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5%の冷やした砂糖水  作者: 煙 うみ
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5.1 消息

溶け込めない自分が、悪いのだと思う。



初夏、コロナウイルス流行第一波が束の間の鎮火を見せた折、新入研修医の歓迎会が密やかに開催された。


週刊誌に見つかったら笑えないオチが待っているからくれぐれも、という暗黙の了解のもと粛々と始まった研修医のみの小規模な会だったが、アルコールが入るにつれて誰しも気持ちが高揚し、場は問題なく盛り上がっていった。



同期には、素直で真面目な子が多い印象だった。


1つ上の先輩は、運動部でキャプテンをしていたような体育会系。



主たる話題は、レジャースポーツ、最近話題の邦楽。


怖い指導医、可愛い看護師。


彼氏彼女はいるか。結婚の予定。


流れてゆく会話に私はいまいち口を挟めずに、運ばれてくる料理を食べ、薄いサワーをすすって時間を過ごしていた。


今シーズンのドラマの話がひと段落したところで、私は座敷から立ち上がった。



「松永ちゃん、お手洗い?」


「ん、タバコ休憩です。誰か外行って吸う人いません?」



何も考えずにVAPEをポケットから取り出したら、正面に座っていた先輩の顔が露骨に強張った。



その瞬間、あ、やっちゃったなと背筋が寒くなった。



思わず座敷に集まった全員を見渡す。


女の子はみんな、茶髪の長めボブか、ゆるくパーマのあたったロングヘア、綺麗な黒髪のストレート。


私みたいなメッシュのウルフヘアなんて1人もいなかった。


華奢なチェーンのネックレス。首を傾げるたび揺れるジルコニアの連なったイヤリング。

膝下丈のAラインスカート。


不意に、息が苦しくなる気がした。




此処はもしかしたら、私が居るべき場所じゃない。



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