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29.新しいチームメンバー

『解除できたな。遥さんも一緒にいるからすぐ追加してみるわ。ちょっと待ってて』


『チームリーダーがharu_haru3_3をメンバーに追加しました』

    

事情を遥さんに話していたのか、数分経ってからメンバー追加アナウンスが流れた。


『あっ、普通にできたわ。チャットのグループにも登録してみる』


『リーダーがharu_haru3_3をグループに招待しました。』


またアナウンスが流れたが、IDを「サン・アンダースコア・サン」と読み上げているのがなかなかシュールだ。


『あっ、繋がったぁ。皆さんこんにちわ~。近衛遥です。よろしくお願いしますぅ』


ボイスチャットからいつものメンバー以外の声を聞いたのは本当に久しぶりだ。ゲーム時代を思い出す。それにしても、癖の強い話し方だな。


『総理大臣の園田です。よろしく』


『海軍大臣の大槻やで。よろしゅうな』


『どうも、悠斗です。前に赤坂離宮の観菊会でお会いしたことがあったと思うのですが、覚えていますか?』


『もちろん陛下とお会いしたことは忘れないですよぉ』


『それもそうですね。僕も元の世界で天皇に会っていたら忘れないと思います。この度はご婚約おめでとうございます』


悠斗は、おめでとうとと言ったものの、お互い小川先輩と遥さんが、お互いに別の世界から来たことが分かっても、状況は変わっていないだろうか少し不安だ。


『ありがとうございます。私もこれからはソ連で一人頑張っていた俊輔を支えてていこうと思ってますのでぇ、夫婦ともによろしくお願いしますぅ』


結婚はするみたいだな。良かった。これで気持ちが変わって婚約破棄ということにでもなったら、とち狂った小川先輩がドイツにでも攻めていきかねないからな。


『結婚式には3人で出席するので、日取りが決まったら教えてください。それと、実は僕も今日入籍しまして、結婚式の日程はこれから決めるのですが、もし都合が会えばお二人も来てもらえると嬉しいです』


本音では可能な限りは大袈裟にしたくないので、小川先輩に来てほしくないのだが、話の流れ的にもこのタイミングで言っておくしかなかった。


『おう!絶対行くわ!前から話してた楓ちゃんだっけ?』


やっぱり来るよな…。本当に来なくて良いんだが…。


『ありがとうございます。そうです、金曜にプロポーズをして、日曜に両親に挨拶に行って、さっき婚姻届を提出しました』


『はやっ!準備とか色々大丈夫なのか?』


『えぇ、今回は陸将のお嬢さんなので、事前に話はしていたから、すぐに話が進みましたよ』


『楓って、もしかして木村陸将のお嬢さんの木村楓ですかぁ?』


『そうだけど、もしかして遥さんの知り合い?』


『はい、よく知ってますよぉ。楓は同じ学校の同じクラスで、こっちに来てからの初めての友達なんですよぉ。園田さんは凄いって話しを聞かされていたんですけどぉ、まさか結婚するとは思いませんでしたぁ。木村陸将からお見合いの話があったんですかぁ?』


『いや、楓さんのお兄さんが俺の部下なんだけど、楓さんがお兄さんに弁当を届けに来た時に、たまたま始めて会ったのがきっかけかな』


『ふ~ん…、たまたまねぇ?それは絶対にたまたまじゃないですよぉ。楓は園田さんが楓と知り合うかなり前からずーっと、園田さんに片想いしてたんですよぉ。だからぁ、園田さんに会えると思ってぇ、お弁当持って行ったんだと思いますよぉ。だからぁ、楓は本当にすっごくすっごく園田さんのことが大好きなのでぇ、大切にしてあげてくださいね?』


