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第五話 パーティー解散?

早速のブクマありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

 俺とユイが出会って、パーティーを組むことになった次の日、俺とユイは朝から急いでヒカリさんのところへ向かった。


「「ヒカリさん!」」


「なに?朝から突然。2人とも、もうしっかりパーティーじゃない。仲良しね」


「このわがまま女となんてパーティー組めませんよ!解散です解散!」

「この分からず屋となんてパーティー組めませんよ!解散です解散!」


 俺とユイはヒカリさんに向かってそう叫んだ。


「で?どういうことか説明してもらえる?」


 俺たちをなだめたヒカリさんはそう聞いてくる。

 本当はこんな話なんかしないですぐに解散といきたいところだけど、それだとヒカリさんに申し訳ないからちゃんと話そう。


「事の発端は昨夜、ヒカリさんが準備してくれた部屋に向かってからのことなんですけど……」


 俺は、昨夜のことを思い出す。



 昨夜、部屋に着くと俺とユイは今後の方針について話すことにした。

 パーティーを組む上で、今後どういうことをやっていくのか。それによって、当然活動方針は違う。

 ダンジョンに潜るなら、それなりの装備を整える必要がある。闘技場の制覇を狙うなら情報が大事。

 手軽に始められるのは、今日みたいにギルドで依頼を受けること。俺は、それを推した。


「絶対にギルドでの依頼をこなした方がいいって。安定した収入が生活には一番大事だ!」


 そう主張したんだけど、ユイは賛成してくれなかった。


「イヤですよそんな地道な作業。せっかくパーティー組んだのに、そんな私1人でも出来ることしても面白くない!絶対ダンジョン!ダンジョン制覇こそが冒険者の基本!」


 その時点で、ユイのバカさに気づくべきだった。

『狂化』使ってなくても、コイツはバカだ。


「いいか?俺たちはお前の『狂化』に頼った戦い方しかできない。しかも、それを使うと確かに力は伸びるけど頭は悪くなる。今日やってよく分かった。あれじゃあ複雑な作戦の実行は無理だ」


 さっき、『狂化』の後に『平均化』を使ったとき、考えられないぐらいに思考力が落ちた。それも当然のこと。俺の賢さが半分まで下がったんだからしょうがない。

 問題は、その前にどれだけ複雑な作戦を立てたところで、『狂化』の後には実行できないってことだ。

 今、2人だけのパーティーだと、攻撃の手段は限られてる。

 2人の力だけで対処できる敵ならいいが、そうでない場合は『狂化』に頼らざるを得ない。

 そうなったとき、あの思考力のなくなり方はヤバい。

 今回は直線的に突っ込んでくる闇猪(ダークボア)だからなんとかなったが、そういう魔物ばかりではない。

 考えて行動する魔物に出会ったら、すぐにやられる可能性だってある。そうなったとき、逃げるという決断があの思考力でできるかもよく分からない。

 とりあえず、色々試してみて安全策が分かってから危険な場所には挑むべきだ。

 その辺のことを簡単に話してみたが、なかなかユイには伝わらない。


「難しいことは分かりません!でも、私はとにかくダンジョンに挑みたいんです!それで有名になりたい!」


「有名になろうとして死んだら元も子もないだろ!」


「死にませんよ!私たちのスキルの相性は最強ですから!」


 ユイは全然話が通じない。

 こんな状態じゃ、パーティーを組んでやっていくなんて無理だ。


「もう少しちゃんと考えろよ!もう、今日は色々疲れたから俺は寝る。お前は好きにしろ!」


「この分からず屋!私は起きたって考え変えませんからね!私も……ちょっと湯屋に出かけてから寝ます!」


 それから、それぞれの立ち入れる境界線を決めて、2人での過ごし方を考えてからそれぞれ寝ることにした。


 それから朝、同じ話をしたものの、結局平行線。

 俺は譲る気なんてないし、ユイも同じ。

 そうして、ヒカリさんに泣きつきに来たというわけだ。


「話は分かった。そういう話なら、私からの提案は一つ。とりあえず簡単なダンジョンに挑んでみましょう」


「やったー!さすがヒカリさん!」


 ……は?なんだよ、ヒカリさんもユイ側かよ。


「なに言ってるんですか?ヒカリさん。俺たちを死なす気ですか?」


「コウヘイ君、最後まで話は聞いて。別にいきなり大変なダンジョンに挑む必要はないでしょ。幸い、この街の近くには10階層しかない簡単なダンジョンがあるでしょう?」


 確かにある。というか、大抵ギルドがある街には近くに簡単なダンジョンがある。

 そこで初めて冒険者登録した人はそこの低階層で普通に戦えるようになるまでは他の任務は受けさせてもらえない。

 ただ、10階層まで突破するのはB級ぐらいの実力がなければ厳しいはずだ。

 大抵の冒険者は最後まで行かずに、5階層ぐらいが突破できるようになったら次の任務に向かう。


「つまり、そこで練習しろと」


「そうね。それと、最近は6階層より深くに行く冒険者が少なくなってね。正直言うと、出没魔物の調査任務とか地図の作成任務が滞ってるの。だから、うちのギルドとしては、引き受けてくれる冒険者を探してたところなの」


