お店散策2
「にゃお」
「お、ここ?」
ユキ姉を追いかけていった先は露店街だった。確かゆうちゃん曰く、このあたりはNPCのお店もPLのお店も混じってるんだってー。元々自由に露店が開ける場所って設定だから、NPCでもPLでもどっちでも大丈夫らしい。まあまだ始まったばっかりだし、PLのお店は少ないだろうけど……。うーん? こっちに何か用事があったのかな? おっ1個の露店の前で止まった。あの人はお店の人?
「わーネコちゃんまた来てくれたんだー!!! お? 首輪買ってもらったのかなー? うりうりーかわいいやつめー!」
「にゃーお! ごろごろ……」
ん? 知り合い……かな? めっちゃユキ姉のこともふってる……。えっと……あの人を集中して見ると……おお、ゆうちゃんの言ってたマーカーってのが出てきた! マーカーの色が青ってことはPLみたい。いつの間に……。
「にーにゃーおー」
「あれ? 飼い主さん?」
あっ気づかれた!
「あーえっとはい! あなたはユキ姉の知り合いですか?」
「ユキ姉……ああ、この子の名前なんだね。そうそう、少し前にここの店に来てくれたの」
少し前って事は……図書館行ってた間にかな? いきなり仲良くなってるなんてコミュ力高いなぁ……。
「この子召喚獣だよね? もう召喚獣持ってるってことはβテスター? いやでもその格好からすると違うのかな?」
この格好……あー。初期装備の旅人シリーズだもんねぇ。普通の人だと最初のお金で装備整えるみたいだしこれはないよねぇ。それにβテスターだと一部の装備が持ち越しできるんだっけ? なんかゆうちゃんがそういうこと言ってた気がする。どっちにせよ初期装備のままなのは珍しいって感じかな? まあ私は所持金のほとんどユキ姉召喚のために使っちゃったけどねぇ……。必要経費なのだ。
「あ、えっと、私は今日から始めたばっかりです!」
「にゃーお」
「そかそか。私はナナセ。一応βテスターやってたの」
おーすごい! βテスターさんなんだー! えっとナナセさんだね!
「わーそうなんですねー! あ、私はのんです!」
自己紹介は大事だよね!
「のんちゃんかー! あ、これもなにかの縁だと思うしフレンド登録しない? このユキちゃんもかわいいしさー」
「わっいいんですか?」
わーい! 初めてのフレンドさんだ!! ユキ姉のおかげだねー!
「いいよいいよーはいじゃあ申請するよー」
えっとまずはメニューを開いてっと……あっこれがフレンド申請の通知かな? ぴこぴこしてる。えっとここをタッチして……申請を許可するっと。これでできたかな? あっフレンドの所にナナセさんの名前入ってる! OKだね!
「登録できました!」
「おっけー。確認したよ」
向こうにもちゃんと申請受理届いたみたい。よかったぁ。初めてだし失敗しなくて安心したよー。
「うーん……にしても君よくバカとか考えなしとか言われない? 魔法書買って絶対金欠でしょ」
「あ、あははー」
残金100Gだもんねー……反論できないっ……ゆうちゃんにもよくこのおバカっ! って言われるからね……。ううっ今の状態見られたらまた言われそうだっ! ないしょにしとこうっと……。
「図星かー」
いえす……図星です……。
「何かお金になりそうなものあったら買おうか?」
お姉さん優しい! でもねー……
「それが初期配布の物以外売れそうなの何も持ってなくって……」
魔法書買って図書館行ってお店見ただけだからなぁ……。まだお外も行ってないし……。
「あっちゃー……何か当てとかはあるの?」
「一応スキルの調合、合成、錬金は取ってるのでポーションとか作れたらいいなーとは思ってるんですけど……」
でもたしか調合と錬金はキットが無いとダメって聞いたような……?
「合成はまだしも調合と錬金はそれ用のキットないとできないよ?」
「はい……」
やっぱりー……はい。反省してます……ゆうちゃんにも最初から召喚しないでお金貯めてからにしときなさいよって言われたもんなぁ……。にゃんこにつられて買っちゃったけどさぁ……。うう……金欠つらい……。
「はー仕方ない……お姉さんが一肌脱いであげましょう!!」
およ? お姉さんがなんかえっと……メニューいじってる? で何かいっぱい出してきた!? これはっ!?
「こっこれはっ!」
「初心者用調合キットと初心者用錬金キット! さらにおまけにポーション瓶もつけちゃおう!」
「こんなの貰えませんよ!」
いやいやいやお姉さん気前良すぎですしこんなの貰えないですって! 買ったらそこそこお値段しますしっ!
