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9話:仕返し

突如正門に多くの報道陣が溢れかえっていた。何事なのだろうか…?

 朝から学校の正門はテレビメディアで賑わっており、流石の山本もビビったのか裏門から学校へ入る事に。守山も同様に他の団員も巻き込まれないために裏から入った。


 朝の練習が終わる時はもう取材班は1人もいなかった。


「これってもしかして私たちが反対派の職員を敵にしちゃったのかな…?」


「んー…どうだろう。それはあり得ないけどそもそも生徒の考えを真っ向から反対する先生も先生でどうかと思うけどね」


 高部と守山は練習終了後、その話をしていた。それぞれの教室に入っていつもならホームルームが始まるはずだが肝心の担任が時間を過ぎても現れない。特に山本の担任は30分も遅れて入室した。担任からは話の内容は、職員会議で話していた事と今日の取材班について議論されていた事だった。


「皆さん遅れてしまい大変申し訳ない…。今日みんな見たと思うけど学校の正門、凄いことになってたと思う。これは応援団団長の発言で起きた事なんだけども、このクラスにて参加してる人は大山と山本か!この後、大会議室に来てくれ。三浦先生とその反対をしている先生方から苦情と演舞の活動停止について話されるだろう。今日の授業はその件もあって休校にする。だから今日はみんな気をつけて帰ってくれ」


 大山と山本は2人で話しながら大会議室に向かう。


「いや俺たち何かしでかしたか?演舞を反対する職員の差別的発言がおかしいからテレビでその事実を話しただけなのに…」


「いやそれなー!おかしすぎるよ。三浦ってやつまじ頭のネジ狂ってやがる…みんなで反対派の先生方を論破しよ!」


 軽快よく大会議室へ入室したが、そこには三浦以外に多くの反対派が座っている。数えると12人で、よく見ると担任もまさかの反対派の人間だったことに気づいた。


 呼ばれて来たのは守山七海、大山誠也、山本真由、鶴海言葉、高部千聖の最上級生のみ。席にそれぞれ座ると三浦が昨日行われた生放送の話について破茶滅茶に話した。


「昨日の生放送は私たち応援演舞反対派の12人が見ていましたが、何を思ってあのような発言をしたのか説明してくれませんか?大山と守山。私たち先生をコケにするつもりで批判したのですか?それとも、この演舞というカビの生えた事をするために医療大学合格トップの我が校に入学したのですか?そうじゃないよね?夢あってここに来てるはずだからさ…。今ここで演舞解散の宣言をして下さい。そうしたらあなたたちの行ったことは無かったことにします」


 三浦の話はあまりにもおかしすぎるのでたまらず両団長は立ち上がった。


「いやおかしいのはそっちでしょ!そもそも学校で勉強するというのは当たり前ですけれども、女子応援団に所属していた全ての先輩はこう言いました。学校での思い出と青春は勉強に変え難いものだ、と。あなたが言ってるのは自分たちの功績を上げるために例えるなら、青春というダイヤモンドを先生たち自らが生徒の答えを聞く前にハンマーで砕くことに等しい!それがなぜ分からないのですか?私たち両応援団は青春もそうですが、その為に頑張ってる人もいるのですよ!理解していないあなたたちがおかしいと私は思います!」


「僕は男子応援団団長として、女子の事は深く知りませんしテレビに出演したのは守山からの誘いで僕たちは出ました。その当日は彼女たちの話を聞いて、なぜ演舞に対して反対しているのか理解出来ませんでした。僕も同じように先輩方からは思い出を大切にするように言い残して巣立っています。仮に思い出の場所と行事を勝手に奪うとしたら、その先輩はあなたたちを一生恨むでしょうね。僕たちの応援団、男子女子の解散は私、大山誠也が認めません。処分を検討してるのであれば山本真由、守山七海、高部千聖、鶴海言葉に処分を科すのではなく僕が彼女たちの代わりに受けるつもりです。それでもダメなら教育委員会に提出しますよ」


 大山と守山は三浦に向かって対抗する。


 今まさに、女子応援団と男子応援団が言葉の演舞をしているという展開だ。退く気配のない抗議は1時間も経過した。三浦はでっち上げのレポートを5人に配った。


 それは黒岩桐乃について書かれたもので辞めた六田がしてきたお得意のものだ。しかし、内容を確認すると守山率いる女子応援団だけでなく、大山率いる男子応援団までが黒岩に対して無理をしてでも参加させようと唆した、と記入されていた。


 大山は、はらわた煮え繰り返った状態でいつ暴力を行使するか時間の問題。


「何も返答がない、という事で解散を認めるという事で良いですね!それでは5人にこの書類に日付と名前をフルネームで書いて下さい」


 三浦は用意していた解散容認と書くためのボールペンを一本ずつ渡した。大山はペンを取る、と見せかけて座っていた椅子を反対派の先生目掛けて強気で遠慮なく投げた。


 生徒指導の先生に拘束されようとしたが顔面を蹴飛ばす。敬語を話す事なくマシンガントークを大山は三浦に向けてぶっ放した。


「貴様ら何を勝手に承諾無しに話進めてるんだよおい?演舞の解散を認めろ?だからここに口約束ではなく名前と日付を書けだぁ?黒岩桐乃の骨折は女子男子が唆したからかぁ?どこにでもいる老害が口答えしてんじゃねぇよカスが!2年前まで容認していたくせに、今年になって演舞を反対するなんてあんたらの頭沸いてるだろ?今ここで血を見たくなければ全て容認しろ。さもないとあんたら老害の骨が何本あっても足んねえぞ?」


