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49.ワルシャワ前線司令部

1942年8月13日 ポーランド ワルシャワ 日ソ中連合軍司令部


流動的な戦場で最終決定権者がすぐに指示や許可を出せるように日ソ中連合軍の総大将として、遠隔ではなく、日ソ中連合軍の前線司令部で指揮を執ることにした。また、陸軍の元帥ではソ連と中国の元帥と同格になり、指揮命令系統が複雑になるため、元首相で陸軍大臣である俺が三か国の総司令官になって、効率的な軍の運用をする必要があった。

毛沢東も俺が総大将なら人民解放軍は好きに動かして良いと言ってくれて、日本語も話せる中国軍の補佐官を2名付けてくれた。

もしかしたらワルシャワにもドイツの原子爆弾が設置されていないか心配したが、パリには仕掛けたことを通達してきたのだからワルシャワにも仕掛けてあるなら通達すると思い、念のため偵察部隊に捜索をさせたが原子爆弾は見つからなかった。しかし、ここに来てひとつ問題が起きた。遥まで前線の司令部に出てきたのである。


「遥さん、書記長なのにこんなところまで来て大丈夫なの?最前線はここから20kmしか離れてないから、ここもかなり危険なんですよ」


俺はドイツの東部方面軍が使用していたワルシャワのホテルを日ソ中連合軍で借り上げ、最上階のスイートルームを司令部として使用している。

    

「園田さんだってぇ陸軍大臣なのに前線に来ているじゃないですかぁ」


「俺の方は悠斗や翔がいるから国の方は大丈夫だけど、遥さんは代わりの人がいないんじゃないの?」


「あの能力でだれも私に逆らえないように指示しているのでぇ、全然問題ないですぅ。それにぃ、私はこの戦争が終わったら書記長を辞任して日本に戻るつもりですからぁ。良いですよね?」


それじゃあ完全に復讐のためにソ連軍を私物化しているんじゃあないかと思ったが、面倒なことになりそうなので口には出さなかった。


「さすがに元ソ連共産党の書記長を日本国籍にはできないと思うけど、永住許可なら出せると思うよ」


「ありがとうございますぅ。それで十分ですぅ。あとぉ、先ほど楓から連絡がありましてぇ、このメス猫が誠司に色目使ったら殺すからな。と言われちゃいましたぁ」


そう言ってクスクス笑う遥に、俺は乾いた笑いを返すしかなかった。


「それでぇ、園田さんのことが心配だということでぇ、元ドイツの副総統エルマ・ヘスさん。あ、今は#橘 椿__たちばな つばき__#だったかな? まぁ、どっちでもいいですけどぉ、その子今日から園田さんの秘書としてぇ、ここに来るそうですよぉ?」


「えええええええええっ!!!そんなの初耳なんだけど!!!!」


「椿は男子には興味が無いからぁ、楓が園田さんの周りに置ける唯一の女の子になっていますねぇ」


指令室の奥の書斎で遥と二人で話している丁度そのときに書斎のドアがノックされた。


「木村です。妹の会社の社員という女性が閣下を訪ねて来ました。妹の手紙と社員証も持っているのですが、如何いたしましょうか」


「はぁ、通していいよ」


椿が木村三佐に案内されて書斎に入ってきた。話には聞いていたが、白人のモデルのような女性で、元日本人とはまったく思えなかった。


「園田閣下、お初にお目にかかります。SKホールディングス専務取締役に就任しました橘 椿と申します。社長の命令で本日より閣下の秘書として帰国するまでお世話になることになりました。よろしくお願いいたします」


椿はそう言って深々とお辞儀をした。


「あぁ、さっき遥さんから聞いたよ。楓が面倒なことお願いしてごめんね。ここは前線で危険だから、なるべく椿さんは司令部のあるこのホテルにいてくれれば良いよ」


「いえ、常に園田閣下と行動を共にするよう社長から指示されておりますので、今からは常に一緒に行動させていただきます。放っておくと今みたいにまた女性と二人きりになるかもしれませんので」


そう言って椿は遥を睨みつけた。本当にこの二人は友達なんだよな?

  

「あははは。椿ちゃんは見た目は全然元の世界と違うけどぉ、性格はそのままなんだねぇ。久し振りなのにぃ、私には冷たいねぇ。園田さんに色目を使ったりしないからぁ、安心していいのにぃ。ねぇ、園田さん?」


「えぇ、まぁ二人とも、一旦落ち着こう」


「遥さん、お久し振りですね。色目を使う使わないは別にして、今後私がいないところで園田閣下と二人になることはお控えください」


「はいはい、わかりましたよぉ。楓もとんでもない人を寄こしましたねぇ。でも、そう言われると逆に意識しちゃいません?園田さん」


俺はただただ苦笑いをするしかなかった。そのあと、司令部にいた軍の連中には椿を日本から来た俺の私設秘書であると紹介した。


「園田閣下、差し出がましい様ですが、司令部の中にドイツ人が2人おりました。私の姿を見て一瞬目を見開いておりましたね。いかがいたしましょうか」


「椿さんはドイツでは有名人だもんね。どの人か教えてもらっても良いい?」


「はい。通信士の黒髪の女性と、入口で歩哨に立っている背の高い兵士です」


椿が教えてくれたのはどちらもソ連軍の兵士だった。ソ連は新たに加わった兵士が多いので、ドイツのスパイが紛れ込み易かったのだろう。

近くにいた人民解放軍の憲兵に中国語で話しかけた。


「あそこの女と入口の背のでかい男はナチスのスパイだ。気づかれないように応援を集めてあいつらを逮捕してくれ」

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