表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

死神と連絡を取ろう

 武はその足で風見の元に向かうと蕎麦の束を配る。


「あら、ありがとうね?」

「いえ、ところでなんでカレーが美味しく感じたんでしょうか?」

「ああ。今井さんのカレー食べたのね?」

「はい。美味しく頂きました」

「なら、良かったわ。でも、その辺は私も詳しくないの。あの死神ちゃんに聞いたら?」

「え?でも、どうやって?」

「この家はなんでも出来るのよ?電話を出す位、簡単だわ」

「あ、電話か……」


 武が納得した様に頷くと風見が微笑む。


「死神ちゃんは良い子なんだし、受け入れて上げなさいな」

「そう言う感情は湧かなくて……」

「大丈夫よ。恋は独占欲だけから来るものだけとは限らないもの。

 この子を守りたいとか、支えたいって祈りみたいな物でも恋は成立するわ」


 そう言われて、武は観覧車でのやり取りを思い出す。


 あの時、自分はどんな気持ちで寄り添ったのかを……。


「うふふっ。参考になったかしら?」

「はい。ありがとうございます」


 武は頭を下げると風見に礼を言って、その場を後にして自室へと戻る。


 そして、部屋に念じて電話を出す。


「ーーって、黒電話!?」


 武は思わず、叫んでしまう。


 それは昭和で活躍したダイヤル式の黒電話その物だったからだ。


 電話は出てきたが、電話番号もアドレスも知らないのにどうすれば良いのか、武は悩む。


 試しに受話器を取って耳に当ててみるがツーッと言うノイズ音だけで何も聞こえない。


 仕方なく、武は受話器を置こうとすると電話のダイヤルが勝手に回り出す。


 そして、何処かへ連絡する。


 武は再び、受話器を耳に当てるとコール音を聞く。


 トゥルルルル……。


 トゥルルルル……。


『もしもし、此方、死神相談所です』


 黒電話が繋げた先は死神相談所なる場所だった。


『もしもし?』

「あ、もしもし、自分、北条武と言います」

『ああ。半永久天国行きになった北条様ですね?どうかなされましたか?』

「あの、赤毛で白いワンピースを着た死神の女の子に会いたいんですが……」

『ああ。貴方を天国に誘った死神ですね?』

「はい。その死神です」

『少々、お待ちください。今、お繋げします』


 相談所の死神がそう言うと懐かしいクラシックの音楽が流れ、武は数分待つ。


 そして、あの死神の声が響く。


『もしもし!武さんですか!』


 相変わらず、あの死神の少女は元気そうだった。


「もしもし、さっき振り」

『さっきじゃありませんよ!現世では既に十五年は経過しています!』

「え?そんなに?」

『はい!でも、安心して下さい!もう少ししたら、そちらへ戻りますから!』

「そう。それならなんだけど……その、良かったら、また何処かへ行かない?」

『え?そ、それってデートのお誘いですか!?』

「うん?そう、なるのかな?

 正直、よく解らないけど、ただ、君に会わなきゃならないと思って……」

『わ、私も武さんに会いたいです!』


 武の言葉に死神は電話越しでも解る位、興奮する。


「じゃあ、君の仕事が終わった時にでも会おう」

『はい!武さん、待ってて下さい!』


 死神は明るく笑いながらそう言うと電話が切れた。


 武は受話器を置くと一息吐いてベッドに横になる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