「いーのいーの! β時代に生産技能に片っ端から手を出した名残だから! いやー、βで一定のレベルがある職業は初心者セットがインベントリに自動配布だったんだよねー。でももうこっちでは気に入った鍛冶一本でいく!って決めてたから素材はともかくキットは使い道がなくってさぁ。どうせ死蔵してたものだし、貰ってくれたらインベントリの枠も空くし?」
いやいやいや死蔵してたと言われましても……
「えっとーあっ! 他の知り合いに譲るとか!」
「知り合いで生産やってる子はみんなβからやってるからねー。自分のキットを持ってるのさ!」
βテスターなら知り合いもβテスターばっかりかぁ……まあそうだよねぇ……。えっとじゃあ……
「せ、せめてお金を……」
「もーそれがないから譲ったげるっていってるんでしょー?」
「はい……」
そうでした……お金貯めるにも今の状態じゃ厳しいからでしたよね……。
「じゃー交換条件。作ったポーションとかを自分で売ったりできるまではお姉さんの所に売りに来ること!」
「そんなのでいいんですか?」
交換条件にならないんじゃ? というかもともと知り合い居ないし売りに来るならナナセさんの所かなーって思ってたし……。
「いやーそれがね……知り合いにも調合とか錬金やってる子いるけど、今ポーションの生産が追いついてないらしくってねー。猫の手も借りたい状態らしいのよー」
「にゃーん?」
「ユキ姉のことじゃないよ? えっと……生産追いつかないとは……?」
猫の手も借りたいってまあ確かにユキ姉はにゃんこだけども。ユキ姉が手伝いは無理だと思うなぁ? それより生産追いつかないってのが気になるよね。NPCの所から買うのじゃダメなのかな?
「いやーこのゲームって、流通とかNPCの生産限界みたいなのがあってね? 実はNPCから買える量にも限界があるのさ! あ、普段はそんな気にするほどじゃないよ? でも今みたいにPLが一斉に同じものを買ったりすると売り切れが起きたりするんだよねぇ」
「ほぇー」
へーそんなシステムがあるんだぁ。ゲームなんだからNPCからは買い放題ってわけじゃないんだね。これがMMOだからってのもあるのかな? ずっとNPCで買えちゃうとPLのお店ではその商品が売れなくなっちゃうもんね。
「で、足りなくなってみんながPL製のを買おうとするんだけど、今ゲーム開始直後で張り切ったPLが多くってさぁ……。ポーションなんかは作っても作ってもすーぐ売り切れになっちゃうらしいんだ! このためだけにスキル取得も大変だしで作ってくれるなら大歓迎! って事なんだよ! で、うちにおろしてくれたらうちも儲かるし君もお金入るしでウィンウィンかな? ってね」
うーん、ポーションって現状だと結構需要あるみたい? まあそういう事なら……いいのかなぁ? ナナセさんの手伝いにもなるんだろうし……。
「えっと……じゃあお言葉に甘えまして……」
わー貰っちゃった! 調合キットと錬金キット! あとポーション瓶?
「そういえばこのポーション瓶とは……?」
「このゲームはポーションは瓶とかにちゃんと入れないと使えないのよー。作ったら勝手に瓶が出てくるとかがなくってね。だからそれ用の瓶ってこと。次からはちゃんとお金取るからね?」
おおーなるほどっ! 作った後には入れる瓶が必要なわけだね! ゲームだからといってそのあたりは現実的なんだなぁ……次からは買い忘れないようにしなきゃね!
「了解しましたっ!」
「ふふっ生産頑張ってね! ポーション待ってるよー!」
「はいっ!」
よーし……ナナセさんのためにも頑張ってポーションがんがん生産しないとね!
「あ、そうだ。薬草探すなら西の平原がいいと思うよー。レベル上がったら南の森もいいと思うけど無理はしないようにね?」
「なるほどっありがとうございます!」
最初は西の平原でレベル上がったら南の森かー。ちゃんと覚えとかないとね! さーてじゃあ張り切って西の平原に行きますか!
「ユキ姉! 西の平原行こっか!!」
「にゃーお!!」
さーて! じゃあ初めてのフィールドだー! ゲームらしくなってきたね!! すっごく楽しみだよ!
TIPS:アクションスキル
スキルに該当するアクションが使用できるようになる。該当のアクションを使用することで経験値が獲得できる。主に魔法系スキルが該当する。スキルレベルを上げることでアクションが増える。
例:|《召喚》のスキルを取得すると〔召喚〕〔送還〕のアクションが手に入る