page2 休日と本の中身
緊急入院のため遅くなりました。
見てくださっている方々申し訳ありません。
出来るだけ早めの投稿をと考えていきますので、これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m
「んー······」
目が覚めて軽く伸びをする、視線を下ろすとねねが胸の上で寝息を立てていた。ねねの頭を撫でながら窓の外を見ると、空は黒い雲が速く流れている。
時計を見ると9時を回っていた、母さんが起こしに来てない事から、休校になったのだろう。
恵太は寝たままパジャマのボタンを外す、パジャマの上着はねねがしっかり握っているため、着替えるにはこの方法しか思いつかなかった。ねねを起こさないように器用にパジャマを脱ぐと、ベッドから起き上がり着替えをすます。着替え終わった後はねねを起こさないように抱き上げ、ねねの部屋に向かった。
(こんな朝早くに来客?)
ねねをベッドに寝かし階段を降りていると、リビングで母さんと誰かが会話をしている声が聞こえる。その声は階段を降りる頃にははっきりと聞こえ、その声の主に気づいた時、驚きながらリビングのドアを開けた。
「父さん!」
「おお恵太、久しぶり」
「何でいるの?」
「その言い方は酷くないか?」
「年に数回の強制休暇よ」
母さんが理由を言いながら朝食を渡してくる、それを受け取り父さんの前に座る。
「前はいつだったっけ?」
「3ヶ月くらい前?僕が起きてきたときにたまたま鉢合ってからはないかな」
「そんなに前か」
「そんなにって言っても、その前なんて1年くらい前だよ?」
「マジで?!」
母さんから父さんはほぼ毎日帰ってきていると聞かされている、実際休みの日は玄関に靴があるのを何度か見ているし。
昔父さんが寝ている部屋のドアを開けようとしたらびくともしなかった上に、母さんにめちゃくちゃ怒られたっけ······。
「今回の休暇は何日間なの?」
「一応1週間もらってある」
「そっか」
一応って事は前後する可能性はあるんだろうな、今までの経験上短くなっても延びることは無いだろう。まぁ、僕も学校があるからどこかに行ったりとかは無理だろうけど。
「あなた、今のうちにあれ渡しておいたら?」
「ん?ああ、そうだな」
「ん?なに?」
父さんは鞄から青い袋を取り出した。
「これ、同僚から恵太にって、前に職場で恵太の事話したら是非これをって」
「なんの話したのさ、変な事言ってないよね」
「他愛もない世間話だよ、気にすることないって」
「ならいいけど······」
父さんから袋を受け取る、袋の中身は······本か?
本にしては重いな······。
「なんか同僚は『恵太になら理解できるだろう』って言ってたぞ」
「何だそれ?」
「俺にも分からん」
「父さんは中身見てないの?」
「うむ、そのまま持ってきたからな」
「そっか」
部屋に戻ったら見てみるか。
「同僚の人にありがとうって伝えといて」
「わかった」
朝食を食べ終え食器を片付けるとソファに移動する、テレビを点けて天気予報を探すが今の時間はどこもやってなかった。
「明後日くらいまでは休み続きそうよ?」
「なんでわかったの?」
「ニュース番組探しながら、ニュースには興味なさそうだったし?」
母さん恐るべし······。
「そろそろねねも起こしてきてくれないかしら?」
「ああ、わかった」
恵太はリビングを出て、ねねの部屋に向かった。
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「どうやったらそうなった」
ねねの部屋に入って思わず声に出してしまった、その原因は目の前で寝息を立てているねねの寝相だ。
僕が寝てるねねを部屋に連れて行った時、ねねは僕のパジャマを両手で握っていた。
そして、今のねねは明らかに僕のパジャマを履いている。確かにパジャマを履くのは問題ない、それがパジャマのズボンであれば······。ねねが握っていたのは上着の方で、今目の前ではそれをズボンのように器用に履いているねねの姿がある。
「はぁ·······」
恵太は溜息をつくと、器用に履いている自分のパジャマを脱がし、ねねを起こす。
「ねね、そろそろ起きな」
「ん、ねむぃ······」
「起きると良いことあるかもよ?」
「いいことぉ?」
「父さんがリビングにいる」
「パパッ!?」
勢い良く起き上がったねねはベッドから飛び降り、そのまま部屋を出ようとする。直ぐに後ろから抱き上げる恵太。
「待て待て待て、先に着替えてから!」
「ゔ〜······」
「直ぐに終わるから」
「はやく!はやく!」
タンスから着替えを取り出し40秒で着替えを済ますと、ねねは部屋を飛び出していった。
「ぱぱぁ〜!」
ドタドタバタバタ
階段を慌ただしく降りていく音がする、恵太はねねのパジャマをたたみ、自分のパジャマと父親から受け取った袋を持って自分の部屋へ向かった。
バタンッ
「ふぅ······」
部屋に戻って一息つく、今日ら朝から忙しいな。一応断っておくが、別に賢者になった訳ではない。
袋を机の上に起き、パジャマをクローゼットに直すと、電気スタンドを点けて本棚から本を探す。
恵太は昔から本を読むことから好きで、本棚にはびっしりと本が並べられている。ジャンルは特に統一性はなく、ラノベから文学書、科学書など様々な種類の本が並べられていた。
ちなみに、今恵太が読んでいるのは恋愛者のラノベである。恵太自身はあまり読まないジャンルだが、表紙のヒロインの絵が《黒髪ポニーテール》だったためついつい手を出してしまったのだ。
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パタン
「んー······」
キリがいいところで栞をはさみ伸びをする、ベッドに投げ出されたままの袋が視界に入った。椅子から立ちベッドに腰掛ける、袋から取り出されたそれはやはり本だった。赤のハードカバーにゴツゴツとした装飾が付いている、大きさ的にはA3ほど、厚さは某多くの事が書いてある辞書くらいだろうか。
「魔術書か?」
冗談半分で突っ込みを入れながら、膝の上に置いて本を開いてみる。
バラバラバラバラ·········ヴヴン
「うおっ!」
突然ページが一気にめくれ、真ん中のページの所で止まり、同時に見開きページの中央にドーム上の淡い光が発生した。
光の中には島がいくつか確認できる、ゆっくりと手を近づけてみると途中でコツンとガラスのような物に当たった。
ヴヴン
光のドームの左右にボタンと小さいドーム状のものが現われる、当時に中央のドームに文字が現れた。
「ん?説明書か?」
一番上に《ゼナスペリア》と書かれている、この本の名前だろうか。その下には大まかな説明が書かれていた。
本の重さに足も痺れてきたため、開いた状態のまま机に置くと、椅子に腰掛け説明書と思われる内容を読みながら色々試しだした。