 なるほど。6階層以降の地図作成と魔物の調査依頼をこなしながら、10階層まで突破しろと。

 確かに、あそこならすぐに死ぬことはないだろうし、厳しくなったらすぐに浅いところに戻れば問題はない。

 俺の意見とユイの意見の間を取ったものとしては優秀……か?


「分かりました。ヒカリさんの提案で行きます」


「やったー!ヒカリさん、ありがとー!ダンジョン!ダンジョン!」


 なんで、そんなにダンジョンに行くのが嬉しいんだ……。


「ただ、危険だと思ったらすぐに帰ってくるからな。それでいいか?ユイ」


「もちろんですよ!私も死にたくないので!でも、私たちですよ?簡単に突破できちゃいますよ!」


 そんな簡単にはいかないと思うんだよなぁ……。


 それから、すぐにダンジョン探索の依頼書を持って門へと向かう。

 ダンジョンは昨日採集に行ったところよりも近いから、すぐにたどり着ける。それに、途中で魔物と遭遇することもないだろう。


 ダンジョンにたどり着くと、外は人でごった返していた。


「やっぱ、いつも通りここは人が多いよな……」


「そうですねぇ。まぁ。初心者用だから仕方ないですよ。私たちの新米パーティーとして、頑張りましょう!」


 ユイがそんなことを言っている。

 新米パーティーねぇ……。

 新米が、当たり前のように魔物から素材を簡単に取れるための魔道具を持ち歩いたり、これだけ容量の大きい魔道袋持ってたりはしないもんだと思うけどな……。

 俺も、これだけの装備をそろえるようになったの、2年は経ってからだった気がする……。


「細かいことは気にしないのが一番ですよ!コウヘイさん!」


 ユイは軽いな……。


「とりあえず、まずはお互いの装備を確認しておこう。必要なら買い揃えたほうがいいものもあるだろうし」


「えー。初心者用ですよ?そんなに気にしなくてもいいんじゃないですか?」


「そういう油断が……」


「あーすみません。分かりました分かりました」


 そういう、うるさい小言を言われたみたいな反応、やめてほしい。ちょっと傷つく。


 とりあえず、俺の装備を広げる。まずは、普段使っている小刀と、投擲用のナイフが10本ほど。俺は、前のパーティーでは基本的にサポート役だった。だから、近距離での攻撃よりも遠距離での攻撃を主体としていた。そのせいで、投擲に関しては少し自信がある。

 ただ、今回はそれだけってわけにもいかないだろうから、普通の剣も持ってきている。後は……。


「え?これ、なんです?初めて見ました」


「これは、魔剣だよ」


「え?魔剣。すごい……」


 前の勇者パーティーにいた時には、攻撃魔法を使えない俺とアカリには魔剣が渡されていた。魔力を少し込めるだけで、簡単に魔法の効果が得られる装備だ。これが結構役に立つんだよね。


「これは、雷撃刀っていってさ。魔力を込めると雷魔法の効果が得られる。大抵の魔獣は電気には弱いからな」


「へぇ。私にも使えるのかな?」


「魔力は普通にあるんだろ?」


「はい。『狂化』を発動するときに少し使ってますから」


「じゃあ、たぶん使えるよ。まぁ、ダンジョンの中で試してみよう」


「そうですね」


 他は消耗品だ。回復薬や解毒薬なんかはある程度持ってきたし、携帯食料や水なんかもある。とりあえず、一日は潜っていられる準備をしてきたつもり。


「準備万端じゃないですか!」


 ユイの方は……。

 消耗品類はほとんど俺と変わらない。ただ、料理にはこだわりがあるみたいで、タイミングがあれば、ダンジョン内の魔獣を調理してくれるらしく、その調理道具があった。それは少し楽しみだ。

 装備は、いつも使ってるらしい愛用の剣のみ。まぁ、手入れはちゃんとしてるみたいだし、大丈夫だろう。


 基本の確認が終わったから、最後に大切なことを確認しておく。


「とりあえず、強い敵が現れるまで『狂化』は禁止。使うときは必ず俺が指示したとき。いいか?」


「はい!へーい!ダンジョン!」


 なんか、テンション高いな……。まぁ、パーティーとして初めての行動だからいいか。

 よし!挑むぞ!初心者用ダンジョン!


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