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18.ザ・ブリッツ

年始の閣議から1週間後の1942年1月14日、ヨーロッパに大きな動きがあったと、国家安全情報局から報告があった。スイスとイギリスを除くヨーロッパ全土をほぼ占領したナチスドイツが、とうとうイギリス本土に大規模な侵攻作戦を決行したといのだ。


イギリス海軍は日本海軍と戦闘になる可能性がなくなったため、無傷の東洋艦隊を本国に帰還させ万全の状態でドイツ海軍の侵攻に備えており、海軍力では劣勢だったドイツ軍はイギリス本土への上陸作成に踏み切れないでいた。

しかし、1942年1月11日にフランスのブレスト(フランス海軍が東南アジアに拠点を移した際に放棄したあとに、ドイツ海軍の大西洋艦隊司令部を設置していた都市)からドイツ海軍主力艦隊に護衛されたドイツ陸軍上陸部隊が出航したとの報を受けたため、イギリス海軍はギリス海峡に防衛線を展開した。そこで、待ち構えるイギリス艦隊に対して、ドイツ軍は新型兵器を使用した。

アイザック達の現代知識を元に開発したHs 300(Hs293をベースに、誘導性能の向上、小型化をした空対艦ミサイル)を搭載した新型ジェット推進爆撃機の大部隊による高高度からの精密爆撃を実施したのだ。イギリス海軍も空母艦載機と対空砲で応戦したが、ドイツ空軍の爆撃機は艦載機の戦闘可能な高度を超えており、対空砲も届かず、艦隊決戦をする前に一方的な爆撃により壊滅した。イギリスに帰還できたのは、救助活動のためにドイツ空軍の標的からあえて外された数隻の駆逐艦だけだった。


イギリス軍は当初ドイツ軍がドーバー海峡を渡って侵攻すると考えていた。しかし、ドイツ海軍はイギリスの予想よりかなり西にあるシートン湾に向かったため、イギリス陸軍の対応は後手に回ってしまった。シートンの守備兵力だけではドイツ軍の足止めにもならないため、移動速度の速い機動部隊を先行してシートンに向かわせ、ドイツの上陸部隊を待ち構えることにした。しかし、これに対してドイツ軍はV3ロケット(V2ロケットにベースに、誘導性能の向上、小型化した弾道ミサイル)を多数投入して、シートンで待ち構える機動部隊と海岸線に構築した即席陣地をほぼ無力化することに成功した。そのため、抵抗らしい抵抗を受けることなく、自軍にほとんど損害を出すことなくイギリス本土への上陸に成功したのである。


第1陣でドイツ陸軍約30万人が上陸し、1月13日中にシートン周辺の占領に成功した。それから約1週間で延べ100万人がイギリス本土に上陸し、イギリス陸軍の激しい抵抗を受けながらも、元の世界の史実とは違い北アフリカに侵攻しなかったロンメル元帥率いる機甲師団が破竹の勢いでロンドンに向け進軍を続けているとのことだった。

なお、今回の上陸作戦に投入されたドイツ軍側の兵力は、ドイツ陸軍全体の約25%にあたり、この時点で出せる兵力のほぼ全てを一度に投入したことになる。


翌14日、イギリス海軍の壊滅とドイツ軍による大ブリテン島上陸の報を受けたアメリカが、世論の後押しを受けて、ついにナチスドイツに対して宣戦布告を行なった。

史実とは異なり、この世界のドイツはソ連と戦わなかったため、東部戦線で疲弊することなく万全のコンディションである。対してアメリカも太平洋戦線に戦力を分散させる必要がないため万全のコンディションである。技術力世界一のドイツ対生産力世界一のアメリカによる人類史上最大の総力戦へと突入したのだ。


アメリカとイギリスの両政府からは、連名で日本とソ連に対しても連合軍に参加するよう大使館経由で正式な要請があった。

この件について、緊急でソ連の小川先輩と協議をした。話し合いの結果、アイザック達とは連絡が取れなくなったとはいえ、現在も日独ソの3か国間は正常な国交は継続しており、連合国に参加するメリットは少ないと判断した。

そもそも、元の世界から一緒に来た仲間であるアイザック達と戦うわけにはいかないので参戦するという選択肢はない。なので、連合国への支援はイギリスの民間人に対する人道支援に留め、日ソ共に中立の立場を表明した。

しかし、アイザック達とは俺たち日本陣営とも、ソ連の小川先輩とも相変わらずボイスチャットでの連絡は取れず、彼らの身に何かあったのか心配したが、二人とも公式の場に姿を見せているし、通常の外交ルートではドイツとの国交はこれまで通り続いている。


1942年1月15日午前5時頃、ドイツ空軍はロンドン市街に大規模爆撃を決行した。初めてのイギリス空軍とドイツ空軍との本格的な空戦とあって、ここまで兵力を温存していたイギリス空軍も出し惜しみなく大量の戦闘機を迎撃に向かわせたが、ドイツの最新式のジェット戦闘機に性能でも数でも圧倒され、ロンドンの制空権を数時間で取られてしまった。

イギリス空軍の迎撃機がいなくなったロンドンに、ドイツでは旧式となったレシプロ式の大型爆撃機の大編隊による史上最大規模の空襲(ザ・ブリッツ)が始まった。

ドイツ軍の空襲が始まってから、初日だけで約2万人の逃げ遅れたロンドン市民が犠牲となった。

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