激闘、サモバット
「はぁぁっ――!!」
ブルーサファイアは気炎を上げるとサモバットへ突撃!
同時にブルーコメットを双剣に変形させ、疾風怒濤の斬撃をお見舞いする!
「ぬ、ぅぅぅ!!」
それをサモバットは翼を硬質化させ迎撃。しかし、ブルーサファイアの気迫に押されたのか、あるいは彼女自身、精神が肉体を凌駕し限界以上の力を発揮しているのか迎撃が追い付かず、少しづつ傷が増える。
「な、める、なぁぁぁぁぁぁ!!」
「ッ――――!」
だがサモバットとてバベルの怪人として意地がある。このままなす術なくやられるなど論外。
その意地がサモバットが反撃する気概を与え、実際にしてみせた。
そのことに驚くサファイアだが、すぐに気を取り直すと斬りかかってきた翼に合わせるように双剣を当て、反撃を逸らす。
さらにサファイアはそのまま下がり間合いを開くとブルーコメットをライフルモードに!
――銃声が響く、マズルフラッシュが瞬く。
ライフルから放たれた弾丸は寸分違わずサモバットのもとに――。
「なめるな、と言ったぁぁぁぁ!」
サモバットは、そう怒声を上げると身体を無理矢理捻り弾丸を回避。そしてさらに距離を離すように飛翔!
「遠距離攻撃が貴様だけの特許だと思うなよ! カァァァァァァァァァァ!!」
サモバットが叫ぶと同時に目から熱線が、もはや怪光線とでもいうべき光が発射される。
「……ッ!」
だが、サファイアはそのデータを把握している。そして把握しているということは、最初から可能性を考慮。言い換えれば初見殺しとはなり得ない!
バックステップすることで怪光線を回避すると、彼女は再びライフルを発射!
だが、その弾丸は無情にもサモバットに回避される。
そもそも、現状サモバットが空中で飛んでいる以上横方向だけではなく、縦方向で回避する。という選択肢も増えている。
つまりそれだけサモバットは回避しやすく、逆にサファイアは攻撃を当てづらくなっているということだ。
そしてライフルではどうしても当てるのは難しいだろう。
ならばどうするか?
点での制圧が難しいなら面で制圧すれば良い。
しかし、面で制圧といってもどうするか?
その答えは簡単だ。
一発の弾で仕留めるのが無理なら、その一発の弾を分裂させれば良い。
――即ち、散弾だ。
しかし、今のライフルでは流石に散弾は無理だ。
そこまで考えたサファイアはブルーコメットをライフルからバズーカに変形。
ブルーコメット内で散弾タイプのバズーカ弾を生成するとすぐさま発射。
サモバットも何らかの対策を取ったのは理解していたようだが、流石に散弾は予想外だったようでそのまま銃弾の雨霰を浴びてしまう。
「ぐ、ぅあぁ――!」
いくら散弾とはいえ、もともとブルーコメットを製造したのはバベルであり、その威力は一級品。
さらにいえばブルーコメット自体ワンオフ品であることから威力や性能は通常品とは比べ物にならないほど向上している。
そしてそれほどの威力の弾丸を直撃で受ければ、いかにパワーアップしたといえどもともと飛行するため装甲を薄くしているサモバットには過剰すぎる威力となる。
しかもそれを全身に浴びたのだ。
サモバットは文字通り蜂の巣になりながら身体からスパークが奔る。
「ぐ、……おのれ」
これ以上上空に留まったとして、散弾で迎撃され続ければ手も足も出ず撃破される可能性すらあることを理解したサモバットは地表に降りる。
そしてせめて一矢報いたいサモバットは超音波による攻撃を――。
「……今ッ!」
――しようとして口を大きく開いた隙をつきサファイアはサモバットのもとへ駆ける。
ほんの僅かな隙。だが、常人よりも遥かに高い身体能力を持つサファイアであればそんな短い隙で十分だった。
一瞬にして懐に入られたサモバットは、慌てて翼を使い迎撃しようとするが――。
――斬!
その前にサファイアはブルーコメットを大剣モードに変形、そのまま横薙ぎで胴体に叩き付けると力任せに上半身と下半身を両断する。
「お、おぉぉぉぉ……」
両断され、上半身と下半身が泣き別れとなったサモバットは機械部品を撒き散らし、上半身と下半身。それぞれが地面に堕ちる。
そして切断部から光が奔ると断末魔の叫びを上げる。
「お、おのれブルーサファイア……! 一度ならず二度までも……。――大首領に、バベルに栄光あれぇぇ!」
断末魔を叫び終わるとともに大爆発を起こすサモバット。
サモバットを撃破したことを確認したブルーサファイアは採石場から駆け出す。友を、親友を助けるために。
「待っていて渚。すぐに助けにいくから――!」
そうして彼女は採石場を後にし、レッドルビーのもとへ急ぐのだった。