08 お城
そんなこんなで、もうすぐ家族が三人も増えちゃいそうな我が家。
さすがに今回は、小手先の増築じゃ対応出来そうにないよ。
お引っ越し、真面目に考えなきゃ。
「……」
なんだい、エルミナ。
「カミスはやはり、エルシニアという国は嫌いなのでしょうね」
えーと、好きとか嫌い以前の問題と言いますか、なにしろ城の外のことは何も知らないまま脱出しちゃったし。
エルミナ、もしかして国に帰りたい、のかな。
「クリシア様から、お城で一緒に暮らしませんか、と……」
ということはやっぱり、エルミナは国のお仕事がしたいってことなのかな。
「違いますっ、その、先日クリシア様とお会いした時に、おうちの増築のことをお話ししたら、お城なら広々ですよって……」
えーと、さすがに賃貸代わりにお城に住むのは……
「そうですよね……」
僕が言いたいのは、エルミナがやりたいことがあるなら我慢しないで相談してほしいってこと。
エルシニアの人たちは今でもエルミナが大好きなんだって、このあいだのお芝居で向こうに行ってみてよく分かったんだ。
だから、エルシニアに住みたいなら遠慮なく言ってね。
ちゃんとみんなで相談するから。
「ありがとう、カミス……」
うん、エルシニアに住むこと、ちゃんと考えなきゃね。
でも、さすがにお城はマズいんだよな。
『ゲートルーム』設営場所に関してみんなと相談した時に、
王都城下街ならかまわないけど、王城に直接設置するのはいろいろマズいよねって、
みんなも言ってたし。
そういえば、アランさんとシナギさんのお宅の増築計画、どうなってるのかな。
お話し、聞きに行っちゃいましょうか。