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超人誕生(回想) その0  ~ズ〇ット!退場!~  

ズバッと参上! ズバッと解決!

人呼んで、さすらいの、ヒーロー!

快傑ズバァァット!!

 俺は天瀬英雄あませひでお栄開えいかい高等学校の今年の春から2年生だ。成績はクラスで真中位。面白い事が大好きで、悪い事は許せない!辛い事はたちまち忘れるぜ。

 だから、みんな俺の事をギャバンボッチって呼ぶんだ。宇宙刑事って意味さ。俺はカッコいいと思っているんだ。よろしく勇気。


 ああ、宇宙刑事は嘘です。ごく普通の高校生。どこにでもいる普通のオタクだ。まあ学校ではオタクなのは特に話していない。

 何だろう?あえて言うなら、『ヒーローは普段正体を隠していて、ばれたら地球から立ち去らなければいけない』それに近いかな。

 自分に制限を掛けている俺カッコイイ見たいな。まあ結構楽しくやっている。遠巻きに見られてる感じ?あれ俺浮いてるのかな?


 両親が共にアニメや特撮のオタクで、俺は子供の頃から多分普通の子供より少しマニックな環境で育ったんだろう。

 毎年夏と冬にはみんなで旅行した。朝まだ暗いうちから、俺は眠い目を擦り、両親と一緒にそこで着替え、色んな恰好をさせられた。

 人ごみの中で、両親と一緒に写真を撮られていた。当時の俺は全く気にしなかったが、あれはコスプレの合わせって奴なのだろう。

 撮影場所?には他にも色んな衣装の人達が居て、色んな人と一緒に写真を撮ったりして……。今はそんな場所に俺は行かないし、家に沢山ある当時の映像や画像は俺の黒歴史だ。

 嬉しそうにスカートとかゴスロリな恰好をしていた小学校の頃の自分を殴りに行きたい。

 子供レイヤーなことがばれて、俺の中学生時代はあまり楽しいものじゃなかった。いじめを受けていた訳じゃないけど、何だろう?遠巻きに見られてる感じだった。



 親父の転勤で、遠い土地に引っ越したのを機会に、今の学校の知り合いには俺がレイヤーで有ることを秘密にしている。黒い中学時代からはおさらばしたのさ(遠い目)



 日曜の朝は両親と一緒にテレビを見て、一緒にドキドキしたり、ハラハラしたり、ワクワクしたり、メソメソ……だけは御免だよ。俺は男だからな。普通だろ。

 休みの日に親父のお宝(DVD、LD、ビデオ)、を見たり、母上の渾身の力作?のコスプレ衣装を着たりして楽しく過ごすそんな高校生だ。まあギリギリ普通だろう。

 昭和のアニメや特撮を見るのは楽しいし、コスプレをたまにしないと精神的にストレスがたまるからだ。別の人間、いや人格に成りきるのは癖になるのだ!……普通だったら良いな。


 高校で元レイヤーなのがばれたら、イモずる式に過去の俺の女装もばれるだろう。そうしたら俺のバラ色な高校生活が消えてしまうだろう。

 なので万が一、レイヤーってヒントを与えてしまう可能性があるオタクな趣味は、学校では絶対死守なのである。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 親父のコレクション(昭和特撮のLD)をまた全話見てしまった。いやあやっぱり良いなあ。でも昨日から徹夜で、もう夕方近いとは春休みとは言っても自堕落過ぎたな。

(ズ〇ット参上!デンデデデンデン!ズバ〇ト解決!テテテッテテテテ!地獄が見えたあの日からぁーーーー)

 頭の中で曲がリフレイン!眠気があるけど、やばい何だかテンションが上がる。こんな時は親父のコレクションから、早川健の恰好をチョイスしてみるか!

 黒いウェスタンルック……OK。帽子っと……やべえこっちは左翔太郎のか、紛らわしいな……うんこれで良し。後は……白いギター!!……を背負ったさすらいの私立探偵完成!!

