表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/199

救援

 一方その頃、立塔市商店街。市民への避難勧告が行われ、閑散とした同地区でレッドルビーは大量発生した魔物相手に奮闘していた。


「はっ! せい――!」


 彼女の拳がゴブリン型の魔物、その腹部を貫く。血と、臓物を撒き散らしながら絶命する魔物。そして倒れ伏した死体は霧が晴れるように薄くなり消えていく。


「次……!」


 だが、周囲にはまだまだ魔物の数はたくさんいる。

 ゴブリン型、以前オーラムリーフが討伐したオーガ型に狼男型。他にも伝承で魔物とされそうな異形たちの姿がある。


「……っ!」


 魔物の数の多さに辟易としつつも、レッドルビーは歯を食いしばりサイキックエナジーを放出。体にまとわせる。

 いま、ここにいる魔物たち。その魔物たちは以前現れたオーガ型とは違う、ちょっと厄介な点があった。


「ダメージの、入りが鈍い……!」


 そう、あの日。魔法少女オーラムリーフと出会った初めての日。あの時は間違いなくルビーの打撃やサファイアの斬撃は効いていたのだが、今は普通に打ち込もうとしても何やら薄い膜のようなものに阻まれ、効果的な攻撃が出来ない。考えられるのは、一種のバリアらしきものを展開している、というのが妥当だ。

 だが、ルビーに関してはそれを突破できる力があった。それが彼女自身が持つ超能力。

 恐らくではあるが、魔物に対抗できるのが魔法少女であることからも分かるように、このバリアらしきもの。これはいわゆる超常的な力を苦手としているらしく、それがルビーの超能力とうまく合致している、というのがバルドルの見解だ。

 その他にもバリアを破壊できるほどの大火力で押し切る、という脳筋的手法もあるが……。


 そのことから超常的な力。いわゆるオカルト方面の能力はないが大火力はあり、しかし実際に行動すると経戦能力に難が出るサファイアは、魔物特効ではあるがまだ経験の浅いオーラムリーフのフォローにまわっている。

 しかし、それでも今回のように広範囲に魔物が現れた場合。どうしてもバルドル単体では戦力の少なさが問題となってくる。

 なにせ、実働戦力がルビー、サファイア、オーラムリーフの三名しかおらず、なおかつサファイア自身も前面に立つのは難しいという有り様。

 そして、サファイアの時点で難しいということは自衛隊のパワードスーツ部隊もまた正面戦力として考えるのは難しい、ということになる訳で……。

 もちろん、自衛隊もやろうと思えばバリアを突破できる武装はあるにはある。しかし、そうなると次は火力過多となり市街に被害を及ぼす可能性が高い。

 流石にそんなものを街中で使えるわけもなく……。


 結局のところバルドルに負担がいく、という結果になってしまっている。

 唯一、バルドルにとっての朗報は、現時点に於いてもバベルが、怪人たちが姿を表していないことだ。

 この状態でさらにバベルの相手までしていたら完全に戦線崩壊していたことだろう。


「疾ぃ――!」


 ルビーは近くにいた魔物へ足払いを仕掛け転倒させると、そのまま拳を叩き込む。そして止めを刺しつつ、叩き込んだ衝撃で逆立ちになると腕力のみで跳躍。空中に躍り出ると近くの魔物に向けてドロップキック!

 ドロップキックが当たった魔物と、その付近にいた魔物たちをまとめて吹き飛ばしていく。

 だが、それでも続々と補充されていく魔物に、さしものルビーも少しづつ疲労が蓄積されていく。


「くっ……!」


 額から流れる汗を拭うルビー。

 そんな彼女のもとへ、魔物たちは好機とばかりに殺到する。


「……っ、この――!」


 魔物に囲まれつつも抵抗するルビー。しかし、多勢に無勢。少しづつ、少しづつ包囲が狭まってきていた。


「このままじゃ……」


 ルビーの顔が苦悶に染まる。いかに彼女が強いとはいえ、完全に囲まれてしまえば抵抗は不可能になってしまう。

 一応、サイキックエナジーを自身中心に放出すれば脱出できるかもしれない。

 しかし、それだって何度も使えるものではない。なんといっても、その方法は半ば超能力を暴走させているのに等しく、サイキックエナジーだけでなく体力をも激しく消耗させてしまうからだ。

 はっきり言って、現状のルビーはじり貧といっても過言ではなかった。


 ――むろん、それは彼女が一人であれば。という前提だが。




 彼女を包囲していた魔物のうち、一部に閃光が奔る。そして、閃光に貫かれた魔物たちは例外なく爆散。

 突如としての奇襲に驚き浮き足立つ魔物たち。そして、助けられた筈のレッドルビーもまた、攻撃を放った人物を見て、驚きをあらわにする。なぜなら、その人物は――。


「チカ――、アクジロー……?!」


 彼女の幼馴染み、池田 盛周であり。同時に秘密結社バベル大首領、アクジロー。彼と以前交戦した時に使用していた刀や銃とはまた別の、大弓を構えた姿で立っていたのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