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68.FPSゲーマー時代の思い出

伊豆までの道程はまだ長いので、楓達の元の世界での関係性について聞いてみることにした。


「なぁ、楓達ってどうしてハーケンクロイツに入ったんだ?」


真っ先に楓が答えてくれた。


「楓は元々ソロでやっていたんだよね。それで、学校で遥とゲームの話をしていたら、たまたま遥も同じゲームをやっいて、楓のランクとランクマッチのキルレ聞いてきたから教えたら、遥からハーケンクロイツに入らないかって誘われたから入ったんだよ。有名なチームだったし、誘われたときは嬉しかったな」


確か楓と遥は前の世界の高校でも同級生だったんだよな。今の遥の姿を見たら楓はどう思うだろうか。遥の状態については軽く説明はしてあるが、実際に見ると引かれるかもしれない。

長期間マインドコントロールをしなければ元に戻すことはできるらしいから、楓がショックを受けないように日本に連れてくる前には元に戻しておきたい。


次に椿が答える。


「私もソロでデスマッチをやっいたら、優香から突然メッセージで男か女か聞かれて、怪しいとは思いましたが、優香のタグがハーケンクロイツのタグだったので、女と返事をしたら勧誘されました。元々フルパーティーでのチームプレイには興味があっあので、すぐに了承しました」

     

なるほど、上手いのにフリーでチームタグの付いてないプレイヤーはたまにチームに勧誘されると聞いたことがるが、正にそのパターンだな。


次は梢の番だか口を開こうとしないので、楓が代わりに聞いてくれた。


「コズは?」


「椿と同じ」


相変わらず言葉数が少ないが、コミュ障と言うことでは無さそうだ。梢が宣伝大臣だった頃の演説の映像を見たことがあるが、力強く熱のこもった演説で、その場にいる人達が梢の世界に引き込まれるような力のある演説だった。

恐らくだが、話すのが単純に面倒なだけなのだろう。


「じゃあ、皆のメインウエポンは?ちなみに俺はショットガンね」


またさっきと同じ順番で3人が答えてくれた。


「知ってると思うけど楓は誠司と同じショットガンだよ。楓がいるサーバーに粘着してるのに、毎回楓に倒されてトラウマになってないかな?」


そうだった。楓は俺の天敵I_am_a_shotgunなのだ。いつも出会った瞬間に殺されて、リベンジの為にいつも楓のいるサーバーを探してログインしていた。

思えばあの頃から既に楓と知り合っているとは思わはなった。そして、まさかその因縁の相手と結婚することになるとは人生分からないものだ。もしかしたら、元の世界の俺たちもゲームを通じて知り合って、付き合っているかもしれないな。元の世界とは言え楓が他の誰かと結婚するなんて考えたくもないから、是非そうなっていて欲しい。

    

「#noob__ヘタクソ__#ってメッセージを送ってきたときは、何度も部屋に置いてあるクッションにパンチしたけど、まさかその相手と結婚するとは思わなかったよ」


「毎回もやられてるのに、しつこく粘着して来る人がいたから、ちょっと煽りたくなっちゃったんだよね。ごめんね?」


楓はごめんと言いながらも満面の笑みを浮かべている。楓が満足そうで何よりだ。気を取り直して椿に話題を移す。


「私は普通にに#AR__アサルトライフル__#でしたよ。マップが狭いときは#SMG__サブマシンガン__#を使うこともありましたが、基本はARです」


アサルトライフルのことをARと言うところが上級者っぽいけど、しばらく聞いてない言葉だったから一瞬なんのことか分からなかった。

次は梢の番だな。


「#SR__スナイパーライフル__#」


二文字!実に簡潔で分かりやすい。確かに冷静な梢にはスナイパーライフルは向いているかもしれない。


「じゃあ、こっちに来てからは実銃で練習とかしてるの?」


「楓は一度も実銃に触ったことないよ。こっちに来てからも高校生だったし、卒業してからは直ぐに誠司のお嫁さんになったもんね」


今日はずっと笑顔で機嫌が良い楓。怒っている楓も可愛いのだが、やはり機嫌が良い楓は可愛さが倍増するな。


「園田閣下とはヨーロッパで一緒に訓練をしていたので、ご存知だと思いますが、私はこちらの世界に来たときから親衛隊でしたので、毎日射撃訓練はしていましたよ」


椿が言うとおり、ヨーロッパにいる間は毎朝一緒に3kmのランニングをしたあとに射撃訓練と筋トレも行っていた。

いつも一緒にいるから俺の愛人かと疑われたこともあったが、椿が堂々と同性愛者であることをカミングアウトしてからは、俺達の関係を疑うものはいなくなった。

椿の射撃の腕前は日本陸軍の特殊部隊にも入れるレベルで、なかなかのものだった。俺はピストルやショットガンで反射的に近距離を狙うのは得意なのだが、ライフルで遠くの的を狙うのは苦手で、陸軍の内部では下の中くらいの腕前だ。

次は梢の番だがまた自分からは口を開かないので楓が聞いてくれた。


「実銃は触ったことがない」


なるほど、梢は役人的な仕事だったからドイツでも銃を持つことはなかったんだな。


「それなら、折角だから今回の休暇中に皆で鹿狩りにでも行かない?楓は俺が教えてあげるし、梢は椿に教わったら良い」


実はヨーロッパで王族と一緒に何度か鹿狩りに行ってハマってしまったのだ。

折角だから日本でも鹿を狩ってみたいと思って提案した。元の時代ではジビエ料理という野生の動物を食材に使った料理が流行っていた。ジビエの中でもヘルシーな鹿肉は若い女性を中心に人気が高まっていたから、楓たちも喜ぶかもしれない。


「鹿さんが可愛そうだからイヤ」


即答だった。確かに食べるだけなら良くても、自分で殺して、血抜きをするのは女の子にはハードルが高い。

王族と狩りに行ったときは仕留めるところまでは俺たちがやって、あとの処理は同行のハンターがすべてやってくれていたので、実は俺もやったことはなかった。

今回も地元のハンターを雇って仕留めるところまでのつもりだったが、理由が可愛そうということなら無理だろう。


「じゃあ、普通に射撃訓練ならどう?今回ドイツから色々持ってきたから楽しいと思うよ」

    

「ん、それなら良いかも。でも、銃刀法いいの?」


「この時代の法律だと、元の時代よりは規制が緩くて、俺は軍人だから基本的に銃の所持は許可されてるし、民間人でも許可を受ければ護身用の銃は所持できるんだよ。ちなみに、3人の許可は既に取ってあるから問題ないよ」


「じゃあ、大丈夫そうだね。でも、なんか怖いから楓には誠司がちゃんと教えてね?」


「うん、任せといて。たまには楓に男らしいとこ見せないとな」


「そんなの見せなくても誠司はカッコいいから大丈夫だよ」


「うざっ」「ちっ」


梢と椿が聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。まぁ、しっかり聞こえていたが、楓は全く気にする様子もなく俺の腕に抱き着いたままだった。

しばらく戦場にいたから、こういうちょっとした会話でも嬉しく感じるものだな。

早くヨーロッパの課題を片付けて、また日常に戻れるように頑張ろう。

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