ツバキはようやく何かに気づいたようです。
釣りを初めて数秒、すぐに魚が食いついてきた。
疑似餌の効果は問題無く機能しているようだ。
糸を巻き上げると、サンマに似た、細長い姿の銀色の魚の姿が見えてきた。
今までゲームの中で見たことの無い魚だ、新たに追加されたのだろうか?
そんなことを考えながら釣り上げてアイテム袋に入れようとした時、ふと気づく。
今、アイテム袋って、能力失って無かった?
アイテム袋はすごい袋だ、魚を入れても鮮度そのままでいつまでも保存してくれるし、同じ種類なら99匹まで入れられる。
さらに、アイテム袋の口に魚を触れさせるだけで、自動的に針から外して中に入れてくれるのだ。
そんな、素敵な機能が今は失われている。
つまり、
この釣った魚どうしよう
釣り上げられて暴れる魚を見ながら、一瞬固まる。
取り敢えず、いつものようにアイテム袋を近づけて見る。尾びれに問答無用で弾かれてしまった。
こう言う時って、バケツを用意してその中に魚を入れたりするはず、現実世界の知識を思い出すがが、今ここにそんなものは無い。
取り敢えずは針をはずそうと、前回の二の舞にならないよう気を付けて、魚を地面におろす。
ビチッ、ビチビチッ
物凄く勢い良く地面を跳ね回ってます。
(こ、怖いょぅ)
あまりの勢いに躊躇するが、このままでは何も進まないので、勇気を出して魚を捕まえる。
魚の手触りはヌルヌルして気持ち悪い。そのままなんとか針を取り除いた。
(うぅ、手を洗いたいょぅ)
手頃な水がないので、海で手を洗う。
一通り洗った後、魚がいなくなっている事に気づく。跳ね回っている内に海に落ちたのだろう。驚異が居なくなった事を知りホッと一息つく。
今まで仮想現実世界で何百匹と魚を釣ってきたが、後の処理は全部アイテム袋がやってくれていたので、現実世界と合わせて、これがボクの初めての針取り体験だった。
(無理だ、帰ろう。)
ボクにとって、たとえ仮想現実であったとしても、あんな生き生きした魚を生でさわるなんて、ストレス以外のなにものでもない。
せめて、アイテム袋が使えるか、それに似た機能の道具を手にいれるまでは釣りは出来そうにない。
釣りができないのなら、知り合いに連絡も取れない、目的もわからない、アイテムもない、こんな、何もない状態でゲームを続けるのもめんどくさい。
ログアウトして、情報を調べた方が良さそうだ。
手に触れた魚の感触も妙にリアルで、現実世界に戻たら、すぐに手を洗いに行こうと心に決め、ステータスウィンドウを開く、目的はもちろん画面端のログアウトボタンなのだけど
(ログアウトボタンがない)
まばたきしたり、画面を閉じたり空いたりする。何度見直しても、ログアウトボタンがあるはずの所は空白で、もちろん、何もない所を選択しても、何かが起こる訳もなく。
つまりは、ログアウト不可。
(もしかして、デスゲームってやつですか?)
説明を多くすると、テンポが悪くなって読みにくい。
文字数を少なくすると、意味がわかりづらい。
読みにく解りづらい文章ですがよろしくお願いします。