金山 椿さんてこんな人
金山 椿は、非常に気の長く、マイペースな性格をしている。
椿の人生は、善くも悪くも流されるままであった。
幼少時代は、特に指示が無ければ一日中、ぼーっと日向ぼっこをしているような少年であった、発育画遅れているとかではなく、単に動くのが面倒という、幼児にあるまじき性質のもち主であった。
小学、中学校と反抗期になることもなく卒業、高校は教師に言われるまま、偏差値にあった学校に何の不満もなく入学した。
交友関係でも時折、動きが遅かったり、面倒くさがったりしたが、特に目立つような事はなく無難な友人が二、三人できた。
本人としても強く心惹かれ情熱を傾けるような物を見つけられずに、この先の人生も、まるで、川に落ちた一枚の木の葉のように、ただ流れに任せて揉まれながらもゆるゆると下って行くものだと思っていた。
そんな高校時代、一年のもうすぐ夏休みになろうかという時期に、友人達から一緒にあるゲームをやらないかと誘われた。
VRMMORPG『アーククラフトオンライン』
近年普及してきた、バーチャルリアリティー技術、今までの技術では小型化が難しく、一部の富裕層や施設でのみ利用しか利用できなかった。
だがついに、日本のとあるゲームメーカーが小型化に成功し、一般向けに機器の発売を開始した。
その第一段専用ソフトとして発売されたのが、アーククラフトオンラインである。
全ての物を体験、創作出来るオンラインゲーム、というキャッチフレーズを持って大々的に宣伝されていた。
椿の友人でこのゲームに誘った少年は、極度のゲーマーであり、ちょっとお高いが買えないこともない価格で一般家庭向きに販売された事と、何よりVR機器で初めてのMMORPGゲームであるから絶対にプレイしたいのだと熱く語った。
そして、1人でやるのは寂しいから、一緒にやろうと誘ってきたのだ。
機器の価格が少々高めな事と、面倒くさかったために断ろうとした椿に、購入金額の半分は持つから、あと、もう三台予約してあるから、ともう一人の友人も巻き込んでゆく彼の姿に、半分呆れながらもプレイする事を約束したのだった。
彼ほど情熱を傾けれる物がボクにもあればな、と憧れに近い感情を抱きながら。