表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/58

 3-4 旦那様


「いずれにせよ、命令通り三か月間は一緒に暮らすしかない。あれこれ考えても仕方がないさ」


結婚相手に王家の厄介者を押し付けた、というのは、龍族の側も同じだろうと、律は思う。


むしろ、国も文化も違う龍族の男の許に、たった一人で嫁がされた彼女の方が、どれだけ心細いだろうか。


怖がらせるのも可哀想なので、律はこれまで、紅悠の身の回りのことは圭に任せ、自分からはなるべく関わらないようにしていた。


明はまだ、納得のいかない顔をしていたが。


「…仕方ないですわね。まあ、どうせ今回の結婚は、三か月だけのお試しなんでしょう?そんな子、期限が来たらさっさと追い返しちゃえばいいのよ」


「おや、お互い同意すればそのまま継続も出来るんだろう?」


朗らかに笑う翠を、明がキッと睨み付ける。


そんな兄妹を前に、律は小さく苦笑して。


「それじゃ、俺は日が暮れないうちに戻るよ」


「ああ、気を付けてね」


「律様、今度またお屋敷にお邪魔させてくださいね!」


城門へと向かう律の後姿が見えなくなった頃、翠がぽつりと呟く。


「律のやつ、また霊気が減ったみたいだ。あいつも本当なら今頃、ここで役職に付いていてもおかしくない実力だったのにな…」


龍族王家の人間は、持てる霊気によって与えられる職務がある程度決まっている。力のある者ほど国政に近い役職に就き、地方の村の首長などは、王族の中でも最下層の位置づけだ。


翠も始めこそ青龍族の村の首長を務めていたが、数年後には王宮の役人に昇進し、今では皇帝補佐官の一人として任務にあたっている。


「律様は、まだ本気を出していないだけよ。今に王宮の上位役職に昇り詰めるわ。お試し期間が終わるまで、狐の娘が足を引っ張らないといいんだけど…」


「ん?それはおかしいな。伝説では狐族の娘と結ばれれば、力は強まるはずだろう?」


「もう、お兄様、そんなおとぎ話はやめてください!このままじゃ律様が可哀そうよ!」


唇を尖らせる明を翠がのんびりと宥めつつ、二人は王宮の中へ引き返していった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