The final eternal 3
翌朝、食堂に向かうジョージとアンがロビーに降りてくる。
それを見つけて声をかけるカンジ。
「スチュアート卿...」
カンジをからかうアンに、苦笑いのジョージ。
「なんだ、さっさと逃げ出してるか、先に朝食食ってるかと思えば...」
「律儀にお出迎えとはね?」
カンジの返答にコケるアン。
呆れ笑いのジョージ。
「え、朝食はいただきましたが...」
「なっ!?」
「はは...」
カンジを誘うジョージ。
カンジの答えにキレるアン。
「まあ、何か言いたそうだな。食後のお茶でも飲みながら付き合いなさい。」
「そ、それもいただきました。」
「もういいよっ!」
天ぷらと塩鮭定食に箸をつけながら、真顔で話すカンジ。
「自分は、スチュアート卿に提案があります。」
カンジの図々しさに憤るアンと苦笑いのジョージ。
「で、なんでまた食ってのよっ!?」
「で、なんだね?」
塩鮭を箸で口に運びながらカンジの話を聞くジョージ。
「自分たち軍部は、いや、日本国政府はスチュアート卿と同じ目的で動いております。」
「ほう?」
厚切りのベーコンをフォークで口に運びながら、訝しげにカンジの話を聞くアン。
「自分の任務は卿の動向を探ることですが、本隊はすでに別任務で行動中です。」
「ふん。」
米粒を口の端につけつつ、真剣に語るカンジに吹きだすジョージ。
「これからどのような障害があるやもしれません。」
「日本は英国の同盟国です。ここは手を結んで...」
「ぷっ!」
呆れ笑いのジョージの言葉に狼狽えるカンジ。
「はは、その物言いは君の上司やモトジローに吹き込まれたことじゃないな?」
「君の独断かね?」
「え、いや、その...」
ジョージの嫌味に憤るカンジ。
「まったく、胆の据わった少年将校殿だ。」
「しょ、少年ではありませんっ!」
カンジを問い詰めようとするアンを制するジョージ。
「だったら、あたしたちの目的が何かを...」
「アン、それはいい。」
アンを諭すジョージ。
「でも...」
「少年将校殿のブラフだよ。」
反論するカンジをスカすジョージ。
「ぶらふ?いえ、嘘ではありませんっ!」
「よし、君のレイズに降りよう。」
ジョージの啖呵に絶句するカンジ。
「ただし、私はミッションの内容を一切、君たちに教えない。」
「それでも手を貸すというのであれば、協力しようじゃないか。」
「うっ!?」
海老の天ぷらを挟んだ箸でカンジを指すジョージ。
「英国総領事館にもコマはあるが、日本ほどではない。」
「それを借り受けられるというのであれば、私も本国と話をつけることができる。」
海老の天ぷらを口にするジョージ。
「どうだい、このカードは?」
「ううっ!?」
様子を伺う、食後のお茶を飲みながら新聞を広げている紳士。
紙面。
「JoJo Won in Massachusetts」
ドヤ顔のジョージに絶句するカンジ。
「さっそくモトジローに、いや、君の上司に許可を得てきてくれたまえ。」
「ぐっ!」
日本総領事館。
職員室の電話でカンジと会話する山下奉文。
カンジの言葉に驚く山下。
「なんだってっ!?」
大声で会話する山下を気にかけてている他の職員たち。
「スチュワート卿はそれでいいと言ったのか?」
職員たちの反応に気付き、小声になる山下。
「しょうがないだろ?最終的な判断は明石閣下に仰ぐが、今となっては...」
「スチュワート卿に同行するしかないだろ?」
しかめっ面で会話を終える山下。
「ああ、定期的に『メール』で連絡頼む。」
置いた受話器に手をかけたまま、怒りをあらわにする山下。
あのクソガキがっ!安倍閣下の門弟じゃなけりゃ、今頃銃殺だぞっ!