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四天王対決

 期せずして四天王同士の戦闘となったレオーネと楓。しかもレオーネはともかくとして、楓は遠慮どころか積極的に攻撃を仕掛けている。

 もちろん、その結果としてバルドルからレオーネに対する疑いが抱かれにくくなるというプラスはあるものの、楓としてはそのような意図はなく、単純に今までレオーネにあった不満が爆発。制裁のために攻撃しているのが事実であった。


「……おぉぉぉぉ――!」

「ちょっ、流石にハッスルしすぎじゃない?!」


 楓、オニキスの一切躊躇しない拳撃に、レオーネは軌道を予測し、手を這わせることで外へ受け流していた。

 だが、オニキスとしてはそれが挑発行為に写ったようで、攻撃のさらなる激化に繋がっていた。


「この、いい加減――食らえよ!」

「そんなこと言われても……!」


 渾身のストレートを叩き落とし、上段回し蹴りをスウェーで回避。足払いも跳躍することで難を逃れるレオーネ。

 端から見れば、それは回避するのに手一杯にも、あるいはオニキスに対して攻撃のやり方を指導しているようにも見えた。

 しかし、レオーネとしてはやはりやりづらいことに変わりはないらしく――。


「……っ、好き勝手してくれちゃって――」


 苦虫を噛み潰したような顔をするレオーネ。このまま手をこまねいても埒が明かず、何らかの突破口を開く必要があった。

 そのためには、やはり自ら動く必要があるわけで……。


「……ええい、ままよ!」


 ついにオニキスへ攻撃するレオーネ。しかし、それでも踏ん切りがつかないのか、彼女が放った拳には覇気がない。

 そんな攻撃がオニキスへ通用するわけもなく。


「甘く見るなぁ――!」


 レオーネとオニキス、二人の拳がぶつかる。ごっ、と重苦しい音を響かせる。が、次の瞬間にはオニキスの拳が競り勝ち、そのままレオーネの胴に――。


「……!」


 ――吸い込まれる前に、間一髪のタイミングで拳を受け止めると、巴投げの要領でオニキスを後ろへ投げ飛ばす。

 投げ飛ばされたオニキスは、空中でくるり。と、一回転すると華麗に着地。即座に構えて追撃に備える。

 そんな行動の素早いオニキスを見て、レオーネは頭を抱えそうになる。

 このままでは千日手だ。それにいくらなんでも、こんな()()戦いを続けていたら疑われる可能性もでてくる。なら――。


「……本気で行く。公開しないでよね」


 そう言うとレオーネは飛ぶように駆け、オニキスの懐へ飛び込むと――。


「やぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「……ぐっ!」


 ――そのままタックルを仕掛け、オニキスを押し倒す。

 そして、押し倒したオニキスに馬乗りになったレオーネは拳を叩き込もうとして。


「舐めるなぁ!」

「……きゃっ!」


 背中にオニキスの蹴りが浴びせられ、馬乗りという形での拘束がとかれる。

 そしてオニキスは逆立ちすると、腕のバネを使いレオーネにドロップキックを仕掛ける。

 流石にその攻撃は想定外だったのか、レオーネは驚気のあまり、行動が一瞬遅れてしまう。そして、その一瞬が明暗を分けた。


「……なっ、ぐっ! ぁ――」


 オニキスの突飛な攻撃に反応できなかったレオーネは、回避どころか防御すら出来ずに直撃を受け吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされたレオーネは受け身を取ることも出来ず地面に叩き付けられた後、二度、三度と転がり停止。

 それでも意識を失わなかったのは流石、としかいいようがない、が。


「……ぐ、ぅ」


 直撃を受けたことでのダメージが響いているのか、レオーネは立ち上がろうとするものの、膝が笑って立ち上がることが出来ない。

 そもそも、レオーネはレッドルビーのような超能力も、ましてやブルーサファイアのようにパワードスーツを着込んでいるわけでもなく、防御力は人並み。

 それゆえ、敵の攻撃は基本回避で、その後に反撃。蝶のように舞い、蜂のように刺す。という言葉がふさわしい戦術が基本だった。

 つまりオニキスの、パワードスーツを着た楓の攻撃を受けるのはレオーネにとって最悪といってよく、現にレオーネの経戦能力は著しく低下したといって良い。

 レオーネ本人もその事に関しては自覚済みであり――。


(……今は、満足に動けるようになるまで、何とか楓の攻撃をやりすごさないと)


 そう考えながらオニキスの、楓の一挙一動を油断なく見つめるレオーネ。

 そんなレオーネに対して、オニキスもまた警戒しながら近づいていくのだった。

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