 やばい、これはカッコイイ!まあしいて言うなら渋さが足りないか……まあ俺高校生だからなあ、ギターが無ければ左翔太郎ぽくなっちゃうなあ。同じ私立探偵だし良しとするか。


 俺 「おおっと、その〇〇〇、なかなかの腕前。だが日本じゃあ二番目だ(二本指で示す)」

 俺 「二番目!?では日本一は?」

 俺 「ヒュウ。(チッチッチッと舌打ちしながら指を振る)(ニヤリ、と自分を指差す)

 俺 「おのれ、ならば勝負してみるか!?」
















 ちょっと(2時間少々)早川ってしまったぜ。早川健の真似は危険ですから、絶対しないでくださいね。

 ああ、そう言えば今月発売の雑誌『宇宙人』まだ買ってなかったな。確か今月は「ズバットスーツは敵へのハンデ。その考察について」とか結構タイムリーな特集だっけ。

 よーしこのまま買い物いっちゃうぞぉ。……多分、徹夜明け&早川素振り1000回でこの時の俺は少しおかしかったのだろう……。


「母さん!ちょっと買い物行ってくるよ!。ついでに夕食はマスターの所で食べるから」


「日本一を目指す理由は何か。二位ではだめなのですか」


 リビングの方から蓮〇ぽい感じで母さんの声が聞こえる。

 やばい、母さんに早川ってたのばれてたか。まあいつもの事だ。俺は玄関を出て買い物に向かった。


 因みに親父は先週から山籠もり中だ。……普通山籠もりするよね?




 さて、俺は少し眠いが、今月発売の雑誌「宇宙人」を購入するために、駅前の商店街に向けてぶらぶら歩いてた。

 学校では、忍者の様にヒッソリと生きている俺だが、楽しい春休み。現在早川健のコスプレも相まって今の俺は絶好調!ハイテンションだ。


 夕方で駅前の商店街に今夜のおかずを買いに行く人が多いのか、それなりに人が歩いている。そんな中なら知り合いが歩いてもおかしくなかった……。


 偶然、1年の時のクラスの女子が前方を歩いていたんだよ。確か名前は……さあ検索を始めよう……。

 名前は「利根ありあ」身長:166 B:80 W:58 H:82 体重は……。おっと俺とした事がうっかり「地球(ほし)の本棚」にアクセスしちゃったか。

 まあ美人で頭もよくスタイル抜群で、昨年部活のテニスでインターハイ出場とか、完璧超人な彼女の情報はわりと手に入れやすい。おっと情報源は秘密だ。


 いつもクラスで『孤高の荒鷲ボッチ』だった俺を、向こうが知っているかは微妙だけど。(ボッチじゃないし!後藤オサムじゃないし!教室で休み時間は眠いだけだし!)

 ……孤高ってなんか響きがカッコイイよね。


 明らかに、目とか合ったのに美人に無視されるのも悲しいし、かと言って、声かけられても挨拶するのも気まずいし。いやその前に今の俺早川だし、白いギター持ってるし。これやばいんじゃ?


「あれ?天瀬君?天瀬君もお買い物?こんな所で会うなんて奇遇ね。」


 やばい見つかっちゃった!いや慌てるな俺、今日は何もしてない、いや今日も何もしていない。挨拶されただけだ、早川なだけだ。まだ慌てる時間じゃない。

 こんなクラスでひっそりと生きている俺みたいなのにも丁寧に挨拶してくれるとは、学校で人気があるのも解る気がする。さあこちらも挨拶の応酬だ!


「ズバッと参上!ズバッと解決!人呼んでさすらいのヒーロー快傑ズ〇ットあませひでお!!」


 しまった!これ変身後のセリフだ!いやそんな問題じゃないだろ俺。


「何か変な挨拶だけど!?ズバ〇トって聞こえたけど!」


 やばい、何んとかリカバリーしないと。


「二月二日!飛〇五郎という男を殺したのは貴様だなッ!」


「私そんな人、殺してないよ?」


 俺!終了!


 ……いや?待てよ?普通こんなマイナーな昭和の特撮なんて(石ノ森先生すいません)ググッたりしなければ理解できないじゃん!これはセーフ!!頭のおかしな人って認識されるだけじゃん!……セーフ?


 ……此処から消えていいよね!答えは聞いてない。


 多分俺は狼狽えていたのだろう。そんな俺をみて彼女がこう言った。


「ふーん、今までのは天瀬君流の挨拶なのかな?だけど挨拶としては日本じゃ二番目ね」


 彼女は暴走した俺の挨拶に対して、澄ましてそれでいて……少し照れながら答えた。


 あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!「おれは 奴の前で〇バット参上したら、いつのまにか日本で2番目だった」

 な……何を言っているのか わからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった……。

 頭がどうにかなりそうだった……。 催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。


 そして世界は動きたす……。


 ……学校で美人コンテストがもしあったら、間違いなく上位に来る彼女が、マイナーな昭和の特撮を知っていたとは。(石ノ森先生すいません)



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ……今俺は、駅前の喫茶店「ポレポレ」に居る。因みに「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり」を意味する言葉である。

