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バベル再興記~転生したら秘密結社の大首領になりました~  作者: 想いの力のその先へ
第二部 魔法少女オーラムリーフ 第一章 魔法少女、始めました
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ヒロインの後輩として

 人気がまったくない無人の街で、オーラムリーフは歩夢を守るためバトロイドに突撃する。


「おぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁ――――!」


 まず手始めとばりに目の前にいるバトロイドへ拳を振りかぶると、そのまま叩きつけるオーラムリーフ。しかし――。


「――――痛っぁ!」


 その拳はバトロイドの装甲を砕くことなく、むしろ硬いものへ叩きつけた結果、拳が赤くなり、彼女自身涙目になっていた。

 まさかの事態に、本来自我がない筈のバトロイドも困惑した様子で殴ってきたオーラムリーフを見つめている。


「なんでだよぉ……。ルビー先輩は簡単に砕いてただろぉ」

「そんなの当たり前だもん」


 痛みを払うように手首を振って泣き言をもらすオーラムリーフに、アグは呆れた様子で突っ込みを入れる。


「いくらキミが魔法少女に変身しても、魔法を使わなければ、少し力が強くなっただけの女の子だもん」

「はぁっ……! んなこと、聞いてないんだけど!」

「当然だもん、言ってない――正確に言えば、言わなくても分かってる、と思ってたもん……」


 やれやれ、と頭を振るアグに、オーラムリーフはわなわな、と拳を震わせながら怒りを募らせる。


「そういうことは先に言え!」

「ごめんだもん……」


 オーラムリーフの怒りを受け、流石に悪いと思ったようでアグは素直に謝る。

 そして、代わりと言ってはなんだが、アグはバトロイドを倒す手だてを告げる。


「今まで魔物はあくまで生身だから、殴っててもなんとかなってたもん。でも、相手が鉄の塊なら話は別。武器を使うもん!」

「武器……。ファイアブレイドか!」

「それだけじゃないもん! 今の、多少経験を積んだキミなら遠距離の魔法も使えるようになってる筈だもん!」

「遠距離の、魔法――」


 アグの話を聞いたオーラムリーフは、意識を集中。かつて初めて魔法を使った時のように己の中を見つめる。そして――。


「見えた、これか!」


 彼女はカッ、と目を見開くと認識した魔法を発動するため、バトロイドの足元に魔力を送り込む。


「――フレア、ピラー!」


 瞬間、バトロイドの足元から爆発したかのように炎が噴き上がる。まさしくそれは炎の柱だった。

 足元から強火で焙られることになったバトロイドは、その火力に耐えきることが出来ず火花を散らし爆散する。

 バトロイドを撃破することに成功したオーラムリーフは、満面の笑みを浮かべ嬉しさを隠すことなくガッツポーズ。


「よっしゃ!」

「オーラム、喜ぶのはまだ早いもん! 他にもいっぱい!」


 同型機が撃破されたことで、バトロイドたちはようやくオーラムリーフを敵と認識。あるものはライフルで、あるものは腕を砲に変形させて攻撃を始める。


「うわわっ――!」


 銃弾、砲弾の雨を慌てて回避するオーラムリーフ。いくら彼女が魔法少女のコスチュームをまとっているとはいえ、本来魔物や魔人たちと戦うための装備であり、完全物理攻撃に対する耐性は低いことから、当たればそれなり以上のダメージになる。

 だからこそ彼女は防御ではなく回避を優先した。しかし、このまま鉛弾の雨にさらされた状態ではじり貧。なんとか、解決策を見出ださなければならない。


「なら、次はこれだ! ――ファイア、ドライブ!」


 彼女の呪文とともに、今度は炎の槍がバトロイドに飛翔!

 対象を串刺しにすると、槍が光り、そのままバトロイドごと爆発する!


「うしっ、次!」


 新たに一体撃破したオーラムリーフは、次の敵を見据える。

 だが、その間にもバトロイドたちが放つ火線は濃密になり――。


「ちょっ……! 流石にこれはまずいか?!」


 身を捻り、踊るようにステップを踏むことで、なんとか回避しているオーラムリーフ。しかし、あまり回避ばかりだと近くにいる歩夢に流れ弾がいく可能性がある。ならば――。


「こういう時は、躱すんじゃなくて防ぐ! ――ファイアウォール!」


 彼女の前に突如として現れる炎の壁。その壁に阻まれ銃弾は溶け、砲弾は爆発する。

 そして壁に阻まれたことと、炎の槍で撃破されたことで遠距離戦が不利だと判断したのか、バトロイドたちは散開してオーラムリーフへ近づいてくる。……接近戦こそ、彼女のもっとも得意とする戦場だと気付かずに。


 オーラムリーフもまた、バトロイドたちが行動ルーチンを変えたことに笑みを浮かべる。

 彼女にとって、もっとも避けたかった事態が遠距離戦で、じわり、じわりと削られることだったからだ。


「ファイア、ブレイド! 行くぜっ!」


 彼女は炎の剣を創造すると、不用意に近づいてきたバトロイドに斬りかかる。

 斬りかかられたバトロイドは腕を翳すことで防ごうとするが。


「そんなんで、止まるかよっ!」


 ――斬!


 気合い一閃!

 彼女は防御の上からバトロイドを叩き斬る!

 そして追撃とばかりに、今度は横薙ぎ一閃!

 あわれ、バトロイドは四分割にされ破片を辺りに撒き散らして爆発する。


 さらにオーラムリーフは魔力で強化した脚で次々とバトロイドたちを切り裂いていく!


「――これでぇ!」


 そして最後のバトロイドを切り裂き、彼女は炎の剣を払う。それと同時にすべてのバトロイドは爆発!


「よしっ、見たか!」


 彼女はバトロイドたちとの戦いに勝利したことを確信し、勝鬨をあげた。だが――。


「なるほど、大首領が気になさる訳だ」

「誰だ――、なっ……!」


 突如として聞こえてきた声にオーラムリーフは反応する。そして、その姿を見て驚愕する。なぜなら彼女は声の主を知っていたからだ。

 奴らの名は――。


「ガスパイダー、サモバット……!」


 秘密結社バベルが活動開始した初期から存在する怪人、ガスパイダーとサモバット。彼女の先輩となるレッドルビー、ブルーサファイアと何かと縁のある怪人たちだ。

 さらには――。


「ふしゅるるる……。貴様がバルドルに現れた新たなヒロインか。ならば、貴様を倒せば俺様も大首領から覚えがめでたくなるというものよ!」

「烏賊の、怪人……?!」


 それは、オーラムリーフにも見覚えのない怪人だった。

 それもその筈、新たに現れた怪人はシャークマーやロブラスターと同じく、新規製造された怪人なのだから。

 その怪人の名は……。


「俺様の名は、エレキクラーゲン! 貴様を倒すものだぁ!」


 そう言って烏賊と人間が合体したような怪人。エレキクラーゲンは触腕に電流を流しながら高らかに宣言するのだった。

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