プロローグ
眩しい光が僕の目に入ってくる。
始めて聞くのに知っている陳腐な機械の音。
見える範囲の人々は落ち着きなく動き続けている。
これが僕の一番古い記憶。
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僕の名前はソメイシミノル…というらしい。僕は災害、そう…大地震によって怪我を負ってしまったようだ。他人事のように感じてしまうのは、僕自身にその記憶が全くないからなのだと思う。そして、記憶がないだけではなく僕の視力は亡くなっている。
医者がいう限りでは「見たくない又は見ようとしていない 」から見えないらしい。僕は何を見たんだろうか?そんな疑問だけが僕の脳裏を占拠している。
僕の生活は、大抵眠っているだけなので退屈になる。たまに来るナースさんにテレビをつけてもらって世の中の話は耳にするようにしていた。何時でも此処を出てもやっていけるように。
しかし、僕にも見舞いに来てくれる友人?がいる。名前は十夜美咲(漢字を態々憶えさせられた)である。彼女は何時も人気がいない時間帯にやってくる。
例えば、鴉が啼く夕日が沈む時間。
又は皆が寝静まる様な夜中。
目が見えているわけではないので正直、時間帯は間違っているかもしれないがそこはいい。僕にも見舞いに来る友人がいるという証明にはなっただろうし。そして、彼女は励ますように僕の左手を握りながら話し掛けてくれた。
優しい言葉。
甘い言葉。
綺麗な言葉。
それは何時でも僕を助けてくれた。いや、その時は気づいていなかったんだ。その言葉だけが僕の救いになっていたとは。
眠る前や眠る直前、左手が軋むような痛みに襲われる。できるだけ我慢をするようにしているけど、どうしようもない時は痛み止めを打ってもらう。その時、誰かに手を撫でられているような感覚を感じていた。その感覚はどこか懐かしいとも…
二か月近くの間、監獄で過ごすような雰囲気を味わいながら病院生活を過ごしていたが、病院というのは身体が治れば家に戻らなけれはならない。数日後には退院になるという直前、先生から一つの説明があった。
「き み の 手 は ひ と つ し か な い」
と。
人生の転機なんていきなり来るとはいうけれど、それが本当になるなんて思っていなかったんだ。その時の僕の目には、絶望を指し示す闇だけが広がり、あるはずのない左手を抱えるように震えるしか出来なかったんだ。
初めての投稿となり、恐らくまだまだ手直しをする部分が多々あるかもしれませんが、ゆっくりと楽しんでいただけたらと思います。よろしくお願いします。




