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The final eternal 6

奉天の日本総領事館。

山下からの報告を電話で受けている明石少将。

「ああ、分かったよ少尉。安倍さんにはよく言っておく。」

山下の突き上げにたじたじの明石に苦笑する安倍清満。

手にしている雑誌、「新世紀」の表紙のアオリ。

『ヴァン・ヘルシング教授、かく語りき』

恨めしそうに清満を睨む明石。

「ああ、英国総領事館には私からよく言っておくから、卿のへそを曲げさせんようにな。」

怒鳴る山下を無視して受話器を置く明石。

「やかましいっちゅーにっ!少尉風情がっ!」

引き笑いの清満に突っ込む明石。

「くく...」

「笑いごとでなかとよ、安倍さんっ!」

「は、弟子が出過ぎたマネをば...」

両手を頭の後ろで組み、椅子にふんぞり返る明石に答える清満。

「まあ、あのスチュアート卿の懐に入り込むとは、大したもんですな。」

「はは、それが彼の奥義です。」


儒教の寺院。

寺門を唖然と見上げる一行。

「派手だな。」

「派手ですね。」

門をくぐる一行。

境内を走り回る子供たちを横目にジョージに問いかけるカンジ。

「で、どこに...」

「どこに?誰がだい?」

思惑を見透かされて慌てるカンジを尻目に、子供たちに囲まれる箒を手にした修行着姿の

アートに目をやるジョージ。

「あ、いや...」

「あ...」

ジョージを見据えるアート。

「...」

無防備にアートに近づくジョージを気遣うアンとカンジ。

「え?」

「スチュアート卿?」

ジョージの問いに不遜に返答するアート。

「アート、か?」

「ふ、油断したなジョージ。」

ジョージを庇い立つ「オリハルコン」を手にしたアンと式札をかざすカンジ。

「罠、なのかっ!?」

慄くアートに拍子抜けの一同。

「わっ!待て、私だよ、アーサーだっ!」

「なんだよ...」


霊廟で事情を一同に話すアート。

「先代は伯爵家を出奔した。」

「平民の娘と駆け落ちだったんだがね。」

「だが、その娘とは折り合いが悪くなって離婚した。」

アートの言葉に気を留めるカンジ。

「商社に勤めていた先代は社命で上海に来たんだ。」

「そしてこの地で日本人の娘と一緒になり、この子が生まれ、私は転生した。」

「っ!」

アートを問いただすジョージ。

「誰に聞いたんだ、それを?」

「先代が包み隠さず、『この子』に打ち明けてくれたようだ。」

「それが『この子』の日記に綴られていた。」

アートの話に同情するジョージ。

「だが、ある日、押し込んだ強盗に両親は惨殺された。」

「この地に身寄りのない、『この子』はここに預けられたってわけだ。」

「気の毒にな。」

アートの詮索を躱すジョージ。

「君らじゃないだろうな?」

「私は英国諜報部とはかかわりはないし、彼らの仕業とは思えないね。」

「デメリットこそあれ、メリットはない。」

ドヤ顔で語るアート。

「いずれにしろ私は約定通り、転生に成功した。この子を憑代にな。」

ジョージの嫌味に反論するアート。

「迷惑な話だ。」

「迷惑なのはこっちのほうだ。私は自らを封じる際に、皆に復活の日を告げた。」

アートのツッコミを受け流すジョージ。

「皆、笑ってたじゃないか、そんな日までこの世が存在することはあり得ないってなっ!」

「そうかぁ?」

マジなアートの言葉に戸惑うジョージ。

「だがな、一番泣いてくれたのはお前だ。」

「私のためにな。」

「...そう、だったかな。」

照れ気味にジョージを見るアート。

「転生してから、周りがやたら騒がしくなった。」

「だが、こうして正面切って会いに来てくれたのは、お前が最初だ。」

ジョージに右手を差し出すアート。

二人を祝福するアンとカンジ。

「事情を聞いてからだが、可能な限り力を貸そう。古い友人としてな。」

「感謝するよ、アート。」

「っ!」

祝福しつつ思案しているカンジ。

転生?覚醒?この少年は...?

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