表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/199

二転三転

 ロブラスターによるハサミの叩き付けを回避したサファイアは、今度はこちらの番。と一息に間合いまで飛び込むと大剣を打ち下ろす!


「はぁっ――!」

「させんわっ……!」


 しかし彼女の一撃は、ロブラスターのカバーに入ったシャークマーに止められてしまう。

 受け止めた時の衝撃は凄まじく、シャークマーの足元は陥没し、砕けたアスファルトが周囲に散乱する。

 ぎちぎち、という音を響かせ大剣と交差した両腕に生えている硬質化したヒレで競り合っていた二人。

 だが、その時間も長くは続かない。


「ぬ、ぅおおおおおお――――!」

「くっ……!」


 シャークマーが気炎をあげるとともに、怪人の膂力を存分に発揮して、サファイアが打ち下ろした大剣を、時を戻すかのごとく打ち上げる。

 その結果、一瞬とはいえサファイアの胴はがら空き、隙だらけの状態となってしまった。

 そして、その状況を。好機を逃さないために動く影が一つ。


「これで――……!」


 ブラックオニキスだ。

 彼女はサファイアの大剣をシャークマーが弾いた瞬間を好機と捉え、即座に動いていた。


 逆に窮地に陥ったのはサファイアだ。

 彼女は直前まで、それこそオニキスが自身の胴に攻撃を叩き込もうとする瞬間まで、接近していることに気付いていなかった。

 しかし、それもある意味仕方なかった。彼女、オニキスは接近する際もサファイアに気取られないため、ロブラスターやシャークマー。怪人たちの身体で己の身を隠すように接近していた。

 そしてシャークマーの後ろに隠れていた、ということは最早サファイアとの距離は目と鼻の先であり、彼女が対応する前に攻撃を叩き込めるのは道理。

 それはいくらブルーサファイアが歴戦のヒロインであったとしても、変わらないことだった。


「しまっ――……」


 オニキスの拳が己の身体に迫る。そのことに目を見開くサファイア。

 防御するにも大剣を、武器を持った両腕は打ち上げられた衝撃ですぐには動かせず。回避するにしても、既に拳が迫ってきている以上手遅れ。

 まさに打つ手なし、といえる状況。それへのせめてもの抵抗とばかりにサファイアは目を閉じ、衝撃に備える。


「……させないよ!」


 せめてのも抵抗とばかりにダメージの覚悟をしていたサファイアであったが、いつまでたっても衝撃が来ない。

 ……そして直前に彼女の耳に届いた聞き覚えのある声。

 それを確認するため、恐る恐る目を開くサファイア。

 そんな彼女の目の前には見たことのある外套。彼女やレッドルビーの先輩に当たる強大な力を持つヒロイン。レオーネがオニキスの拳を防ぐ姿があった。





 オニキスの攻撃を防いだレオーネであったが、その内心では何とか間に合った。と冷や汗を流していた。


(あっぶなぁ……! 下手したら、またご主人さまに怒られるとこだったよぉ……)


 盛周から緊急の連絡を受けたまでは良かったものの、肝心の場所が不明だったため歩夢たちに捜索をお願いし、転送までしてもらったまでは良かったのだが……。

 まさか、現場についた時、既にブルーサファイアがピンチに陥っていたのは想定外だった。

 これがまだ怪人たちだけならば苦戦するにしても、ここまで追い詰められていなかっただろう。

 問題はよりによって――。


(なんでここにいるの、楓ぇ――!)


 まさか、己と同じ大幹部である楓までもが、サファイアの追撃に参加していたことだ。

 そのことに気が動転して、思わず渚。レッドルビーよりも早く動いてしまい、あまつさえ彼女の攻撃を防いで()()()()

 そして、すべてが終わった後にレオーネは知らず、乾いた笑みを浮かべる。……どう考えても、これは面倒ごとになるぞ、と確信して。

 その彼女の確信は現実のものとなった。


「レオォネェェェェェ――! 貴様は毎度毎度、邪魔をしてぇぇぇぇ――!」

「やっば……!」


 やはり、というか。レオーネの予想通り完全にぶちギレていたオニキス。

 彼女はサファイアのことなど知ったことか、とばかりにレオーネへ襲いかかる。


「やはり、貴様を一度シメなきゃならないようだなぁ……!」

「ちょ、ちょいまっ――」


 オニキスは怒りのまま拳を、脚をレオーネに叩き付けるべく打ち込もうとする。


 ――肘打ち、正拳突き、回し蹴り、踵落とし。


 何としてもレオーネに制裁を加えるため、執拗に攻撃するオニキス。

 しかし、レオーネはそのことごとくを紙一重で、最小限の動きで躱し、時には掌や手の甲を使い軌道を変え、受け流す。

 それがオニキスには、楓には必死に回避するまでもない。という挑発のように見えてさらに怒りのボルテージが上がっていく。


「貴様ぁ! 馬鹿にしているのか!」

「いや、ちょっ! そんなつもりじゃ――」

「問答無用!」

「……理不尽!」


 互いに、というよりもオニキスが一方的に罵りながらも攻防を続ける二人。

 オニキスの、楓の憤慨ぶりに気を取られていた怪人たちは、近づいてくるモノに対して反応が遅れてしまう。


「……はぁぁぁぁぁぁぁぁっ――!」

「な、ぁっ――!」

「ごはぁっ!」


 何者かに殴り飛ばされるロブラスターにシャークマー。

 その怪人二体を殴り飛ばした人物はサファイアの隣へ降り立つ。


「無事?! サファイア!」

「なぎ――、ルビー。起きたのね……!」

「心配かけてごめん! でも、もう大丈夫だから!」


 そう言って三人目のヒロイン、レッドルビーはサファイアを守るようにファイティングポーズを取る。

 それに併せてサファイアもまた大剣を構える。ここから反撃だ、というように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