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65.椿の隠れ家

宮殿から飛行場に向かう車の中で、1箇所だけ寄りたいところがあると椿からお願いがあった。

ベルリン市内にある椿が住んでいた副総統の公邸にあった私物はゲシュタポにすべて押収されているだろうが、公邸とは別に秘密の部屋をベルリン市内のアパートに借りていたそうなので、そのアパートに立ち寄りたいとのことだった。

そこは椿以外に知っているものはほとんどいないし、3年分の家賃を先払いで支払っていたから、まだ部屋がそのまま残っているかもしれないと言うので、ドイツ軍の運転手に頼んで椿の秘密のアパートに寄ってもらうことになった。

アパートはベルビュー宮殿から車で数分のシュペナー通りに面した、6階建アパートの6階角部屋にあった。

車をアパートの前で停めてもらうと、椿は向かえの建物の1階にあるパン屋に入っていった。数分後、椿がバケットがはみ出した紙袋を持ってパン屋から出てきた。


「お腹空いてたのか?」

    

「いえ、ここのパンは本当に美味しくって、せっかくここまで来たので買ってしまいました。ずっとここのパン食べたいと思っていたのです。あと、そこのパン屋さんのお爺さんが、私のアパートの管理人をしているので、鍵を借りてきました。サンドウィッチもありますけど食べますか?」


椿がチーズとサラミのサンドウィッチを差し出してきたが、俺は会議の合間の休憩時間中に出された軽食を食べたので、あまりお腹が空いていなかったから断ると、残念そうな顔で差し出したサンドイッチを自分で食べ始めた。

軽食を食べたときも俺の2倍は食べていたと思うが、よっぽど美味しいサンドウイッチなのだろう。椿は常に何か食べているようだけど、よくこのモデルのような体系が維持できるものだ。そういえば楓もよく甘いものを食べているが全然太らない。運動もしているところを見たことがないが、太りにくい体質なのだろうか。俺の姉は太ってはいなかったが、いつもがダイエットをしていたので、楓と椿のことを話したらきっと凄い羨ましがるだろうな。

    

椿がサンドウィッチを食べながら目的のアパートに入っていったので、俺も椿の後に続いてアパートの階段を上がる。

この時代はエレベーターがまだ普及していない時代なので、6階建てといえどもエレベーター設置されていなかった。こちらの世界に来てからは陸軍で毎日鍛錬しているから辛くはなかったが、元の世界でゲームばかりしていた俺にはきつかっただろう。

6階の角部屋の前に着くと、パン屋で借りてきた鍵を取り出してドアの鍵を開けた。部屋の中は白にピンクの花柄の壁紙に白を基調とした可愛らしい家具が並んでいた。人形やぬいぐるみも沢山飾られており、普段の椿の雰囲気とは違い、かなり女の子らしい部屋だった。

椿は部屋に入ってから、何も触らずにじっくり室内を見渡していた。


「良かった。誰も中に入った形跡はなさそうです」


「何を取りに来たんだ?」


「この部屋のもの全部です。全部私がドイツ中で集めた可愛いものなので、手放したくなかったのです。公邸には立場上こういう可愛いものが置けなかったので、すべてこちらに置いてあって良かったです。あと、ドイツでもらった給与は、全部金貨に換えてこの部屋の金庫に入れてあるので、それは今日このまま持って帰ります。申し訳ないのですが、荷物を運ぶのを手伝っていただいてもよろしいでしょうか」


「あぁ、構わないよ。それならここの荷物は陸軍の荷物として後から1小隊派遣して、日本に発送してもらうから、とりあえず金貨だけ運ぼうか」


あまり軍をプライベートで使うような公私混同はしたくないのだが、椿にはいつも俺の手伝いをしてもらっているのに、陸軍の所属ではないため陸軍からは給与が出せない。だから、これくらいは椿のために陸軍を使っても許されるだろう。


「ありがとうございます!金庫はこちらです」


金庫はリビングの隣にある寝室のウォークインクローゼットの中にあった。

ちなみにクローゼットにかかっていたいた服はフリフリのドレスや可愛らしいワンピースばかりだった。普段はスーツ姿か寝るときのパジャマ姿しか見たことがないので、椿がこういう服を着ているのが想像できない。

金貨は金庫の中に二袋に分けて入っていたので、椿と一袋ずつ持つのかと思ったら、俺に二袋とも渡してきて、自分はいそいそと大型のトランクに洋服を詰めて、そのトランクを持って部屋から出ていった。

この金貨は一袋がおそらく20kgはあるだろうが、換金したらもの凄い大金になるだろう。それにして、合計約40kgの金を担いで6階から降りるのは恐ろしく重たかった。

アパートの前に停めてあった車に金貨とトランクを運んでから、椿はもう一度向かえのパン屋に入っていき、またパンが入った袋を抱えて出てきた。


「えっ、またパン買ったの?そんなにどうするんだ?」


「次にいつ来られるか分からないのでたくさん買ってしまいました。でも、2日で食べきってしまうと思うので、賞味期限は大丈夫ですよ」


椿のイメージはレズビアンで仕事のできるキャリアウーマンだったが、今回の件で大食いで、ガーリーなレズビアンにイメージが上書きされてしまった。

そのあとはどこにも寄らずに、飛行場に送ってもらい、待機していた大日本帝国空軍の輸送機に乗って、その日のうちにシュトゥットガルトに戻った。


司令部に戻った翌日には幹部を集めた会議を開き、木村元帥達幹部に今回の件の報告して、引継ぎを終えた。

司令部に戻ってから数日後、椿と二人で日本に一時帰国するために、また空軍の輸送機に随伴の戦闘機を付けて、ソ連の領空を通過する経由で日本に戻った。

戦闘機の航続距離の関係で何度かソ連国内の飛行場に降りて給油を受けながら、数日かけてで無事に日本に到着することができた。

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