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41.降伏勧告

結論から言うと、遥は本当に1日でソ連の権力を掌握してしまった。

まず、サンクトペテルブルクの共産党幹部と会い、力を使って遥を共産党書記長代理と認めさせた。そして、周辺の陸軍基地の司令官を傘下に入れた。陸軍をサンクトペテルブルク市街に展開させて、軍が重要拠点を占拠して街を掌握。その後、最寄りの空軍基地の司令官を従わせて、軍の輸送機でニジニ・ノヴゴロド、カザン等のソ連西部の主要都市を次々と周り、サンクトペテルブルクと同様に軍事、政治両方で各都市の権力を掌握していったのだ。

その翌朝には無事だったソ連共産党幹部を全員サンクトペテルブルクに緊急招集し、正式な手続きで党大会を開くまでの臨時のソ連共産党書記長代行に就任した。

    

ソ連南部やシベリア方面までは1日では回れなかったので、ソビエト連邦全土の完全掌握とまではいかなかった。しかし、モスクワが壊滅した今となっては、サンクトペテルブルグを中心とするソ連西部の主要拠点を押さえたことで、他の有力幹部の付け入る隙を与えなかった。

共産党書記長代行に就任した翌日にボイスチャットで報告を受けた。遥の行動力にとても驚いていたし、正直ここまでやれると思ってなかった。遥はひとまず各地の軍を纏めてドイツに対しての報復体勢を整えるとのことで、これから数日はウクライナやチュニジア等も含めて、ソ連中を文字通り飛び回るとのことだった。


同日、ドイツはアメリカとソ連に対して降伏勧告を行った。回答期限は1ヶ月。それまでに降伏をしない場合は主要都市に対しての核攻撃を継続するとのことだった。

この降伏勧告を受けて、アメリカ国内では大きく意見が別れた。ニューヨークが壊滅して、金融市場が麻痺したため、戦争継続の資金の調達が困難になったことと、国内唯一の正規空母の製造拠点であるニューポートニューズを失ったことで、現在は数の優位で拮抗しているイギリスでの制空権の確保も困難になることが予想された。そして、ナチスに対抗するために開発を急いでいた原子爆弾の開発も、開発資金の確保が難しくなったため、無期限の凍結となり、ナチスの核攻撃に対して何の対抗手段も持てないでいた。

しかし、ニューヨーク市民約100万人の命を奪われて、怒り狂っているアメリカ国民にドイツからの降伏勧告を受け入れられるはずもなく、大統領が回答を保留にしている間も、徹底抗戦を訴えるデモがアメリカ全土で続いていた。

   

このまま降伏勧告を受け入れれば内戦まで起こり得る状況になり、やむを得ずアメリカ大統領は降伏勧告を拒否してナチスとの徹底抗戦を決断。そして、核兵器への対策としては、東海岸の人口密集地域からは元の世界の戦時中の日本のように集団疎開が実施された。


ソ連についても国民の怒りはもちろんのこと、復讐を決意した遥が降伏勧告を受け入れるはずもなく、ナチスの降伏勧告に対して即日報復戦争の意思表示をした。

臨時の党大会を開いて代理ではなく正式に共産党書記長に就任した際の所信表明演説では「私は亡き夫に代わって、モスクワの仇は必ず取る!ロシア人は最後の一人になってもナチスを許すことはない!軍だけではない!ナチ党員も同罪だ!ナチスは便所の中に隠れてても絶対に殺す!今日よりソ連はナチスに対する殲滅戦を開始する!」と演説をした。

この演説のあとソ連中から軍への入隊希望が殺到した。特にソ連の女性たちが遥に賛同し、多くの若い女性が軍への入隊を志願することになった。ソ連軍の兵員は過去最大規模に膨れ上がったため、制服や武器の生産が国内だけでは追い付かなくなり、武器、弾薬等、日本への大量発注をかけて、なんとか数を揃えようとしていた。

また、本国を取り戻すチャンスを伺っているフランスなどの植民地の臨時政府は、アメリカとソ連の徹底抗戦の表明と、日本の参戦を予想して歓喜した。この1~2年で日本から購入した武器と植民地から徴兵した兵士で、元の戦力の半分程度までは回復していたので、米英の連合軍に参加を表明した。着実にドイツへの包囲網が完成しつつある。

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