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七夕


くうと両想いになれますように。』


 短冊に書いたは良いものの、それを飾ることはできなかった。書いたという事実だけで自分を満足させ、力強く消した。


 彼女の書いた短冊を見た。両想いになるというぼくの願いが叶えば、彼女の願いは消える。


『好きな人の願いが叶いますように。』


 ありきたりな願いだと笑われたっていい。自己犠牲、偽善者扱いもなんてことない。ぼくと君は天の川を越えても出会えない。一年かけて一センチも近づけない。連絡先を交換しているとはいえ、七年も経てばぼくたちの糸は廃れているに決まっている。


 さようならすらも言えずに明日を迎え、おはようも言えずに時は過ぎる。歩く道は、輝く星々は、全てフィクションだ。


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