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千草の懸念、忍び寄る影

 前のバベル怪人三体による襲撃。

 それを撃退したバルドルのヒロインであるレッドルビーとブルーサファイア。

 彼女らもまた、バベルの面々のように基地に集まっていた。


「ごめんなさいね、なぎささん。かすみさんも」


 そう彼女たちに告げたのは司令である千草。

 彼女らが今いる場所は、以前慰労会を催した談話室だった。

 なぜ会議室ではなくここに集められたのか分からない渚は、千草に対して問いかける。


「それで、なんで今日はここに?」

「会議室と司令室はちょっと業務関係で忙しくて、ね? それでここに来てもらったの」


 千草の説明に得心がいったのか、霞は頷きながらここにいない水瀬について告げる。


「……あぁ、それで。水瀬さんもここにいないんですね」

「ええ、そうなの。水瀬さんは私の変わりにちょっと頑張ってもらってるから」


 そう言って苦笑を浮かべる千草。

 彼女、水瀬歩夢の本職はオペレーターであるが、千草と同じくバルドルの最古参であることと、何より前身となる組織からの付き合いであるため千草の考えが読めることから、彼女が何らかの理由で席を離れる場合代理を務めることがある。

 もちろん組織である以上、労働に対する対価はきちんと払う必要があるため、彼女にはその分の特別支給があったりする。

 まぁ、それ以上に水瀬に対しては千草も何度か副司令になるように要請していたりするのだが、それは固辞されている。


 それはともかくとして、千草は今回二人に集まってもらった理由について説明する。


「それで、今日二人に来てもらった理由なんだけど……」


 その言葉と同時に談話室の扉が開かれ、一人の女性が入ってくる。


「あっ、千草さんよかった。ここにいたんだね」

「あら、レオーネさん? 早かったわね」


 そこに現れたのは官房長官のもとへ報告に行った筈のレオーネであった。

 レオーネは千草の指摘に、恥ずかしそうに笑いながら話し始める。


「それが、ちょっと……。今、向こうが忙しいらしくて……。あ、でもちゃんと、あの戦利品は渡してきたよ」

「そうなの、ありがとうレオーネさん」

「いえいえ……。で、これはどんな集まり?」


 そう言いながら、レオーネは談話室にいる渚と霞を横目に問いかける。

 それで先ほど出鼻をくじかれた千草は、今度こそ集めた理由を説明する。


「ええ、それは……。ちょうど良いわ。レオーネさんも聞いていってもらえる?」

「……うん? 良いけど、ボク。一応部外者になるけど良いの?」

「ええ、構わないわ。それで今回集まってもらった理由なんだけど――」


 そう言うと一息つく千草。そして、深呼吸して気を落ち着かせると再び話し始める。


「バベルの復活に連動してるのかは分からないのだけど、日本各地で不審な事件が発生しているようなの」


 その言葉を聞いて神妙な顔をする渚と霞。そしてレオーネは少し顔を引きつらせている。

 その後レオーネは強張った声で問いかける。


「その、不審な事件っていうのは何が原因か分かってるの?」

「……いえ、それがまったく。少なくとも分かってるのはバベルとはやり口が違う。というところね」

「……そう、なんだ」


 千草の言葉を聞いたレオーネは腕組みをすると思案し始める。

 そんな彼女を見ながら、千草は二人に対してとあるお願いをする。


「それで、ね? 二人にはもしもの時、こちらに連絡してほしいのと、緊急時には二人の判断で行動してほしいの」

「……それって、場合によっては()()()()()して戦闘しても良いってことですか?」


 千草のお願いを聞いて、思わず聞き返す渚。本来、レッドルビーとブルーサファイアとしての活動は、バルドルの認可の上で行われている行為のため、彼女のお願いは異例とも言えた。

 もちろん、バベルとの戦闘に関しては既に許可されているため問題はないが、今回の件。犯人について完全に不明。ただの人間である可能性だってある。

 そんな相手に力を行使しても良い。責任はこちらで取る、と宣言したのだから渚の驚きも理解できるだろう。


 もちろん渚も一般人相手に力を行使するつもりはない。

 だが、世間はそう取らない可能性は十分にある。


 その危険性を考えても、なおその処置が必要だ、と千草は判断したのだ。

 そんな千草の覚悟を感じた、渚と霞もまた力強く頷くのだった。

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