表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5%の冷やした砂糖水  作者: 煙 うみ
16/33

6.1 吐息

1年前。私が地元の友達の訃報を受けたのは、別の友達からの電話だった。



「時間に余裕のあるときに電話したいから教えて」



小学校の同級生からの個人メッセージはどこか切迫していて、


既に投げられていた1件の不在着信に、不吉な予感で心拍数が跳ね上がったのを覚えている。



たわいのない内容についてこんなことはしないだろうと思った。


それほど頻繁に会っていたわけではないにしても、私たちは長い間ずっと仲が良く、1つ前の季節に皆で集まったばかりだったし、


彼がもうこの世にいないなんて、報される瞬間まで私は全く思っていなかった。


一方で、連絡をしてきた同級生と私との間に、共有すべき最も悪いニュースがあるとしたら、


それは彼のことなのだろうという根拠のない確信だけが、思考の上にうっすらと膜を張っていた。



「・・・落ち着いて聞いて。伊吹(いぶき)が死んだ。おそらく、・・・こんなの信じたくないけど、ほぼ100%、自殺だろうって・・・。」


なんで、と聞き返した。


なんで、死んだの。ってまず聞きたかったのに。情報量が多いよ。


「理由は・・・わからない、ってさ・・・」


電話越しの声が、電波のせいか半泣きのせいか、酷く震えてがさがさとしていた。


そうか、わからないのか、と思った。


私たちは一生、理由のわからない死を抱えて生きていくことになったのか、と。




あの電話を折り返した夜から数日間の記憶は、混沌と溶け合っている。



覚えていても仕方ないというのに、今でもたまに、あの夜の夢を見る。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