第三話決意と準備
第三話決意と準備
私は彩那の『咲美ちゃんが錦秋通りに行くなら私たちも行ってみる?』という誘いに乗って行くことになった。
彩那と錦秋通りに行けることは嬉しい…………嬉しいけどやっぱり咲美が心配だなぁと思いつつも咲美が幸せになるかもしれないことを嬉しく思う自分もいる。
すると彩那が
「ねえ愛海ちゃんと飲み物と食べ物持って行くよ。確かあの通り、花見出来たよね……だからさ咲美ちゃんの様子を見たあとでも花見してから帰ろ……ね、ダメかな?」
彩那の頼みは私が断れないって彩那は知らないんだろうなぁ
「いいよ花見してから帰ろう……でも家に花見に合いそうな物ってあったっけ?」
彩那はいつもの明るい笑顔で
「分かんない無かったらなかったで二人で買い物に行けばいいじゃん」
「買いに行くにしてもお金はどうするの彩那?」
私が聞くと彩那は嬉しそうに紙を見せてきた
「じゃじゃ〜ん!! 『スーパーマーケット天下統一天野店』で昨日までしてた『対象商品を買ってシールを集めて応募すると商店街で使える一万円分商品券が千名様に当たる!!』ってキャンペーンで当たった商品券……これを使えば一万円分なら買い物できるよ!! 本当は当たると思わなかったから驚いてるよ〜」
そんな貴重な物を私に使っていいのかな……
「本当に彩那がこの人と行きたいって思える人に使ってくれた方が私は嬉しいだけどな…………」
彩那が「私は一番好きな……友達の愛海と行きたいから誘ったんだよ。もしかして私とじゃ嫌だった?」と聞いてきたことにどうしてだろうと思ってたら一つ気づいた。
「ねえ彩那もしかして私考えてたらこと口に出てた!?」
私が彩那に聞くと彩那はこくりと首を縦に振った
そして聞かれたことに私は照れながら答えた
「私は彩那に一番好きな友達って言ってもらえて嬉しいし……彩那と行けることは嫌じゃない……はっきり言うね、誘ってもらえて嬉しいよ」
私がそういうと彩那は嬉しそうに
「ありがとう……私も愛海と行けるの嬉しいからさ……これからもた〜くさん思い出作ろうね!! さあ早く行こ行こ!!」
彩那はそういいながら私の手を引き、走り出した。
「ちょっちょっと彩那!? 冷蔵庫まだ見てないでしょ!!」
私がそういうと彩那が焦りながら
「ごめんごめん見てなかったね。楽しみで早く行きたくて……」
そして私と彩那は冷蔵庫を見に行った。
冷蔵庫の中に入っていた物は晩御飯として『スーパーマーケット天下統一』略して"スマテン"で買っていた十貫の握り寿司と二リットルの麦茶とかまぼこだけだったので私は
「彩那……買いに行こう今すぐ行こう!!」と言いスーパーマーケット天下統一に向かうため私は彩那の手を引きながら家を出た。
十四分後私たちはスマテンに着いた
そして買い物カゴをカートに置いて店内に入った。
「ねえ愛海何買う? 花見するならさ、桜餅買わない?」
「どうしたの彩那? 花見の時いつもは三色団子買ってるのに」
私がそう聞くと彩那が天井の『スマテン限定!! 脅威の一個二十センチ!? 六個入りで驚愕価格二十円(正直言って赤字です)我が社惣菜バイヤー厳選餅米使用花見のお供にも日常のおやつにもいかがですか?』と書かれたビニール幕を指差して
「あれ見たら食べたくなっちゃった……愛海も一緒に食べる?」
一緒に……ってダメだダメだ今私変な想像してる……彩那が私にあーんってしてくれる想像したって彩那に言ったら嫌われるよね
「ねえ彩那……一緒に食べるってどうやって?」
「それは六個入りだから半分の三個を愛海にあげるんだよ。何かあった?」
「何か……か……う〜んあったといえばあるけどないといえばないのかも?」
私がそういうと彩那が笑顔で
「何それ……面白いね」と言ったのを見て私は改めて思った。
私ってやっぱり彩那のこと好きなんだ、しかし私は彩那とは釣り合わない……それに彩那には私よりいい人がいるはずだと。
あぁなんでいっつもこんなことばっか考えちゃうんだろ……こんなだから私は私のことが嫌い、それだけならいい……私は昔"許されない事"をした。
私は罪悪感に苛まれている……相手からしたら『そんなの知ったこっちゃねぇよテメェなんてとっとと消えていなくなれよゴミカス未満の存在が!!』って思うに決まってる
分かってる私なんかが生きてたって意味なんて……私がそう思っていると
「ねえ愛海今辛いって思うような事考えてるでしょ……話せる時でいいから話して……一人で抱え込まないで本当に。今はこれから行く花見と買い物のことを考えよ……ね?」
「すぐには……難しいかもしれないけど頑張ってみるから、その時は聞いてね彩那」
彩那なら否定はしない……そう思ってはいるけどやっぱり悩みを聞いてもらうのは否定されたらと思うと怖い……もしもを考え始めたら……ダメだダメだ
パン!!
