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釣りと、説明と、トラウマと

三話を手直ししようか悩み中、技術が上がってからでいいかな。


あと、想像以上に物語が進まない(汗

ログインして最初に感じた、土の香りと、肌を撫でる風、視界が開けた時に入って来た景色に、ただの3Dの延長線上にある程度にしか思って居なかったVR技術が、それとは全く違うものなのだと直観的に理解した。


ボクとほぼ同時にログインした友人達も、ほぼ似たような感想を抱いたようで、特に、このゲームに誘ってくれた友人は、スタート地点である、都市外れの森の中を興奮した様子で走り回り、木に登り、その枝があっさり折れた事に驚いていた、


今までの3Dゲームなら、木々など背景に属するものは、基本破壊不可能が常識だったからだ。


高レベルモンスター等を一撃で倒せる威力の魔法攻撃を打ち込んでも、木や、家々や、ドラム缶などの背景たちが無傷で佇んでいる光景はよく見られた。


背景まで破壊可能となると、剣が木に刺さって抜けなくなったり、洞窟の中で魔法を使ったら天井が崩れたりとかありそうだね、と友人と話ながら、ボク達は視界の端の見える都市へと歩き出した。


と、思ったら都市だと思っていた所はチュートリアル会場でした。


チュートリアルで、ゲームの基本知識と初歩的なスキルを二、三個教えてもらい、今度こそ本当にアーククラフトオンラインの世界へ。


草原で戦闘を少し体験して、町の中で一息付きながら今後の方針を話し合う。


初歩的なスキルを取れるだけ取ろう、そう言ったゲーム好きな友人の意見をそのまま採用する。


アーククラフトオンラインの成長システムは、スキル制と言うものを採用している。


通常のレベル制のように、敵を倒して経験値を溜めてレベルが上昇して、能力が上がって行くのではなく。


例えば、剣で攻撃する毎に『剣術』と言うバシップスキルに経験値が入り、そのレベルが上がると、剣での攻撃力が上がり、基本的なステータスの力と、器用さが上昇する。


また、ポーションを制作すると、『薬物知識』のバシップスキルに経験値が入り、そのレベルが上がると、薬の製造成功率と効果、基本ステータスの器用さと、精神力が上昇するようになっている。


と言ったようにスキル制は、所持しているスキルのレベルがあがるのに従って、対応する能力が上昇していくようになっている。


また、上の例の通り、直接戦闘を行わない生産計のスキルでも、ある程度のステータスの成長が望めるのだ。


友人は、この手のシステムを熟知しており、始まったばかりで脆弱な自分たちのステータスを、現在手に入るスキルを取れるだけ取って、手っ取り早く強化しようと考えたのである。


方針も決まった事なのでボク達は、スキル獲得に動き始める。


購入できる物は有用そうな物から購入し、スキルを覚えられるクエストをどんどんこなしていく。


運営の方も考えているのか、町のNPCに聞くだけで、大抵のスキルの獲得場所がわかったし、最初の町だけで序盤用であると思われるスキルがおおよそ手に入った。


バシップスキルと言われる種類のスキルがレベル5までは異様に上がりやすいのは、プレイヤー達に実際スキルを使わせてみて、自分達がどれを成長させて、どんなプレイスタイルを望むのかを決めやすくするためにわざとそうしているのだとは、友人談である。


そうやってスキルを集め、順調に成長している時、ボクにとって運命の出会いが待っていた。


きっかけは、町外れの池でサクラヤマメと言う魚を、三匹釣ってくると言うクエストだった。


このクエストをクリアすると、『釣り』と言うバシップスキルが手に入る。


指定された池に着くと、ボク達は、アイテム袋からクエスト用に支給された、釣竿と餌を取出し取り付けてゆく。


大豆くらいの大きさで茶色くまん丸な形をした餌を釣り針の先に、ちょん、と付けるだけで後は、自動的に針に餌が取り付けられる。


針に刺す必要が無く不器用な人にも安心な仕様だ。


竿を振るって餌を池へと飛ばす、ある程度のシステムが補正してくれるお陰で、糸が変な所に引っ掛かったり、明後日の方向に飛んだりとかはしなかった。


釣りをするのは、現実世界の体験も含めて二回目だ。


一回目は、親戚の叔父さんに連れられていったのだが、あまり良い記憶では無かった。


最初につまづいたのは餌だった、ゴカイだか、ゴムイだったか知らないが、赤いうねうねと動く芋虫に似た謎の生き物を差し出された、ただでさえ、逃げ出したいほど気持ち悪いと言うのに、更にそれを短く切って針に刺すと言うのだ、なんという拷問だろう。


