プロローグ
コックリさん コックリさん おいでください。
誰も指を動かしていないのに、コインは動き続ける。
『はい』
どうやら、降霊は成功したらしい。さくらちゃんは驚きつつも嬉しそうにこちらを見る。
私の名前は霊跡さざね。一緒に儀式をしている彼女は源さくら。
少し変わっているが、優しい友達だ。
――私は、自分の家系が神職ということもあり、昔から怖い物には興味があった。
ある日の休み時間。私は唯一の親友、さくらちゃんからコックリさんに誘われていた。
「最近テストの点が悪くってさぁ、だからコックリさんに問題を予想してもらおうかな〜って! 」
「ちゃんと勉強したらいいのに……」
彼女に少し呆れつつも、私は少し気になっていた。
「コックリさんかぁ」
実は前から興味はあったものの、特に質問することもなくてやり出せずにいたのだ。
「使う道具とか、準備は私が全部やるからさ!
お願い! 」
「やります!」
それを聞いた私は、即答した。
そもそも、こっくりさんは低級霊を呼び出す儀式。危険な霊は来ないはず、そう確信していた。
「じゃあ、明日!放課後3階の空き教室でやろう!」
「了解。あ、でも待って」そう言いながら走って帰ろうとする彼女を引き止める。
「呼び出した霊に対して、相手の情報を聞くような質問はしちゃだめだよ。降霊させた霊に、呪われちゃうから!」
「へえ! わかった! でも、さざねちゃんのお姉ちゃん、巫女になるんでしょ?最悪呪われたらお祓いしてもらうって!」
「あのねぇ、呪いを舐めちゃいけないよ……って、いないし」
彼女はもうすでに帰ったようだ。お祓いは簡単じゃない。
失敗してしまうと、呪われた者も、払おうとした者もその場で魂を食われてしまうからだ。
そして私達は、次の日放課後にコックリさんを始める。
――「コックリさん、コックリさん、あなたは、誰ですか?」
さくらちゃんは尋ねる。
....
おかしい。
さくらちゃんが聞きたいと言っていたのは、テストの予想だ。
しかも、その質問は禁じられた質問。
あれほどしてはいけないと、言ったというのに。
霊を知ろうとする。情報を直接得ようとする。
そんな人間に、霊は呪いをかけようとする。
……
周囲にひんやりとした空気が漂う。
「さくらちゃん、その質問はダメだよ!」
そう叫びながらさくらちゃんの方を見ると、
彼女の目からヘドロのような、黒いドロドロとした液体が溢れてきている。
『繧「縺ッ縺ゅ?縺ッ繝上ワ繝上?縺ゅ?縺ゅ?』
目から溢れてきているヘドロのようなものが、彼女の顔を、体を、侵食していく。
そんな彼女をみた瞬間、ぐわんと、視界が歪んでいく。
――そして、先ほどまで教室にいたはずなのに、どこまでも続いているかのような真っ黒い空間に、
私は居た。
目の前には、ポツンと牢屋がある。
その牢屋は、石の壁で囲まれていて、鉄格子から中を見ることができた。
「何、あれ、さっきまで教室にいて、さくらちゃんがヘドロに…」
でも、なぜかあの中が気になる。まるで呼び込まれているかのように、私の体は勝手に牢屋に向かおうとする。
近づくにつれて、何かが腐ったような鼻をつく酸っぱい匂いが増していく。
「カビ臭い……」
その時、突然扉がバァン!と音を立てて開いた。
中から黒い狐が出てきた。見た目は幼い小狐のように見えるが、私がその時抱いた、イメージは……
巨大な怪物。どこまでも続く、深い闇。冷や汗が私の頬を伝う。そんな私を嘲笑っているのか、その狐は、ニィィと、気持ち悪い笑みを浮かべる。「こ、こっち、こないで……」言葉が上手く発せない。
そのまま狐は、私の言葉を無視し、
ゆっくりと歩いてきて、足元のすぐそばまで来た。狐の口が、ゆっくりと開く。
『お前を、縺雁燕繧堤オカ蟇セ險ア縺輔sゅ?』
その言葉を聞き取れなかった。キーンと、耳鳴りがなる。視界が歪み、私は意識を失った。
この作品は、私テニの処女作です。言葉遣いが拙いかもしれませんが、ご容赦ください。
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