、蹴飛ばした。


 そんな前宮を見て3人でも特に山本は惚れていた。


(かっこいい!!こんな事まで出来るなんて…。私、彼の彼女になって良かった!)


「言っとくが僕は今日退院したばかりだ。それでもこれくらいは朝メシ前だからな。あんたらのような老人が束になっても、すぐに殴り殺せる。僕に何のようで襲ったか知らないけど、後ろにいる3人の女の子に指一本触れさせない。消えやがれ、この下劣が…ブァっ」


 戦闘が終わった後、前宮の口は血まみれだった。山本がすぐにハンカチを渡してくれたが、血は止まることを知らず吐血する。


「前宮!」


「前宮君!」


「涼太!」


 3人は前宮の看病を行った。


 職員の1人が何かを飲ませたせいでやられたようだ。前宮は手元から薬を取り出して飲んだ。


「すまない、この肺炎はどうやら分かってての事かもしれない。守山がやばい、急ぐぞ」


 森田遼の元へ駆け込む。そこには冷たくなった森田の姿がいた。4人はそのまま立ち尽くすことしかできなかった。


「嘘…だよね…?死んでるふりだよね?」


「森田…先生?目を開けてくれませんか?こんな時に冗談はやめてくださいよ!ねぇ、起きてくださいよ!」


 山本と前宮は声をかけたが、目を覚ますことはなかった。前宮が戦ってる間に、殺害したのだろうと推理した。そして4人は泣き崩れた。


 山本は机の上にあるプリント集を見つけてそれを手に取る。するとそこには驚く事が書かれていた。


「前宮君!みんな!これを」


「これは…森田先生。この情報を守るために先生は僕たちのために命を…分かりました。これを持っていきますね先生。ゆっくり休んでください…」


 前宮はそう言い残し、タクシーへ乗り急ぐ。学校では、守山のブラウスがすでに7つのうち下から6つも外されて後1分というところで最後のボタンが切り外されそうになっていた。


 守山は、前宮たちとその3人が必ず来る事を信じていた。


(大丈夫…。仮に全て切って見られてたとしても下着はホックを外さないと見れない。でも恥ずかしい)


 六田は、守山の最後のボタンに結ばれている糸を少しずつ切り始めた。


「さぁ守山、降参しろ!お前の大事な体を見られたくなければ解散を命じろ」


「みんな…助けて!」


 守山は大声を上げる。六田は不気味に笑う中、校長室のドアが吹っ飛んだ。


「間に合ったようだな。こいつはギリギリだったな…。六田!離せよ、守山から離れろよ」


「学生如きが何が出来る」


 隠し持っていたスタンガンで痺れさせようとしたが、前宮は避けてスタンガンごとぶっ飛ばす。


 六田はその衝撃で歩けなくなった。


「変態の割には体が軽すぎだ。守山!これに着がえろ。新しいブラウスだ。山本と高部と鶴海は見られないように壁を作ってやれ」


 そう言って3人は守山の周りに集まり着替えるところを見られないように隠した。


「みんな…ありがとう。とても怖かった…まゆっちが女の子として触られたくないところ触られたって話してた時に、初めて恐怖感じた。もうダメかと思った…。でも必ず来るって信じてた。ありがとう」


「なみ、泣くなよ!まだこれからだから。新しいブラウスに着替えて!前宮のプレゼントだから」


 前宮は大山を抑えている2人の教師を睨みつける。大山以上に怒っていた。


「ふん、お前も前より強くなってるじゃないか。退院した日に無茶なことやるなんてお前…中々だな。てか、血の跡が付いてるぞ。市役所で何やってきたんだ?」


「少しだけ、暴れただけさ。森田遼さんは死んじまってた。あんたら2人と反対派の人間のせいでな…」


 前宮は涙を流しながら語った。


「森田先生はな、僕の心を再生してくれた恩師なんだよ。それなのに、下村、一嶋、そして三武。お前ら許さんぞ。着替え終わった守山とその3人は今すぐに退学証明書を集めろ。破り捨てるなよ?それを教育委員会に突き出すにはちょうどいい証拠だからな」


 着替え終わった守山は一気に集めて破れたブラウスに包んで持った。新しいブラウスなので、彼女の服が純白で綺麗だった。


「ふふっ、君も新しいの着れば可愛いじゃないか。すぐに下がってろ。こいつら全員ぶん殴るからな。大山。少し待ってろ」


 前宮は一つ、呼吸をして三武の腹部と一嶋の顎を殴る。


 大山を救ったが、また吐血した。


「おい、ここからは俺がやる。前宮は休め!これ以上したらお前が死ぬぞ!」


 大山は決死の叫びをしたが、従うことはなかった。山本は机の上に置かれていたあの書類を前宮に投げ渡す。


「前宮君!これを!」


「サンキュー!これでカスどもの処分ができるぞ」


 前宮は書かれている罪状を読んだ。


「下村、六田、一嶋、三武はこの日をもって解雇通告を出す。生徒への侮辱及び考えの否定をした疑い。教育委員会へ提出」

「あのクソ野郎やりやがったな?幹部にいるからって調子に乗るなよ!」


 なんと4人は前宮に襲いかかってきた。しかし、避けようともせず全ての攻撃を受けようとした。


「これで良いんだ…山本。あとは任せたぜ…」


 目を瞑って死を覚悟する。しかし、何も起きないと思い目を開けたら大山がカウンターを仕掛けていた。


「お前だけ先に逝こうとするなよ。山本を悲しませたら俺が許さんぞ」


「お前らしいな。流石団長だ…拘束してあとは警察に…」


 出血が多かったのか前宮は倒れた。しかし、目が覚めると病院で山本が手を握っていた。


「目が覚めたのね…!良かった…」


「心配かけたね…大丈夫だよ。なるほど…輸血か…」


 前宮と山本は、互いの無事を確認してキスした。山本の話によるとあの後4人は逮捕されて永久追放と決まったとのこと。


 そして、山本のシワが残るブラウスを見ながら言った。


「守山のブラウス買ったから今度は真由さんのブラウスかな…(笑)」


「ありがたいけどそれは遠慮しとく。私が着てるものは君との思い出や練習による、なみたちの汗や涙が滲みているものだから簡単には貰えない」


 2人は前宮の寝るベットへ横になって笑いながら話した。

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