残酷な殺戮ゲーム
「君たち、ゲームは好きですか?」
薄暗く、何もない空間に呼び出された約30人は、突然頭の中から話しかけられて焦る。それなのに俺はなぜか落ち着いていた。
「ど、どこから話している?」
「すみません。その質問には答えられません。しかし、少なくともあなた達の近くにはいないでしょう。」
「俺たち、何でここにいるんだ?あんたが連れてきたのか?」
「それもおいおい説明しますので、まずは私の話を聞いてください。」
声の主は、質問には全てあやふやに答え、そして自分の意見を言い出した。
「」
異世界?異世界ってゲームとかであるあれのことか?
僕は疑問が募るなか、このままだと埒が明かないと考えたので、すぐさま違う質問をした。
「な、何でここに僕たちが呼ばれたんだ。? り、理由が欲しい、です。」
陰キャすぎる俺は声を震えさせながら質問をした。
何故そこまでして質問したかと言うと、これは今僕が一番気になっていること。そして、これからに関わる質問だからだ。
「あなた達は、自分の命を粗末にしました。 あとは知りませんよ。 と言うか多分それだけです。」
「なんだよそれ、? お前が呼んだんじゃないのかよ?!」
「まさか、私は案内人。ここに来た人にこのゲームの説明をするの。 だから私は知らない。」
「お前がさっきから言っている、ゲームって何なんだよ?」
周りにいた人達が、管理人?の人に質問攻めしていた時、やつは埒が明かないと思ったのか、本題に入ったようだ。
「君たちは今からある部屋に1時間閉じこもっていただきます。そしてそこで自分の能力について知ってもらわなければなりません。」
「能力ってなんですか。?」
「能力とは、君たちがこのゲームで生き抜くための手段です。」
え?、生き抜く、ということはつまり…………
「お前、それじゃあ死ぬ可能性があるってことか?! それっていわゆるデスゲームなのか。?!」
「そうです。あなた方はこのゲームで負けると死にます。」
「はぁぁ、ふざけんなよてめぇ、舐めてんのか?」
【あなた達は!!!】
突然の大きな声と、奴の謎の威圧感に、粋がってた人達もみんな生まれたての子鹿のように足をブルッっとさせた。
「もう命を粗末にしました。なのでここで死んでも文句は言えないですよね?。」
そうだ僕は死んだんだ。それがなんでこんなところに?
「ではゲームの説明をします。」
誰もあいつには逆らえないと、自覚した僕らは黙ることしか出来なかった。
「君たちにはチームになってもらいます。」
と言うことはチームはもう1つあるのかな?
どう言うゲームをするんだろう?
沈黙の中、一人でゲーム内容を淡々と話していく。
「もちろん、と言うことは相手チームもいます。
そして、得た能力で、相手チームの人と
【殺し合ってもらいます】。」
ビビった僕はゴクリっと喉を鳴らす。
「そして今からあなた達は自室で1時間籠もってください。
自分の能力を試すもよし、小休憩を挟むもよし、
脱出を試みようとするもよし、まぁ、無理でしょうけどね。」
どんな部屋なんだ、そこは?
「では、分かりましたね。
………………沈黙はYesです。それでは頑張ってください。ご健闘を祈っております。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ここは、自室か。?」
コンクリートで固められていて、1つの空洞しか空いていなかった。そして、部屋には、机、紙、座布団が置かれていた。空洞の外は真っ暗だ。
「これ、脱出は絶対に無理だわ。」
僕は座布団の上に座り、紙の中を見た。
すると、
「なんだこれ?創造? 名前は、
【ワールドクリエイト】
『想像力を働かせて物を創造する』 何か弱そうだな。」
これが、僕の能力のようだ。
ちょっと何か作ってみるか。
「想像力を働かせるんだよな。じゃ、
ムンムンムンムンハッッ」
掛け声はダサいけど、成功はしたようだ。
「まあ、ちゃんとしたものを作れるとは思ってないし、
何ができてても文句は言わないでおこう。」
見た目は【それ】そのものだが、あとは中身だ。
じゃ、ちょっと使ってみようか。
「パアァッンッ!」
あまりの衝撃に後転3回連続を初めて成功した。
「こ、これは本物だ。!こんな簡単に作れるなんて。」
もしかしてこれ最強能力なんじゃないか?
