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青空の切り取り線  作者: 夏の月 すいか


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10/11

一万円をめぐる攻防(仮)―前編―

 もう何年も前のことになります。

 当時私が店長を務めていた店舗の駐車場に、飲料の自動販売機が

設置されていました。

 ある日曜の昼のことでした。

 アルバイトスタッフから「自販機に一万円札が詰まったみたいでお客様が怒っています」と報告が来ました。

 こういったトラブルはたまにあります。お金を入れたのにジュースが手で来ないとか、押したボタンと違う飲み物が出てきたとか。

 しかし店は自販機を「置いている()()」です。設置場所と自販機の動力の電気を店が持ち、手数料として売り上げの数パーセントを店がいただくという契約です。

 なので、出来る対応には限りがあるのです。

 私は怒っているというお客様の元へ行きました。駐車場の自販機の前には20代と思われる男女がいました。

 ストレートに言ってしまえば、どう見ても(ヤカラ)でした。

うちの店で扱っているものには似つかわしくない風体(ふうてい)の男女。うちに買い物に来たお客様ではないと今だったら断言できるのですが。そのときはまだ、そう決めてかかって対応してはいけないと思って丁寧な対応を心掛けました。

 ヤカラ男はこちらを威嚇(いかく)するように言います。「どうしてくれるんだ」と。

 アホ女は結局やりとりの最初から最後まで一言も発することなく終始黙っていました。

 ヤカラが言いました。

 「一万円札を入れたら札が詰まって戻ってこない。どうしてくれるんだ」

 どうもこうもありません。一万円を自販機に入れるのが悪いのです。

 店が出来るのはその自販機をその日使用禁止にすることだけです。あとは自販機に貼られた連絡先にお客様から電話してもらい、メーカーから返金していただくと言うのが通常の流れです。

 本当に自販機の故障で困っているお客様にはお手数をお掛けしてしまい申し訳ないのですが…。

 自販機の中身や釣銭の補充は自販機メーカーが行うためこちらは自販機を開ける鍵なども所有していないので仕方ないのです。

 ヤカラに事情を説明しても、ヤカラなので聞き分けがありません。

 「店が置いてるんだから店の責任だ。今すぐ返せ」

 店からは返金出来ない旨を再度伝えます。しかし「今すぐ返せ」の一点張りです。

 日曜日なので自販機の連絡先は対応しておらず、面倒なのは分かります。しかし明日の平日に電話すれば必ず一万円は帰って来るのです。パチンコで一万円を失ったのとは違うのです。

 「今すぐに返せ。店の責任だ」

 その一万円がないと何故こいつはそんなに困るのでしょうか。明日帰って来る一万円を何故こいつはそんなにも急いで返して欲しいのでしょうか。財布の中身が0円なのでしょうか。

 その謎はこの後明らかになります。

  

      ―― 後編へ続く ――


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