もう一つの戦い、前哨戦
時は少し巻き戻り、レオーネが市街地でロブラスターと対峙した頃。
レッドルビーとブルーサファイアは転送装置によって郊外へ無事にたどり着いていた。
「……ここがバベルたちの暴れている場所?」
「…………なにも、ありませんね?」
二人が言う通り、彼女らの視界には長閑な風景――畑すらない、だだっ広い草原――が拡がっていた。
明らかに破壊工作する必要がない場所であり、転送装置が場所を間違えた、と思っても仕方ない状況。しかし――。
「ようやく来たか、我が怨敵たちよ――!」
不意に聞こえた、憎々しげな声。
その声につられるように、二人は声の主へ振り返る。
そこには目標としていた怪人たちと、それを守るように配置されたバトロイドたちの姿。
「ガスパイダー!」
「……サモバットもいるようですね」
二体の怪人を見つけたヒロインたちは戦闘態勢に入る。
だが、それに対して怪人たち、ガスパイダーとサモバットは動く様子がなく――。
「さぁ、貴様ら。貴様らの力をヒロインたちに見せつけてやれぃ!」
彼らを守るように配置されたバトロイドたちを二人にけしかける。
怪人たち、特に直情的なガスパイダーが自ら動かないことに疑問を抱くレッドルビー。
しかし、目の前に倒すべき敵であるバトロイドたちが迫ってくることもあって、それの対処を優先することになった。
「いくよっ、サファイア!」
「ええ、ルビー」
二人はその掛け声とともに分散。
それぞれが迫ってきたバトロイドを撃破するため、行動に移る。
まずはレッドルビー。彼女は不用意に近づいてきたバトロイドの懐に飛び込むと――。
「はぁぁぁっ! ――せいっ!」
気炎を上げながら右ストレート!
バトロイドの胴体をぶち抜きながら吹き飛ばし、さらには。
「はっ! てぇいっ!」
両腕を広げるとともにPDCを起動、超能力の波動を照射し辺り一帯のバトロイドたちを吹き飛ばす!
一方、ブルーサファイアもまた己の専用武装、ブルーコメットを双剣モードに変形させると……。
「……これで一気に終わらせる!」
バトロイドたちの隙間を縦横無尽に駆け巡るとともに武装を、そして本体を切り刻んでいく。
そして近場のバトロイドたちを排除すると、今度はガトリングモードに変形。
「さぁ、消えなさいっ――!」
引き金を引いて、バトロイドを面ごと制圧する!
事実、ガトリングの掃射を受けたバトロイドたちは腕部や脚部、もしくは胴体自体を撃ち抜かれ機械部品を撒き散らしながら爆散!
辺り一面がバトロイドの爆発に巻き込まれ焼け野原となっていく。
それでも、なんとかブルーサファイアに一矢報いようとガトリングの死角である背後に回り込み、ライフルで反撃を試みる。しかし――。
「……させないよ! ――サイコ・バスタァァ!」
それに気付いたレッドルビーのサイコ・バスターに武装ごと貫かれて爆散。
背後で爆発が起きたことで、狙われていたことに気付いたブルーサファイアは、彼女に礼を言う。
「ルビー……! 助かりました!」
「サファイア、気を付けて!」
「ええっ!」
その後も二人は付近のバトロイドたちを殲滅する。辺りにはバトロイドの装甲がひしゃげる音が響き、爆発による衝撃波が撒き散らされる。
そしてすべてのバトロイドが殲滅されると二人は――。
「さぁ、後は貴方たちだけっ!」
「覚悟っ!」
怪人たち、ガスパイダー、サモバットに向けて戦闘態勢を取る。
そんなヒロインたちに二体の怪人も――。
「いくら性能が良くなったといえど、流石に貴様らの相手は厳しいか。――だが!」
「我々をバトロイドと同じだと思うなよ。レッドルビー、ブルーサファイア!」
彼女らに応じるように戦闘態勢に入るのだった。