表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

(2)

 数分の沈黙のあと、僕は自分の携帯でかけてみることにした。

 着信している。あまり出て欲しくはない。しかも遠くで鳴っている音がする。そう病院の中から響いて微かに聞こえるのだ。10回ぐらい鳴らしたろうか。

 そして、突然友達の携帯が出た。自分で言うのもなんだが、出るとは思わずに「うわっ!」

と、思わず声を出して、すぐに息を呑む。

「お土産もってこい!」

 その一言で切れる。僕は怖くて声が震える。

「どうした?」

 友達は怪訝そうに言う。

「おみやげもってこい!だと」

「幽霊が出たのか?電話に、どうしよう?」

「諦めようぜ」

「嫌だって」

「おれはやだって」

「おれだってひとりじゃいけないよ」

 辺りはすっかり暗くなり、僕らの会話だけがその敷地で響いている。そこにいるだけでも怖かった。

 僕は妥協案として、明日の昼間とりに行くことを提案した。すると

「おみやげ持って行ったほうがいいのかな」

 友達は殊勝に言う。妙な話だ。幽霊は確かに「おみやげをもってこい」と言った。

ゆうれいに言われておみやげを持っていく。そんな話聞いたことはない。

 僕は思案に暮れていると携帯が鳴った。

 着信を見ると友達の携帯だ。僕は怖くなって、電源を切ってしまった。

「今日はとにかく帰ろう」

「うん。そうだな」

 僕らは怖気づいていた。そして、帰途に着いた。

その間、僕はまた行かなければならないのか。お土産なんて持っていかなければならないのか。まるで合理的理由もない考えをひたすら巡らせていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