表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

学園祭


 喧騒のせいで君の声を忘れた。耳を澄ましたところで君の声は聞こえない。聞こえたとして、それは幻聴だ。


 学年カラーの赤と学級カラーの青で作られたミサンガに目をやる。これを渡すことは告白と同じ意味を持つ。そして、渡さなかった、あるいは渡せなかった場合は、キャンプファイヤーの時に燃やす。ぼくの学校にはそういう風習がある。


 燃え盛る炎へミサンガを入れる人たちと、その光景を遠くから眺める人たち。ぼくは前者だ。空に渡せなかったミサンガを手のひらに乗せてみる。しかし、ぼくはミサンガを燃やすことはできなかった。気持ちすらも灰になってしまいそうで怖かったからだ。


 七夕の願い事は叶わなかったらしく、空は切ない表情でミサンガを火の中へ投げた。


 でも、臆病なぼくは何かが起きそうな次のページを破れないようポケットにしまった。くだらない日常ですら変わって行くというのに、ぼくは何かに怯えて立ち竦んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