1-8 凶柱 グリームニル
「よし。では移動しよう。サルガタナス。」 ルキフグス。
「...あれっ!?使えないよっ...」
「何か不具合か?」 アガリアレプト。
「何でだろっ...」
「何故でしょうね...」 ネビロス。
「召喚術師、ガープを召喚してくれ。」 ルキフグス。
「了解しました。」
これは的確な判断だ。
「召喚」
「我、闇の卷族なり。」 魔神ガープ。
「ガープ、ワープを頼む。」 ルキフグス。
「ちょいと御待ちを。もう少しで夕方です。」
「サルガタナスさん、何故ワープは使えなかったんでしょうか...」 僕は聞く。
「なんでだろっ...」
「先ず、瞬間移動の原理を教えてください。」
「いいよっ。先ず、この箱は小さなブラックホールだと思って。ここは君が居る世界とは違う世界、異世界だよっ。今は存在しないと思ってるかも知れないけどねっ。俗に言う異世界は数百個存在して、各々の世界を行き来する為には膨大な電子力学パワーが必要よっ。君の世界にはCERNっていう機構があってね、光速衝突実験によって異世界を破壊しているのっ。このままじゃ貴方の世界も、私たちの世界も滅んでしまうのっ。」
「それでねっ、これが私が開発した安全光速衝突装置。世界移転用と近辺移転用があってねっ、両方とも使っているよっ。これを使う時には、天国から落とされる神雷を利用しないといけないのっ。電子力学パワーを少量使うのが近辺移転用。膨大な電子力学パワーを使うのが世界移転用。もし、今CERNが暴走してしまったら、君の宇宙の電子力学パワー、及び電磁波のパワーが不安定になって、時間が歪んでしまうのっ。そうなったら、星は自分の変動する質量に耐えきれず、爆発してしまうのっ。」
「なるほど...復活には神雷が必要と。」
「ワープの準備が整いました。」
「よし、行くぞ。」 ルキフグス。
ファダム地方 農獄
そこは、暗雲立ち込める広い草原。
遠い先の方に大きな竜巻。
「あそこか...」 ルキフグス。
こちらに竜巻が向かってくる。
応戦態勢。
「やあやあ。幾数年振りだね、赤き竜の皆さん。」
「そんな腐った顔を俺らに見せて、何が楽しい?」 ネビロス。
「まぁ、これは楽しくは無いな。」
「何故このような事を...」 ルキフグス
「お前らに教えて俺が得する事あるか?」
「まぁ、最初から教える気は無かろうに。」 アガリアレプト。
「お前の能力チートなんだよ...」
「成程な。狙いは衝突装置か。」 アガリアレプト。
「サタナキア、サルガタナスを。」 ルキフグス。
「ネビロス!!」
「降霊術 死者束縛!」 ネビロス。
グリームニルの体は、霊に縛られ動かない。
「俺を何だと思っている...」
「俺は!!!全世界を滅ぼす、凶柱なり!!!」
雷が轟く。
「何言ってんだ、黙れよ...」 ルキフグス。
「召喚術師。」 ネビロス。
「召喚、シャックス」
「奴の五感を奪え。」
「...っ!!!」
「ネビロス。」 アガリアレプト。
「降霊術 死者怪化。」
霊は牢屋になり、グリームニルを取り囲む。
「シャックス、五感を渡せ。」 僕が言うと、グリームニルの五感は直ぐに戻った。
「力がっ...何をした...赤き竜...」
「もうこれ以上喋るな。」 ネビロス。
「声帯が潰れる。」 ルキフグス。
「魔化/拒絶」
ルキフグスがそう言うと、赤き竜の柱は紫のオーラを纏った。
「グリームニル、終わりだ。」 ルキフグス。
「赤竜ノ処罰:風ノ刑」
静かな風。
霊がグリームニルから離れる。
やがて風は収まり、グリームニルの体は消え去った。
「...ん?」 ネビロス。
「CERNの研究員証です。」 サタナキア。
「CERNの幹部か...」 ルキフグス。
「まさか、この世界を作ったのがこいつだったのか!?」 ルキフグス。
「奴は風の神だろ...いつから生きてんだ...他の世界の奴か...」 ネビロス。
「それと、奴が言っていた凶柱、気になる...」 アガリアレプト。