『うん。そんなに人から好かれたことはなかったから、嬉しいよ。もちろん大切にするから安心して』


少々ヤンデレ気質があるが…。しかし、その話しを聞いたら尚更早く楓さんに会いたくなってしまった。


『なんか色んなとこで繋がってて、誰かに仕組まれてるような気がして怖くなってきたのは俺だけか?』


確かに小川先輩が言うように、仕組まれたように色々繋がっている感じはある。けど…


『きっとたまたまですわ、運営やって、自由にしてええって言うとったから』


今回は翔の言うとおりだと俺も思う。世界の多様性を求めて俺らをこっちに送ってきたとしたら、運営が介入してくるのは恐らくそこまでだろう。もし、そういった介入があるのだとしたら、俺らをこっちに送る必要なんてなく、運営が直接何らかの介入をすれば良いだけのことだ。そんな回りくどいことをする意味がない。

    

『そうだな。まぁ、そういう訳でさ、これからは遥ちゃんもチームのメンバーということで、よろしく頼むよ。あとは、藤井達と連絡が取れなくなった理由は、これではっきりしたな。何かトラブルに巻き込まれてたり、俺たちと敵対しようとしていることではなさそうだから、とりあえずは放置ってことにしておくか。皆もそれで良いか?』


小川先輩以外の4人も放置することにに賛同したところで、悠斗が話し始めた。


『小川先輩、すみません、俺からも今回は提案があるんですけが、もう少しよろしいですか?』


『おぉ、良いけど、どうした?』


『今後の核戦略についてなんですが…』

    

前回の定例会議ではドイツの原子爆弾について、日本とソ連の諜報機関の調査で、ドイツが実験に成功した原子爆弾は、ほぼリトルボーイの模倣品だということはが分かった。恐らく抑止力のたに作っただけということは無いという報告から、近いうちにアメリカかイギリスで使用するものと思われる。そのため、実験直後から日本とソ連の在米邦人には、アメリカの東海岸の主要都市から離れるように避難命令を出した。既に東海岸にある日本の企業も政府の全面的な支援ですべて西海岸に移転済である。ワシントンの大使館、ニューヨークの総領事館も一時閉鎖しており、現在は西海岸のロサンゼルスとサンフランシスコに避難させている。一応、今回は毛沢東にもドイツの原子爆弾の実験に成功した情報は渡して、東海岸で使用される可能性がある旨伝えたところ、素直にお礼を言って速やかに中国人を東海岸から避難させていた。この世界での毛沢東は日本という強力なバックアップがあるため、国内であまり無茶な政策をとる必要がなくなり、もともと有能だった彼の手腕を中国の発展のために存分に発揮している。


『事実どおりであればアメリカのマンハッタン計画が今年2月に始動し、3年後の1945年に完成となるため、現在はドイツが世界唯一の核保有国となっているのですが、万が一アメリカが今回の戦争でドイツに敗北するようなことがあれば、世界中の国に対してドイツの核外交が始まるでしょう。そうなった場合、この世界のほとんどの国はドイツの影響下に置かれてしまうことは確実です。そこで、我々はこの状況を指をくわえて見ていることもないでしょうから、日本とソ連も早急に核保有国となる必要があると思います。俺たちがこちらの時代に来てからすぐに、効率が悪い広島型では大量のウランを国内で調達するのが難しいので、長崎型原爆のインプロージョン方式の原子爆弾の研究開発を進めており、理論的にはほぼ完成段階にあるのですが、先ほど申したようにウランの調達が思い通りに行かず、ごく少量のプルトニウムの抽出しかできておりませんので、製造はまだ先になる見込みです。そこで、我々が早急に核兵器を持つために、日本とソ連での共同開発を提案します。いかがでしょうか。』


『なるほどな、断る理由もないし、いいぞ。こっちでもインプロージョン方式での研究はしているが、たぶんそっちの方が進んでると思うわ。だから、技術的には日本頼みとなるかもしれないけど、カザフスタンでウラン鉱床の発見、採掘の開始はしているから、お互い出せるものは全部出して早急に完成させようぜ』


『ありがとうございます。ウランの心配さえなければプロジェクトスタートから半年あれば製造可能とうちの研究者が試算しているので、仮にアメリカが敗北するにしても少なくとも半年以上は先の話になるでしょうから、終戦までには間に合うかと思います。それでは、すぐにプロジェクトチームの結成と予算取りや拠点の候補地等こちらでまとめたものを提案いたしますので、国内での調整の方はお願いします』


『わかった』

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