勝利を確信した僕は休憩する事にした。
そんな自分への傲りが、仇となることも知らずに。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
一時間後
突然平原みたいなところに転移させられた。
「それでは、30vs30のサバイバルゲームを始めるよ。
ルールは簡単、
相手の体についているバッチを取るか、殺すだけ。
最初に人数がいなくなったほうが負け。
それではスタートッ!!」
始まったか。まずは、自チームの人と合流しなきゃ。
「ぐわああぁぁ!」
「そんな事をしている暇はなさそうだ。」
すぐ近くで人の悲鳴が聞こえ、やるしかないと決意した僕は、すぐさま戦闘準備に入る。
「き、きた!」
相手は剣?のようなものを持っている。
これなら僕は。絶対に負けない。
僕が持っているのは、M61バルカンと言う凄い連射力に優れている銃だ。
僕は、昔からの銃マニアで銃のことに対してはなんでも知っていた。なので基本の銃の構造なら理解していた。
しかし、
「あ、あれ、?手が動かない。?! 動け、動けよ。」
手が、恐怖で、動かない。まるで金縛りにでもあったかのようだ。
そりゃそうだ、相手も人間だ。殺すのに抵抗があるのにきまってる。 僕は引きこもりの中学生だぞ。
だけど、それにしても、
【かっこわりい】
情けない、こんな死に方嫌だ。
死にたくない。だけど、震えが止まらない。
引き金を引けない。
もう、だめだ。
【死………】
「クロックザストップ!!」
その声を聞いた瞬間僕の意識はとんでいった。
そして意識が戻った頃にはさっきの景色はなく、
洞窟の中にいた。
「大丈夫やすひろ、?!」
「き、君は梨花! 助けてくれたのか。? でもどうやって。?」
「私の能力は【クロックザストップ】、時間を止める能力よ。」
「と、とりあえず、た、助けてくれてありがとう。」
「どういたしまして。!」
クロックザストップ凄く強い能力だ。
この能力で助けてくれたのか。
それにしてもさっきは、
『あぶなかった。』
あと一秒遅かったら死んでいた。
さっきの緊張からの脱力で、体に力が入らない。
「それより、さっきのやつは?」
「置いてきた。まぁ、興味もないし。」
「そっか。」
「それより、やすひろの能力ってなんなの? さっき銃もってたけど。」
「あぁ、僕の能力は創造、簡単に言うと物を作れる能力だ。」
「おぉ、強そう、! それって無条件で作れるの?」
「ああ、だと思う。」
調べてないから分かんないけど。
「すっごい強いじゃん。私なんか一回つかったら、30分使えないからね。」
「そうなのか?」
「そう、だからあまり実用的ではないの。」
それでも十分強いと思うが、
「それで、これからやすひろはどうするの?」
僕、僕は……
「ここに残るよ。あとは多分みんなが倒してくれる。」
「どうして?」
「怖いからさ。僕は弱い。 僕はビビリだから、あんな死と隣り合わせの場所なんかにいたら多分次は絶対に死ぬ。それどころか足手まといになる。」
「そんなこと無いと思うけどな。」
「違うんだよ! 俺は死ぬのが怖い。 だから無理なんだよ。! それに何でそう思うんだよ。」
「だってやすひろはさ、やれば出来る子でしょう。」
「…………何を根拠に………」
「根拠は無い。っけど多分やすひろは、やれば出来る子くんだよ。それに、死にそうになったらあたしが助けるよ。」
「り、梨花は怖くないのか?」
「怖いよ、怖いけど、………【何かしないと何も成せないから】ね。 でも死ぬ気は無いから安心して。
だから多分大丈夫だよ。!」
でた、面倒見良いやつの特徴、
昔親からもやられた根拠のない慰め。
前までは、うざくて仕方なかったが、今では、
……………それで十分だ。
「ちょっと行ってきていいか?」
「ダメ。」
え?
「何故?」
「私も行く。」
「そうか、よし、じゃあ行くか。!」
僕は決意を決めたと同時にこの子を絶対に殺させたくないと思った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「目標はあのバッチだ。」
「オッケー!」
多分相手は間違いなく躊躇せずに殺してくる。
戦闘経験があるのか分からないが、
さっき僕に躊躇せず刃を向けてきた。
「もう一度言うが、死にそうになったら逃げろよ。 俺も逃げるから。」
「分かってるわよ。 ………それより、見つけたわ。」
「あぁ、」
『また剣をもっている?あいつの武器は剣だけなのか。?』
そんな事を考えていると、あいつが行動を開始した。
やっぱり殺しに来た。
たが、ニ対一だ。
それにこっちには作戦がある。
『作戦はこうだ。
まず僕があいつを銃(M870ショットガン)で牽制する。 怯んだところでバッチをとるんだ。 バッチをとったら出来るだけ相手から離れるんだ。 その間に僕は(M61バルカン)で弾を連射しながら逃げる。 それに、まだ梨花は能力が使えないんだろ。?』
『うん、だから頼むね、やすひろ。』
僕は、学校を引きこもってたとき、サバゲーをめちゃくちゃやっていた。 有名なサバゲーで一時期ランク1位まで上り詰めた事もある。 そんな僕のAIM力は最強と言っても過言ではい。
この作戦ならいける。
そう確信した僕は、作戦を決行する。
「パアアアァン。」
「よしっ今だ。」
「うおりゃあぁ、ぐはっっッ!
あ、あれ?ゴホォォ!」
その時僕の中で時間が止まった。
「な、何が起きて?………」
僕は、梨花が刺された事も分からずただ呆然と見守る。
その男は、梨花を刺したあと、
心臓を一刺しで梨花を………【殺した】。
その瞬間俺の時間がまた動きだした。
僕は何で出来ると思ったのだろう。
イジメられて自殺した人間の底辺なのに、
何で自分を傲ったのだろう。
何もできるはずないのに、
命の恩人さえも殺させてしまった。
僕があの時、一緒に残ろうって言っていたら
こんなことにはならなかったのだろうか?
梨花の能力が使えるのようになるまで待てばよかったのだろうか?
なんで最後手が動かなかったんだ。
僕は決意したんだ絶対に殺させないって。
そんな事を考えたって無駄だ。
梨花は、【死んだのだ】。
「信じたくない、信じたくない、信じたくない
嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だあああぁぁぁ!!!」
僕は、信じられない現実を受けいられずに、ただ『発狂』する。 そんなとき、これまでの僕の経緯が脳裏によぎった。
『俺は何もできない。足手まといになるだけだ。』
「クソぉ、くそ、くそ、」
『おい、ブタ、お前泣きながらグラウンド3周してこいよ。w』
「クソぉ、クソぉ、梨花俺はやっぱり何も………」
梨花、やっぱり俺は何もできなかったよ。
【何かしないと、何も成せないからね。】
その言葉が頭をよぎった瞬間、俺を何かが突き動かした。
「うおおおおおォォォォ、!!」
「パアアアァン!」
「ぐはっッ!」
相手の心臓に、一直線に僕が放った銃弾が突き刺さる。
こうして僕工藤康弘は、初めて人を殺した。