ステーキが食べたいです。
デスゲーム
何度か、小説とかで読んだことがある。
確か、バーバリアンプレイしていたらハッカーに乗っ取られたやつとか、神様に召喚されて魔王を倒すまで元の世界に戻せないやつとか、ハズレ武器を選んだ状態でソロでプレイするやつとか。
他にもあったかもしれないが、
取り敢えず大体は、状況の説明とかがあるんだよね。
神様とか、運営会社とか、ハッカーとかが
丁寧に、状況とかどうやったら帰れるかとか。
たと言うのに、ボクの場合は何の説明も無し、やっぱり現実は甘くないってことかな。
めんどくさい、帰りたい、フトンに入ってゴロゴロして1日過ごしたい。
せめてもの憂さ晴らしに釣りをしたいけど、釣り上げた魚をどうにかする方法が思い浮かばないとそれも無理だ。
岩場に居ても仕方がないので、海辺にそってしばらく歩くと、砂浜が見えてきた。
ゴツゴツして、殺伐とした雰囲気のある岩場より、波の打ち寄せる白い砂浜の方が幾分かは気分が良くなるだろうと歩いて来たのは良いけれど。
(イメージと現実ってこうも違うものなんだね)
間近で見た砂浜は、流れ着いて小山になっている濡れたボロボロの流木達、波に押されて打ち上げるられた何かがヌルヌルしてそうな海藻と乾いてカピカピになった海藻の群れ。
少し離れた所で大量の海鳥?みたいなのが大量に群がって居るけれど、あそこには近づかないでおこうと心に決める。
スプラッターな映像は見たくありません。
海水浴場を参考に浜辺の姿を想像していただけに、目の前の光景はなかなか衝撃的だった。
(ボク達の知らないところで海水浴場の人達は、毎日、努力して砂浜を綺麗にしているんだろうな)
現実からやや思考を反らしつつ、綺麗な場所を探して歩く。
砂浜の上は、テニスコートくらいの広さの小さな草原、その向こうは、先ほどの岩場からずっと森が続いている。
その草原と砂浜の間くらいの所が一番綺麗そうだったので腰をおろす。
これからどうしょうか。
目的もなく、土地勘もない、あと、やる気も無くなった。
釣りが出来なくなったのは辛いなぁ
ギルドの仲間達はどうしているだろうか?
ボクと同じようにデスゲームに入っているのだろうか?
それとも運良く回避できたのだろうか?
あの時、町に集まる約束をしていたから、約束の時間通りに集まったメンバーはデスゲームに巻き込まれた可能性が高い。
このゲームにボクを誘った友人は、魔法の仕様が変わったのに気づいたら、デスゲームの有無に関わらず大喜びで魔法を使ってそうだ。
ボクらと一緒に始めたもう一人は、相変わらず正体を隠して人助けをしてそうだし。
他のギルドメンバー達も、それぞれ何か自分の好きな事を楽しんでいそうなイメージしか思い浮かばなかった。
そんな事を考え出すと、落ち込んでいる自分が一人だけ損をしているような気がするから不思議だ。
気分転換に砂浜へ寝転がる。
暖められた砂浜と、それを行った太陽、上下からのダブルアタックでボクの体はぽかぽかに温められてとっても気持ちいい。
こうしていると、嫌な気分も吹き飛んでいく、もう少しだけ横になってから、これからどうするか考えよう。
・・・・・・・
・・・・・
・・・寒い。
ザザザザーー。
波の打ち寄せる音が聞こえる。
何でそんな音が聞こえるのだろう、ボクの家は都内だから、車の騒音なら解るけれど、海辺でもあるまいし聞こえるはずがないのだけれど。
・・・ん?
ボクはその場で起き上がり周囲を見渡す。一面真っ暗だ、見上げると満天の星空。
大小がさまざまに輝く星々が、まるで一つの大河のように集まり光っていた。そこから支流のように広がってるたくさんの星。
ボクは、星座とか、北極星とか、詳しいことは余り知らないけれど、この景色が間違いなく美しいと言うことは理解できた。
しばらく見とれた後、我に返り状況を思い出す。
どうやら、砂浜に寝転がっている内に寝てしまったようだ。
月と星の明かり以外は目ぼしい光源が存在しないので、なんとか物の輪郭が分かる程度の明るさしかない。
虚空に向かって手を伸ばしてみる、四方が闇に囲まれたこの状況は不思議な圧迫感があり、目の前に壁があるように錯覚しそうになる。
くぅ~
お腹が鳴った。そう言えば朝から何も食べてない。
ご飯どうしようかなぁ、やっぱり魚を釣って食べようかな、森に入って果物を探すのもありだと思うけど虫がなあ。
釣った魚の処理に悩むのと、森の中で虫に怯えながら探すのならば、明らかに前者の方がいい、主に恐怖の持続時間的な意味で。
後は、モンスターか動物を狩っては・・・無理だな。
ゲームだった頃は、モンスターを倒したら、光の粒子になって消えて、生肉だけが残ったのだが。
デス・ゲームの世界では獲物を斬り殺したら、血抜きをして、内蔵とか処理したり、その他いろいろやらないといけない気がする。
どこか機械的だった今までと違う、生の感覚を持った魚を思い出す、生きた命を直接狩る、その忌避感が心の中に生まれる。
加工済みの生肉があればいくらでも料理ができるのだけれど・・・
そんな事を考えていて気づく。
(よくよく、考えたら道具がないから火が起こせない。)
流木を擦り合わせて火を起こせば良いって?
自慢じゃないけれど、昔学校のキャンプで、それをやっていつまでも火が着かなかったので、結局ライターで火を着けてもらった事がある。
生肉以前に、生魚だって食べられないじゃないか。お刺身をたべればいい?包丁は?
残る選択肢は、必然的に森の中で食べ物を探すことになりそうだな。
ウォォォォォォン!!
タイミングを測ったように、森の中から遠吠えが聞こえる。
うん、餓死決定ですね。
森怖い。