半泣きに近い状態になりながらも、なんとか勇気を振り絞り、うねうねなそれを適当な長さでちぎった。


駄目でした。


切り口から、いや、止めておこう思い出したくもない、ともかく駄目でしたと言っておこう。


どん引きしているボクの様子を見かねた叔父さんが、今度は、サビキと言う方法の釣り方を教えてくれた。


サビキと言うのは、数本の餌を付けた釣り針と小さなかごの中に餌を詰めた物を水の中に沈める、さらに周囲に餌を撒くことで、それを食べに来た魚が間違って針の付いた餌を食べるのを待って釣り上げると言う、とってもお手軽で初心者におすすめの釣り方らしい。


最初からこちらを勧めてくれればよかったのに、と思いつつも釣り始める。


流石、初心者向きと言うべきか、餌を撒いて一分もしないうちに糸から釣竿へ振動が届いた、魚が掛かったのだ。


恐らくその時のボクは、普段見られない位に興奮しはしゃいでいたのだと思う、よく覚えてないが。


なぜ、よく覚えてないかって?


初めて釣った魚の姿を早く見ようと、今か今かと思いながら糸を巻いていった、そしてついに奴が現れた。


後から聞いた話だが奴の名前はカサゴと言うらしい。


海面から現れたカサゴの姿にボクは大いにビビった、まず、色、何というか毒々しいのだ、赤い事は赤いのだが、鯛のように光を反射して光沢を増すような事は決してなく、前にテレビで見た海蛇の姿に似た、くすんだ赤と黄色がざった様な色合いだったので、それと同じように毒を持っているんじゃないかとボクに連想させた。


次に姿だ、目玉はデメキンのように飛び出していて、胸ビレはなんだか固そうだ、背ビレからは棘のような物が飛び出しているが遠目からでもはっきり見て取れた。


スーパーや魚屋で見たことが無く初めて遭遇したと言うのも大きかったと思う、ともかく、そんな攻撃的な外見を持った生物が、釣り竿の先で糸に吊られながらも激しく動き回って居たのだ、先程の興奮など軽くぶっ飛んで大混乱に陥った。


冷静ならば、竿を下げ魚を地面に降ろしたら多少ましになる事くらいは思いついたであろうが、その時はそんな余裕など無く最悪の行動に出てしまう。


ボクは、一刻も早くこの危険生物から逃れようと釣り竿の先端を上げた、上げてしまったのだ、釣りに慣れた人ならすぐに分かる結果、しかし、初心者ゆえに無知ゆえに、反射的にそうしてしまったのだ。


釣り竿に垂らされた糸は物理法則に従って竿に近づく訳で、当然、ぶら下がっている物体もそれにならって動き。


ひゅん、べちゃ。


ボクの顔面にカサゴが激突した、そして、棘がほほの横をスーっと滑ってゆき、激痛が走った。


泣いた、赤ちゃんの頃ほとんど泣かない子だったと両親に言われていたから、恐らく、生まれて初めての大泣きだ。


それから、一時間ほど泣き続けたらしい、あと、ほほはちょっと血が出ていたが直ぐに止まって、一週間ほどで跡も残らず消えてしまった。


泣いたと言ってもそれはボクがまだ、小学ろく・・・小学3年の時の話だから気にしないでほしい。


ともかく、この一件以降、叔父さんに釣りに行こうと誘われた事も無いし、ボク自身進んで釣りに行こうなど考えるはずも無かった。


現実の釣りで嫌な思い出のあるボクだったが、仮想世界の釣りには嫌悪感が全くと言って良いほどなかった。


餌はうねうねしていないし、水辺にはフナムシのような気味の悪い生き物もいない、何より、攻撃的な魚が現れて棘で刺されたり噛み付かれたりしてもあまり痛くないし、怪我をしたりもしないのだ、今ここでサメが釣れて襲ってきても、みんなと雑談しながら対処できる自信がある。