「どうしたの愛海!?」
「ごめん彩那びっくりさせて……花見の後で絶対話すから!! それじゃ、買い物再開しよ。私も彩那と同じ桜餅買うね……咲美にも二個ほど買って帰ろうかな。他には何にする?」
私が彩那に聞くと
「甘酒とかどう!? 一度飲んでみたかったんだぁ、ねえ愛海を一緒に飲もうよ!! 確か甘酒はアルコール度数が低かったから私たちでも買えたはずだよね? 大人になったら甘酒じゃないお酒を愛海と二人きりで飲みたいな……な〜んてね、えへへ。でも一緒に飲みたいっていうのは本当だからね!! 二人きりじゃなくてもいいから……いつか出来たらいいね」
「そうだね彩那……私がもし大人になって最初に買うならほろよいにするかな。(もしも酔って父さんみたいになったら嫌だから。まずは度数の低いのから段階的に飲んで自分がお酒に強いかどうかを知らないといけないよね)確かパック飲料の場所にあったよね」
そしてパック飲料のコーナーに向かった
ガラガラガラガラ……キキィー
「ちょっと彩那カートで走ったら危ないよ!!」
「あったあった……なんか色んな物があるね。ねえ愛海甘酒ならアルコール入ってても買えるし……乾杯〜ってやつやりたい!! ねっせっかくだからやろう……ダメ?」
「だから……私が断れないの知ってるでしょ、特に彩那の願いはね(その上目遣いほんとやめて……可愛すぎるから!! 彩那絶対わかっててやってるでしょ……まあそれを教えたのが昔私だからなぁ……可愛い彩那を見られることを喜べばいいのか、彩那に変なことを教えたこと昔の自分を怒ればいいのか複雑だなぁ)彩那乾杯〜ってしたいんだったらコップも買った方がいいんじゃない? コップに注いで飲んだ方が雰囲気は出ると思うんだけどどう?」
私は『これはお酒これはお酒』みたいな自己催眠にかかって本当に酔うかもしれないということを心配している。
私の提案に彩那は笑みを浮かべ賛成してくれた
「いいねそれ……ありがとね愛海。さっそく行こ行こ!!」
三十二分後
そして私と彩那の買い物が終わった
「いっぱい買ったね愛海」
「そうだね彩那……ねえ何か大事なこと忘れてない?」
私が彩那に問うと
「忘れてることなんだろう?…………あ〜!! 咲美ちゃん追いかけてないや……えへへ、愛海との買い物が楽しすぎて……今からでも間に合うかな?」
間に合うか間に合わないかでいうと間に合わないかな、だってついさっき咲美からLINEのメッセージスタンプで『お姉ちゃん、私ね灯凪と付き合うことなったよ〜だからね灯凪の家に泊まって帰るから、お姉ちゃんもガンバ!! 彩那ちゃんには言ってもいいからね』と来ていたので『おめでとう』とスタンプで返事をしたばかりだ
「咲美灯凪ちゃんの家に泊まるみたいだよ」
私が彩那に咲美が灯凪ちゃんと付き合い始めたことは今はまだ内緒にしておこう
付き合ったってことはやっぱりどっちかが告白したんだよね……すごいな、私にはそんなに勇気が出てこない。
本当は違う私はただ彩那に気持ちを伝えて断られるのを恐れているだけの意気地なんだ。
ってさっき悩みを話すって決めたばかりでしょ私!!
好きって気持ちはまだ伝えるのは難しいかもしれない……だけど彩那に聞いてほしいことはまだたくさんある。
だから今は暗くなるのはなし!!
「ねえ錦秋通りで花見したあとでさ彩那がいやじゃなかったらなんだけど、咲美が灯凪ちゃんの家に泊まるじゃん……だからさ……そのぉ彩那今日家に泊まってかない? お泊まり会というかパジャマパーティーというか……まあそんな感じ……久しぶりにどう?」
「…………え、いっいいの? 本当、嘘じゃないの? 私も久々に泊まりたいって思ってたから、えへへ嬉しい。それじゃあ早く錦秋通りに行こうよ愛海!!」
「うん、それじゃ行こっか彩那」
そして私と彩那は買い物を終わらせ錦秋通りに向かった。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来るときにしますね
一旦三話まで書けましたので投稿しました