表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

よろしくお願いします。エタるかもしれませんかその時はご容赦を。


──下野国(現栃木県)・宇都宮にて


「皆のもの、出陣じゃっ!これより那須を討つ!」


「ははっ!」


「承知致しました!」


 宇都宮の城内は今、とても物々しい雰囲気に包まれていた。というのも、ここ宇都宮の領主である宇都宮氏の領国に、近隣の大名那須氏が侵攻したからである。そのため、宇都宮氏の本城であるここ宇都宮城は戦の準備に追われていた。


「ちちうえ、いくさですか?」


 戦に向け甲冑を着込み支度をしている当主らしき男のもとへ、一人の幼児がトコトコと歩いていき、そう言った。それに対して男はニコリと微笑むと、


「そうだ、戦だ。今から父は土地を奪いに来た悪人を退治しに行くんだぞ。見てろぉ、伊勢寿丸!今に父上が那須の賊共を残らず討ち取ってくれるからなぁ!」


「がんばってください、ちちうえ!てきをぜんぶおいはらってください!でも、ゆだんたいてきですっ。いきてかえってきてください!」


 子の親を気づかう態度に、男は大きく笑い声を上げ、こう言う。


「ハァッハッハッハッハ!伊勢寿丸よ!心配するな、父上は必ず戻ってくるからな。……よしっ、支度はできた!行くぞ!我に続けー!」


 そういうと男は家臣らを伴い、出陣していった。その様子を子供は、館の中からじっと見ていた……。





 まあ、その子供、伊勢寿丸ってのは俺のことなんだが。


 いやー、残業続きで家帰ってきたらそのまま玄関でぶっ倒れて、気付いたら赤ん坊でびっくりしたよ。何しろ後々周りを見てみたら時代劇か何かでしか見ないような服着た人達がこっち見てるんだもの。驚かない訳がない。外からの情報も全然ないし、自分が今どういう状態なのかも分からないし。

 それで混乱しまくって、そして冷静になってから気付きましたよ。俺、転生したんじゃね?って。


 それで俺は必死に祈ったわけよ。「どうか平和な時代でありますように!江戸時代中頃ぐらいでおねがいします!」って。まあ、俺の願いも虚しく、


「御屋形様、北条が攻めて参りました!」


 との親父の家臣の声。うん、はい。戦国時代確定ですね。え?もしかしたら鎌倉かもって?まさか。だったら突然攻めてくるはずないもん(思い込み)


 てな訳で、見事に予想(悪い方)が的中した俺こと伊勢寿丸君。成長して部屋を動き回れるくらいになってから屋敷内をうろちょろうろちょろしまくって情報を集めた結果、以下の事が分かりました。


・ 転生したのは宇都宮氏。親父が「我が宇都宮家は……」って言ってた。


・ 苗字が表すように宇都宮に領土がある。


・ 絶賛北部の那須氏、南の北条氏と紛争中。


・ 一族が分裂中。一部は那須にくっついてる。


・ 家臣内も分裂中。壬生なんちゃらが権力持ち過ぎ。下剋上起こしそう。


 てなもん。特に最後のがやべぇ。壬生なんちゃらって奴、絶対親父がいなくなったら裏切るって。まだ俺ちっこいから、傀儡待ったなし!


 と言う事で、親父が合戦行くときには毎回、


「生きて帰って来て下さい」


「油断大敵です」


っておこさまスマイルで言ってる。今回も戦に行くらしいので一応言っておいたが、どうか生きて帰って来て来てくれよ、傀儡なんかに落ちぶれたくないからな!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