アーククラフトオンラインの中では、と言うかほぼ全てのゲームでだが、剣に斬られようとも、矢に射抜かれ、そのまま、魔法の炎に焼かれようとも、血が出ることもなく、体の一部が欠損することもない、あるのは一瞬の体の硬直と、ハリセンで軽く叩かれたかのような衝撃、そして、HPゲージの減少のみである。


人間が恐怖を覚えるのはやはり、鋭い痛みや、深い傷等であり、そんなものとは全く無縁のこの世界ではボクが釣りという行為を避ける理由が全く思いつかないのだ。


そして、そんな理由もあってボクは釣りを存分に楽しむことができた。


水面へと垂らした糸が不意に揺れる、それと同時に釣竿が猛烈に震えだす、携帯みたいな規則的ではない、意思のある命が生み出す不規則なバイブレーション。


ボクと魚の真剣勝負、竿を引き上げ糸を巻く、それに抵抗するように四方八方へと泳ぐ様が竿を通じて伝わってくる。


水面に激しく泳ぐ黒い影が見えてくる、あと少し、逃げられないように注意をしながらも一気に水上へと引き上げる。


ざぱん。


薄桃色でまるで桜のような色合いをしたその魚の姿は、飛び上がる水滴とキラキラと注ぐ太陽の光を受けて、とても幻想的で美しかった。


きっと、ボクはこの時、釣りの虜になったに違いない。


釣り上げた魚、サクラヤマメを竿を操って目の前まで持ってくる、びちびちと暴れる姿を横目に見ながら、アイテム袋を腰元から取り出す。


アイテム袋の口をサクラヤマメに付けると、次の瞬間、すっと姿が消えあとは釣り針がプラプラと揺れているだけになった、さすがゲーム、面倒な針を抜く作業なんかはしなくても問題ない。


『サクラヤマメ』を獲得しました。


中性的な声のアナウンスが頭の中に響く。


ここでアイテム袋について説明しよう、アイテム袋はゲームでよくある、たくさんのアイテムを所持しているけど一体どうやって持ち運んでいるんだろう、という疑問を解決してくれるアイテムだ、アーククラフトオンラインを始めると自動的に所持していて、最初は50種類99個までのアイテムを大きさに関係なく入れておくことができるという、すごい袋なのだ、ちなみに、クエストや課金で所持できる種類を拡張することができる、使い方は簡単で、入れる時は、入れたい物を袋の口につけるだけで後は勝手に中に吸い込まれる、取り出す時は、取り出したいものを念じながら袋の中に手を入れると、手に何かが当たるのでそれを引っ張り出すと欲しいモノが出てくる、ちなみに、戦闘中など、両手が塞がっている時は、事前に数に制限はあるがショートカットの設定ができるので、後は頭の中で念じれば自動的に使用するなり、外に出すなりしてくれる便利仕様である。


その後、無事、サクラヤマメを3匹釣り終えたボク達は、クエスト報告を終え、無事に『釣り』のスキルを手に入れた、その帰り道、スキルと一緒に報酬で手に入れた、サクラヤマメの塩焼きをほおばりながら、もっと釣りをしてみたいなとぼんやりと考えていた。


それからボクは、合間合間の時間を見つけては釣りをしする生活を送っていき、しだいに釣りをメインにして活動するようになった。


ステータス 

名前:ツバキ  クラス:旅人

HP:45 MP:50

力 :65

耐久力:45

技術力:40

精神力:50

速さ :50

運 :10


*バシップスキル :レベル

物理戦闘技術 :8 

剣技 :6

斧技 他 :5※


魔法戦闘技術 :7

無属魔法 他:5※


防衛・回避技術 :7

回避他 :5※


製造技術 :7

武器製作 他 :5※


感覚技術 :7

歌 他 :5※

釣り :1


初級オリジナルスキル:1


*アクティブスキル:レベル


ダッシュ他    :1※


初級剣技のレベルが高いのは物語の最初で戦闘したから。


○○技術それぞれの下にあるスキルの根幹にあたるスキル、その下にあるスキルが上がっていくとこれも一緒に上昇していく。


※ほかにもスキルを持っているが省略。

カサゴは煮物にすると美味しいらしいです。


読みにくい点、わかりづらい表現などありましたら、ご指摘お願いします。

自分の技術でできる限り修正していきます。




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