四階は不思議ときれいで
「三階は探したがなかった。あとは四階だけ残っている」
病院は三階建てだと思ったが、勘違いで、僕らがいた奥の部屋からさらに古びた非常口のほうに行くと奥に階段があった。病院の入り口からは三階建てにしか見えなかったのだ。
男と一緒に四階の中ほどまで行くと、僕はあることに気がついた。
薄暗くてわからなかったが目が暗さに慣れてくると、廊下が下の階よりもきれいだ。肝試しに誰も四階まで来ないということだろうか。俄かには信じがたい。結構下の階には落書きや、ビール缶や花火の跡、不良グループが結構荒らしてある。怖いもの知らずはいくらでもいそうだが。
そんなことを思いながら、男性に問いかけた。
「部屋に入らなければカルテは見つからないのでは?そこから入りましょう」
「いや、そこは人が休んでるから」
「おじさんの他にいるんですか」
「ああ、入るよ。自分の方が新人だからな。あまり気を配らないのも悪い」
僕はホームレスでもいるのだろうかと疑問に思った。この階はきれい過ぎる。
まるでいつも清掃されているような感じだ。
「なぜ廃業した病院なのに、あそこの電灯は付いているのですか」
僕は先の方に白い光があり、そこにはよく病院にある待っている人のための椅子があるのを疑問に思い、男に聞いてみた。
「それはあそこは指定席だからさ」
「指定席?おじさんの」
「いや、別の人の」
「……」
僕はなんか腑に落ちない。それにこの階は確かに人の気配はする。まるで今でも使われていて、男が止めた部屋には病人の人が入るような……それ以上深く考えると怖くなるので、気分を逸らすために呼吸を落ち着けて、周りを観察する。