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第51話 銀の白百合、分析の調べ ― カンナの静かな懸念


白百合女学院の職員室、夜が深まった頃。

柔らかなデスクライトだけが、部屋を淡く照らしていた。

白百合 カンナ(26歳)は、銀髪ロングを優しく耳にかけて、PCの画面を真剣に見つめていた。

紫がかった瞳には、教師としての冷静さと、管理者としての深い責任感が宿っている。


挿絵(By みてみん)



画面には、白百合女学院の現役生徒たちの花適性データが、レイラインの安定度とともに表示されていた。

カンナはマウスを静かに動かし、指でキーボードを叩きながら、現在の状況を分析し続けていた。

「ふむ……まずは三年生の筆頭、紫藤 楓と橘 玲奈ね。

高校生ながら、現役の一流の中守り人として活躍している。

紫藤の蔓と橘の最強クラスの光……二人のペアはすでに満開を達成し、学園のレイラインを静かに支えているわ。

安定度、非常に高い。後輩の指導にも回れるレベルね」

カンナは軽く頷き、次のデータをスクロールした。

「ただ、ペアを組んでいない単独の能力としては……薔薇宮 ルリカが突出している。

棘の薔薇適性は学園史上稀に見る高出力。

情熱と独占欲が強い分、ペアが安定しにくい影の情熱家だけど、純粋な力だけなら中守り人候補の最有力。

……問題は、その棘が暴走したときの影響が大きいことね」

画面をさらに進め、カンナの表情がわずかに引き締まった。

「三年生と二年生の混合ペアが何組か、満開まで達成して見習い中守り人として活動中。

開花段階まで進んでいるペアも複数確認されているわ。

現状、満開に近い位置にいるのは……」

カンナは特に注目している項目をクリックした。


「すみれ野 あかりと白藤 ゆかりの交花段階ね。

あかりの元気なすみれ適性と、ゆかりの慈愛に満ちた白藤の蔓。

同時絶頂を目指した奉仕練習を重ね、着実に上達している。

光の粒子と花蜜の共鳴が安定していて、良い傾向よ」


続けて、もう一組。


「藤花 ひよりと鈴蘭 詩織も、芽吹きから開花へスムーズに移行中。

ひよりの暴走傾向を、詩織の癒しの鈴蘭が丁寧に鎮めている。

相性は良好……一年前の傷が、少しずつ癒されつつあるわ」

カンナはここで息を軽く吐き、PCの画面を少し大きく表示させた。

問題の核心――大守り人候補の二人。


「そして……最大の懸念は、白百合 桜良と紡のペア……」

カンナの紫がかった瞳が、画面に映る二人のデータを深く見つめた。

桜良の白百合適性は、学園史上最高クラス。

次世代の純血守り人として期待されている。

紡の桜適性は、中程度ながら純粋な想いが強く、献身的な性格が花に表れている。


毎日、ペアから提出される日記を見ながら、


「開花段階が深く進行中……交花の予兆が強く、激しいディープキスと胸への愛撫から、すでに花芯への軽い刺激まで進んでいるわね。

互いの想いが深まり、光の粒子と香りの共鳴も美しい。

しかし……」


カンナは椅子に背を預け、銀髪を指で梳きながら分析を続けた。


「桜良の心は、まだ完全に開いていない。

守り人の重圧と、姉・澪からの慣れた愛撫で体は敏感に開きやすいのに、心の蕾は固く閉ざされたまま。

紡は性的経験がなく、献身的に桜良に寄り添っているが、純粋すぎるが故に、交花の本格的な融合で桜良の深い孤独を十分に受け止めきれるかどうか……」

カンナはデータをさらに深掘りした。


「白百合の適性は、純粋で気品ある光を放ち、周囲の花を導く力を持つ。

しかし、暴走や不完全な満開は、レイライン全体に影響を及ぼす可能性が高い。

紡の桜適性は、可憐で寄り添う癒しが強みだけど、桜良の『大守り人級』の重圧を支えるには、まだ経験と深みが足りないわ。

この二人が本当に満開に至るには……もう少し、互いの心の奥底まで触れ合う時間と、外部からの適切な導きが必要かもしれない」

カンナはPCの画面を一旦閉じ、窓の外の夜の学園を見つめた。

銀髪がデスクライトに照らされ、静かに輝く。

「桜良……紡……

あなたたちの花が、無事に満開を迎えられるよう……

私も、管理者として見守り、必要なら手を貸さなくては」

職員室の静けさの中で、カンナの白百合適性から淡い銀色の光の粒子が、

心配と責任感とともに、そっと舞い上がった。




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