 大山の勇気ある行動に4人は驚いた。そしてなぜ男子応援団歴代団長は大山に託したのかよく分かる場面でもあった。あの心優しい大山誠也が先生に向かって牙を剥くなんて誰が予想していたのか。しかし、生徒指導の先生1人がそろりそろりと背後から近づいて大山の腕を抑えようとした。


 三浦の合図とともに大山の上に馬乗りになろうと反対派の先生が一気に大山の動きを抑えようとした。


 4人は大山の行動に心を打たれたのか、無我夢中に行動する。そして気づいた時は、先生を殴って血祭りに浴びてやったようだ。特に守山の白いブラウスは先生たちの鮮血が飛び散っていて、相手の先生はダウンしていた。山本は同じクラスメートの大山を助けるべく、大山の体に乗り掛かって来た先生を鶴海と一緒にドロップキックして跳ね除ける。彼女たちの制服はスカートであるが丸見えなんか関係ない、と言わんばかりに大会議室は徐々に大喧嘩室へと変わった。鶴海も同様に乗りかかろうとする先生に涙ながらに足を蹴り飛ばしてすっ転ばしていた。


 やっと大山の姿が見えるとすぐに山本が駆けつける。


「大山、大丈夫?これはひどい…全身に打撲がこんなにも…高部、鶴海!私たちの荷物を持って学校の外へ逃げて!」


「そんな事してまゆっちはどうするの!?」


 高部が大きな声で言ったが山本は笑顔で、


「大丈夫!すぐに追いつくから。手元の携帯に2人の居場所が分かるアプリあるからそれで場所を見て行くから!」


 高部と鶴海は山本を信用して大混乱の中、5人分の荷物を持って逃げる。守山は12人の先生のうち8人を血祭りにあげていた。山本は大山を救うべく、手を握って引っ張り上げた後走り逃げた。


 守山も残りの4人を歩けないようにした後、2人の後を追ってすぐに逃げた。一同は高部の家に集まって大山の傷を癒すことにした。


「大山君大丈夫?あんな怖い先生に向けて椅子投げるなんて…さっすがだよ!それに、なみもあんなストレートパンチする所初めて見た。かっこよかったよ!本当に先代の団長がなみを選ぶ理由もこういうことかもね」


 山本は話すと守山はニコッと笑顔になった。タコ殴りにやられた大山は、顔面の眼球部分が腫れて腕を抑えられていたからか関節が痛むと言わんばかりに触ると、ビクッと反射していた。


 大山は、山本に向けてお礼を言う。


「助けてくれてすまないな。元々は俺が始めてしまったものだがそんな中、高部も鶴海も守山も山本も参戦してくれてありがとう。こりゃ、名誉の負傷ってとこか(笑)守山のブラウス血まみれみたいだが、動けてるって事はやりやがったな。流石すぎて頭が上がらん…そして、山本は助けてもらう前に担任をドロップキックで蹴飛ばしていたな?流石だ。助けてくれてありがとう!」


 ボロボロになった手を山本に差し出す。


 山本は涙を流すどころか咄嗟に大山の手を握って2人はお互いの無事を確かめ合った。高部の母親が部屋に入って大山の傷を確認した。


「こりゃ酷いね…。手足が動いてるって事は骨折はしてないな。だが一応整形外科に行こう。大丈夫!あの老害野郎とは鉢合わせしない病院に向かうから安心して!」


 高部の母親もニコッと笑顔で話す。


 車に全員乗り込むとナビに搭載されているテレビを見た。なんと、その喧嘩の中継が行われていた。


「先程この学校で生徒と先生が殴り合いをしたと情報が入りました。中継繋がってるので繋げてみましょう…」


 見覚えのある正門の前に女性キャスターがマイクを持って話していた。


「はい、こちらなんですけれども昨日女子応援団と男子応援団の取材が行われており、生放送で演舞を披露していたみたいです。そこで学校職員が演舞をするなと反対されていたらしく、訴えるために取材を行なったそうです。えー今警察の方が学校に入って出てきました。12人でしょうか?逮捕されて送検されています!現場からは以上です」


 大山が主犯になるのかなと山本は思ったが、何も連絡が来ないため今は大山の治療を行うことに専念しようと決めた。病院に到着するとストレッチャーに乗せられて大山は隅々まで検査を受ける。


 その間守山たちは身バレしないようにマスクをしたり、制服バレないようにリボンと校章等を外した。


「この話し合いってどうなるかな…。明日学校行けると思う?」


「いやぁどうなるかな…でも保護者会行われて休校説も高いよ」


「そうだけども練習が怖いな…どうするべきか考えなきゃね…」


「まぁ、まずは大山君の様子を見ましょう。動けているからとは言えどこか痛めてるかもしれないからね」


 4人はコソコソと話をしながら大山の検査結果を待つ。担当医師は高部の母親含む5人に結果を報告した。


「テレビでも生中継されていたけども君たちがしたわけか…なるほどなるほど…。まぁ検査結果ですが、打撲と少し肩の筋肉を痛めてしまってるようだね。でも、入院になると他の先生から見つけられる可能性もあるから自宅療養ということにします。僕が訪問診察するのでご安心ください!」


 話し合いの行われるはずが大喧嘩へと勃発した演舞はどうなることやらと思ったが守山たちも、殴りに殴りまくったりドロップキックした時にカウンターを食らった傷が少し気になっていたのか担当医師は看護師を呼んで事情を知った上で治療費なしで彼女たちを手当てした。

 

その後、学校職員のいない時間を見計らって5人は高部の母親が運転する車で送ってもらった。


「高部さんのお母さん本当にありがとうございます!」


 山本はお礼を話すと、高部の母親はグーサインをした。案の定休校が伸びて1週間の期間となった。

職員との話し合いは決裂した。そして、怪我もしてしまった山本たちだがそれ以上に大きな心の傷を負った。果たして、演舞はどうなるか…

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