 此処は俺の行きつけの喫茶店だ。ここのマスターが冒険好きで、親父の友人。何でも昔一緒に仕事してたとか。この町に引っ越して来てから俺は良くここに来ている。

 ふらっと旅に出ちゃうマスターのお蔭で、お店が開いてるのが不規則なのがたまにキズなのだが。


「天瀬君?」


 そうそうここのカレーは絶品だ。普通のカレーより黄色くて、なんだか雰囲気は懐かしのカレーって感じだ。野菜はジャガイモと人参が一センチ角に切ってある。

 たまねぎは原形をとどめていないほど煮込んであり、肉は豚ばら肉で、これもまた食べやすいサイズになっている。


「おーい?天瀬君?」


 味はマスターこだわりの中辛だが、ココナッツミルクが入ってるだろう。とてもまろやかな口当たり。でも程よいカレーの刺激はそのまま。口の中に広がるスパイスの香りがたまない!

 野菜や肉の味がしっかりとベースになっていて味に深みがあります。ここのカレーはまさに絶品!


「やっぱり天瀬君が私の王子様だったんだ!」


 おいおい、カ〇ーの王子様って!マスターに聞かれたら唯じゃ済まないぜ!!主に俺が!……幸いマスターは、俺の持ってきた白いギターに夢中だからセーフだった。


 「どうしよう?今日可愛い下着じゃないし……」


「おーいマスター!早川健の登場の曲すごくカッコイイけど、少し音下げてくれないかな?うんそうそれ位ならOK」

良いのは解かるけど(ルルルル~~ルゥルルルルルルゥ~~。)って歌盛り上がりすぎだろ。


何か彼女が言ってた感じだけどまあいいか。でもなんか挙動不審だなあ。


 そんな彼女は、今俺の隣の席に座っている。


 この喫茶店はマスター趣味でやっていて、カウンター席が6席あるだけだから仕方ない。

 でも全然人が入っていない。少し商店街から奥まった場所にあるのもそうだが、マスターが出すお題が出来ないと店に入れないのだ。

 因みに今日のお題は「仮面ライダーBLACK」の変身ポーズだった。人に因っては、京都の一見さんお断りの店より厳しいかもだ。


 拳ギリギリの所をこれでもか!って言う位振り絞ってからの、左手を回転させて最後に右に払う……。まあ楽勝だろう。


「このお店何だか雰囲気が出てて良いね!でも変身ポーズは少し恥ずかしいかな」


 俺は勿論店に入っているが、彼女がここに座っているって言うことは、まあそう言う事だ。


 ……昭和特撮が理解出来る女子高生って誰得だよ!いやBLACKはギリ平成か?なら問題ない?


 まあ黙ってるのも何なので、彼女と会話する事にした。


 因みに、残念ながら今日はマスターがカレーを仕込んでなっかったので、俺はシャア専用スパゲティ、所謂ナポリタンを食べた。

 小学校の時、シャアスパって言葉が伝わらない事に驚いたものだ。


「実は前から思ってたんだけど、天瀬君ってレイヤーだよね?」


 いきなり彼女が、確信をついた。前からって何?この早川を見てじゃ無いの?


「今日の天瀬君見た時、最初は左翔太郎かな?って思ったんだけど、帽子違うし、白いギターを見てピンと来たんだよ」


 彼女はそういって俺に一枚の写真を見せた。そこには、俺の親父と母さん、そして小さいころの俺が早川してた。早川×3だ。

 ……おいおいじゃあ誰が日本で一番なんだよ!いやそこじゃない、どうして彼女はこの写真を持っているのだろう?


「あ間違えちゃった!こっちの写真だよ」

 そこにはコスプレをしている二人が写っていた。


 クール?に極めた子供の頃の早川(つまり僕)と微笑んでる可愛らしい少女(プ〇キ〇アのコスプレ)の2ショット


「覚えて無いかな?私も昔両親とコスプレしてたんだ。結構人気者だったんだよ?でも変なおじさんに連れてかれそうになった事があるの!その時助けてくれたのが、この写真の天瀬君だよ」



 ……うーん。そんな事在ったかなあ……。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ~~会場から少し離れた、人気のない路地裏~~


