処理出来ないクレーム
アルバイト二日目。昨日は散々だった。江角似の上司ベルリアンが逃亡、それを追いかけたロゼ、ひとりクレーム処理をした玲奈、マニュアル通りと書いてあってもいまいち使い時がわからなくなった。
今日からロゼはサポートしてくれない。勿論ベルリアンはサポートとするどころかボイコットするだろう。だから昨日マニュアルを必死で見て覚えようとした。でも挫けた。ふと帰りたいと言う文字が浮かんだ。
昨日と同じようにセットして昨日と同じように電話を待つ。セットして2秒で電話が来る。そして処理にかかる。
「お電話ありがとうございます。魔王テレアポセンターでございます」
今回は噛まなかった。そして今回も飛び抜けたクレームがきた
「私イルスカに住んでるものですけど、去年其処に家を建てたんだけどアンタら悪魔が進軍してきたせいで壊されたんだけど!
しかもイルスカは悪魔が進軍してこないって言ってたから家建てたのに…ローンとか残ってんのよ!どうしてくれんの!」
そんな事知ったこっちゃない。がそれに関しては処理できる。
「失礼ながらまずお名前を」
『まず自分から名乗るもんでしょ』
「失礼しました。私玲奈と言います」
『レナさんね。なら私はAさんでいいわよ。悪魔に名乗りたくもない』
電話じゃなかったら殴ってた。後私は悪魔じゃないし!
『でどうすんの?ローン払ってくれるわけ?』
「場合によっては弁償致します。それで悪魔が進軍してこないと言ったのはどちら様ですか?」
『うちの旦那だけど』
バカじゃないの?
「申し訳ありませんが魔王が直々に言ったのであれば弁償出来ますが、それ以外に関しては弁償出来ません」
いくらなんでも旦那の言うことだからって信用したら駄目でしょ!
『じゃあ何かい!?私が悪い訳?』
「そりゃそうでしょ!!」
心の中で思った言葉が出てきた。
『…貴方レナさんだったわよね…、よくも悪魔の分際で人間様に逆らったわね。よく聞きなさい!私の旦那はねイベリコブタ王国の一番隊副隊長なのよ!
魔王軍なんて蹴散らしてもらうわ。そもそもこんな所にクレームつける意味なんて無いのよ!』
電話が切られた。イベリコブタ王国の所で笑いそうになった。でも少しだけ共感できる所があった。どうしてテレアポが魔王城に存在するのか…。
でも深く考える前に電話が来たので考える事を辞めた
「お電話ありがとうござ」
『このくそ悪魔!!』
そして電話が切れた。玲奈もキレた。