「お兄さんが、君を綺麗に取ってあげるから、大人しくしててね?大きな声を出したらどうなるか、お嬢ちゃんなら解かるよね?」

 怯えて、ただ震えている少女。因みに恰好はプ〇キ〇アのル〇ナスだった。

「うーんもう少し色っぽく行こうか、お嬢ちゃん自分でスカートを少しずつ上げていって、声出さないで静かにね(ニヤニヤ)」

 少女の目に涙が浮かぶ。さらに震えてもう限界みたいだ。



 子供の頃の俺 「パンチラカメラの達人、炉理亀男。ただしその腕前は日本じゃ二番目だ。」


 変なおじさん 「ならば日本一は誰だ!?」


 子供の頃の俺 「オレさ!」


 まあそれから、なんやかんやで助けたのさ。いやあギリギリだった。親父に鍛えられててよかったよ。(なんやかんやはなんやかんやです)


「助けてくれて有難う!!」

「君は可愛いんだから注意しないとね。僕と一緒に戻ろう」


 そこで僕は両親と、彼女の両親?(多分お父さんかな?ブ〇ックはどうなのかな?)と合流して楽しい一日をみんなで過ごしました(完)



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 思い出した。そう言えばそんな事あったっけ。その頃人助けに嵌まっていたので忘れてた。君は今までに食べたパンの枚数を覚えられるのかい?ト〇ーズ閣下なら覚えてそうだけど。

 写真のヒントが無ければ多分再び思い出すことは無かっただろう。


「まさか忘れてるって事は無いよね(ニッコリ)」


 何だろう少し怖い。


「うん覚えてるよ、そうかあの時の可愛い女の子が利根さんだったんだね」


 さっき思い出したとか言わない方が良いだろう、俺の何かが、今の彼女をみて直感的に判断した。


「この時の事があったので、危ないってコスプレするのは中止になったの。だから天瀬君にも会えなくなっちゃった」


 そう言う彼女はとても残念そうだった。まあコスプレ出来ない人生が退屈なのは俺も理解できるので、


「そうだったんだ、それはとても残念なことだよ」


 と同じ仲間として返した。


「でもね!天瀬君って人気が高かったから、写真は手に入れやすかったの!」


 そういって彼女は俺の目の前に大量の黒歴史を置いた。


「これなんてすごくかわいいよね」


 ……母上が、大〇寺〇世ちゃん張りに衣装に嵌まって、当時の俺をとっかえひっかえ着せ替え祭りしていた時の奴だ。何故俺はさ〇らだったのだろう。普通?シ〇オ〇ンだろ。


「でも四年前からばったりと情報が途絶えて、私心配したんだよ!」


 俺が中学1年の時、学校にばれてやめたんだっけ。流石に両親と一緒にコスプレもどうかなあ?と思ってたし丁度いい機会だった。


「去年、学校で天瀬君を見た時、何だか懐かしい感じがしたの」


 いやそれ思い込みだろう。中学に入って背も伸びたし、顔もまだ女っぽいかもだけど、髭も生えるし一週間に一回剃ってるし!


「だけど天瀬君、学校で話しかけるチャンスがなかったし、休み時間は何時も寝てるし、昼食の時はどっか行っちゃうし、放課後すぐ帰るし」


 何だろ、心が痛い。ボッチか?ボッチが悪いのか?


「私天瀬君のコスプレをみて、お父さんやネットで色々調べて勉強したの!〇決ズ〇ット面白いよね!他にも色々覚えたよ」


 やばい、残念系美人を爆誕させたの俺かよ!いや意外に希少種か?プレミア的な奴か?


「そう言えばもう夕食の時間だし利根さんもそろそろ帰ら」


「私は全然大丈夫!!」

「だから、天瀬君!改めてよろしくね?」


 なんだろ、遠くの方で『チェックメイト』って聞こえた気がする。気のせいだろうか……


 それから俺たちは良くある他愛の無い話をした。


 彼女がテニス始めた理由が祖母から貰った漫画「エ〇スをねらえ」からとかそんな良くある話だ。





「サ〇ダーマ〇クってさ、地球のピンチを察知して、遠い宇宙から駆け付けたのは良いんだけど、危機が来るのは1万年後で、それまで眠りにつくってどーよ。しかも自動で起きるんじゃなくて、起こしてくれとか?お前どんだけ寝るんだよ!!」


「ジャ〇ボー〇Aってさ、宇宙人から自分が乗ってるセスナを巨大ロボットいやまあサイボーグが正しいのか?を貰ったのは良いんだけれど、そのセスナ民間の会社の持ち物だから、必要なとき使えなかったり、社長がそのセスナ売ったりして、ピンチになったりするの!もう少し宇宙人も、本気で地球守らせるなら考えろよ!」


「ス〇クト〇マンってさ、敵の宇宙猿人ゴリがさ、いちいち話すたびにアクション(ジャスチャー?)しててあれ笑えるよね」


「フ〇イヤ〇マンの歌だけどあれ、「地球が地球が大ピンチ!地球のピンチを救うのだ!ファイヤー!ファイヨー」っえ聞こえるよね、ファイヨーだって!おかしいよね」






「そういえば天瀬君って少し変わっているよね。例えば何時だったか、放課後しばらくの間、天瀬君ヴァイオリンを弾いていたでしょ?あれかなり噂になっていたよ」


 ああそう言えば、音楽室で何日か、紅音也ごっこをしたことあったな。あれ人に見られてたのか。


「楽器演奏はヒーロー物ではお約束だし普通引けるでしょ?」

 トランペット、ギター、ピアノ、和太鼓、……etcetc。


「いやいやお約束って!普通はかなり練習しないと無理だよ。私もピアノ習ってるけど子供の頃から練習してるし」

 何でだろう彼女は納得してないみたいだ。俺の両親やそこのマスターも俺より弾けるし、そんなに珍しくは無いだろう?



「そう言えば、三学期の数学の期末試験、全然解からない問題が一問あったでしょ?あれ先生が皆を戒める為に?大学レベルの問題を混ぜたんだって!ひどいよね!」

 普段のテストは退屈だけど、あの時の問題は結構楽しかったなあ。そう言えばあのテストの後から数学の先生俺に厳しくなったな。(君に解ける訳が無いんだ!君に!)ってなんか怒らしたのかな?



「学校のキャンプの時、天瀬君がいっぱい食べられる野草や魚取ってきてみんなで食べたよね。楽しかったなあ、味付けも少し変わっていたけど美味しかったよ」

 親父やマスターに付き合っての山籠もりで、食事を自分で確保しないと飢え死にするし、と言うか学校のみんなは、山籠もりの時は食糧持ち込みありなのかな?羨ましいな。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ……まいったな、話し込んですっかり暗くなったか。腕時計を見ると20時を回った所だ。

 俺のテンションも今はかなり下がってきて。眠たさMAXだ。結局雑誌買ってないなあ……



 でも、紳士としては彼女を家の方まで送っていくのが、早川ってもんでしょ。


 勿論、やましい気持ちなんてこれっぽっちも……


 やっぱり、彼女と話してみて、普段『孤高の荒鷲ボッチ』してると会話に飢えてるっていうか、同じ世代、ましては可愛い女の子、同じオタクなら気楽に話しやすいし……。


 いろいろと話しながら、2人で彼女の家の方に向かってたんだけど。


  駅の繁華街と彼女の家の間にある、道路の信号待ちをしてた時だった。

 ここは夜遅くても交通量が多いし、何か危ないんだよなー。なんてボーっとしながら考えてたり。


  信号が青に変わって彼女が渡り出した時、信号無視のトラックが突っ込んできた。


 多分時間にして瞬きする瞬間、0コンマ何秒って所だろう。加速装置も無いのに、よくもまあこんなに早く体が動いたもんだと、自分でもびっくり。

  彼女の手をとっさに掴んで、グイッと引っ張って歩道側に引き寄せた。



 その反動で足元がフラついて、ヤバイと思った時には彼女と自分の位置が、見事に入れ替わってた。


 いや、走馬灯とかあるじゃないですか。死ぬ間際って。

  実際体験してみると、俺の場合、けっこう冷静で、『あ~、時間を止めるスタンドがあればなあ』 とか『いやあ、彼女泣いちゃうのかなあ?女の子泣かすのは最低だよなあ……』


 そんな事考えてたら、プツンと視界がブラックアウト……


 なんか、呆気無い人生だったなぁ。



 なんて考えてたら、目の前になんか白いモヤが出てきた。

 お迎えかな?そうえば仮面ライダー〇ーストはどうなるのかなあ?俺もア〇コン集めれば復活チャンスあるのかなあ?

 って、ちょっと楽観的?になってたり。



 うん、でもさぁ……?

 目覚めて、最初に視界に入ったが目の前で、変なおっさんが


「チッチッチッ(舌打ち)」「お前さん、日本じゃあ二番目だ」

 キザな舌打ちからの、深く被った帽子の鍔を押し上げる仕種とともに『オレさ』と自身を指差してるんだ。


 そんな人物がいたらみんなはどんな反応するかな?



  「うわ~~~~~っ!!!!」



  俺はびっくりして思いっきり、叫んだよ。うん。



いかがでしたでしょうか? ご意見をお待ちしてます。


ではまた来週。



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