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死を呼ぶ君と恋をする  作者: 鈴香
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第一話

小説初心者ですので読みにくいところや誤字脱字などありましたらすいません。

プロローグの男の子とまた違う女の子のお話です。

名前の読み方です。

音亜:ねあ

空心:そらと

衣空:いあ

鈴那:れな

永笑:とえ

という感じです。

誰よりも命が大切だって思いたかった。死ぬのが怖いことだって、悲しいことだって思いたかった。死にたくないって思いたかった。でもそんなこと思えなかった。命は簡単になくなってしまうから。簡単に守られないものだから。


「嫌な予感がする」ママとパパが帰ってこない。いつもだったら23時をすぎたら家に帰ってくるのにまだ帰ってこない。ライブでも長引いてるのかな。でもそうだったら連絡が来る。家からそう遠くないママとパパが経営してるカフェとライブハウスが融合したお店OurStyle略してアワスタに向かう。こんな時間に家から出るなとは言われるけど何かあってからじゃ遅いしスマホと適当に羽織れるような上着を持って家を出た。

45階建てのマンションの最上階に住んでいるためさすがに階段からは降りようと思わず急いでいるけどエレベーターを使った。少し小走りでマンションを出てライブハウスや楽器屋さんがある地元で音楽の商店街と言われている通りを右に曲がったところにあるアワスタに向かった。

裏口から入ってアルバイトの人用のロッカールームに入る。バイトの人はもういない。当たり前だもう日が変わる手前だ。

ステージなどがあるところに行くと、パパがママに馬乗りになっていた。見ちゃいけないものを見たかと思ったけど明らかに様子がおかしい。

電気がついていなくてお店の入り口から照らす月明かりだけがうっすらと2人を写す。

パパの手元がキラリと光った。私はパパがいつもつけているアクセサリーが光ったのだと思った。いやそれ以外考えたくなかったのだと思う。

パパはママの胸に包丁を突き刺していたのだ。

私はその光景を見た瞬間、体から力が抜けて立っていられなくなってペタンと床に崩れ落ちた。

ぐちゃぐちゃとホラーゲームでしか聞いたことのない人の体を抉る音が聞こえる。

ママがパパにやめてもうやめてと叫んでいる。

「目を覚まして。私よ。ねぇ、空心ねぇ私、、、リリだよ」

お母さんは胸に包丁を刺されたのに、気を失わずにパパを正気に戻そうとしている。

「パ、パパねぇパパ」恐怖でうまく出せない声で、呼び掛ける。

「パパやめて、、、やめて」力が入らなかった体に鞭打って必死に立つ。そして2人の元に寄って、パパの手を握る。パパは泣いていた。ずっと泣いていたのだろうか、グレーの服が血以外で濡れている。力が強すぎて止めれない。

「イヤだよパパお願いもうやめて、ママが、、、マ、マが死んじゃうよ」ママはもう助からないそんなことわかってるでも、でもこれ以上ママを傷付けないで欲しかった。パパは、ママを刺すために挙げたであろう手を下ろして自分の首を切った。血が吹き上がって、パパは倒れる。イヤだ。イヤだイヤだ。

「ママ、パパ嘘だよね。こんなの夢だよね。ねえ、エイプリールフールは、明日だよ。ねぇこんな冗談私が喜ぶとでも思った、お願い返事して。起きて、早く家帰ろうよ2人が帰ってこないからこんな遅いのに1人で家から出てきちゃった。しかってよ、それでそのあと遅くなってごめんって謝ってよ。3人私が真ん中で手繋いで今日一日どんな日だったか話しながら帰ろうよ、ねぇ、、、」さっきまで声が出づらかったはずなのにスラスラと言葉が出てくる。私も死んじゃおうか2人がいないのだったら、どうだっていい。パパが握ってた包丁を手に取った。ママを守れなかった。もっと早くアワスタに来て、パパを止めれれば、私が悪いんだ。2人を守れなかった。私が悪いんだ。私が一番苦しむべきだ。私はそう思って思いっきり自分のお腹に包丁をぶっ刺した。痛い痛い痛い、刺したところからトクトクトクと血が溢れていく。体に流れている全ての血がそこから流れているのではないかというぐらい溢れ出している。だんだんと脈打つようにドックンドックンっと血が溢れ、火傷した時の一瞬の熱さがずっとずっと傷口にある。熱い、痛い、それの繰り返しで苦しい苦しい苦しい。

パパ、ママ助けて。

痛みと熱さで苦しんでいるところで意識が途絶えた。


私は何故か目を覚ました。

私は死んだ。絶対に死んだ。

だってだってあんなに血が出ていたのに。起きあがろうとしたが、腹に激痛が走り、すぐに元の体制に戻る。できるだけ腹に力を入れないようにして起き上がる。見渡すとそこは個室で私の腕には点滴が繋がれている。胸に心電図が付いている。こんなのなんで生きてんだよ、死にたい。死にたかった。

コンコンと部屋のドアがノックされる音が聞こえて、看護師が入ってきた。

「田崎さーん失礼しま、え、田崎さん、目が覚めたんですね。とりあえず先生呼びますね」看護師はポケットからケータイを取り出して電話をし始めた。

「起き上がっていたらお腹痛くないですか、ベッド楽な角度にしますね。このぐらいかな、大丈夫ですか」問いかけにうなづく。またノックする音が聞こえ、白衣を着た男が部屋に入ってきた。

「どうも田崎さんの担当医の山中です。どこか気分が悪いなどあるかな、お腹まだ痛いと思うけど段々と痛みは取れていくよ、臓器も傷ついてなかったし、お腹に傷は残ってしまうけど生活にはそこまで支障はないと思うよ、目を覚ましたしあと2週間ぐらいで退院できるよ。」淡々と説明された。

「そんなことどうだっていい、パパとママがどうなったかだけ教えて、」何日間水を飲まなかったのかわからないけど喉が渇ききっていて声が出しにくいけど、その言葉はすんなりと出た。

「お父さんとお母さんは、、、お亡くなりになられたよ」え、何言ってるの私、私が生きているのになんでパパとママは死んでるの。

「なんで、ゴホ、ゴホ、ひゅっなんでなんでなの私を助ける前に2人を助けてよ、なんで私だけ生きてるのよ」医者の手を取って力一杯に握るそして睨みつけながらそういう。

「落ち着いてください。お父さんとお母さんはあまりにも出血が酷かった。君は包丁が刺さったままだったおかげで生きている。言わば紙一重で生きているんだよ」だから何だ、なんなのよ。ママとパパがいなきゃ意味がないのにどうして私の手から離れていくのよ。医者と看護師から何か言われた気がしたけど、聞く気にならずもう聞いていなかった。

医者と看護師が部屋から出て行って何も考えれなくてただボーッとしていた。目覚めてから何時間ぐらい経ったのだろうか。看護師がお昼ご飯を持ってきた。すると看護師と入れ違いで警察官が来た。当たり前だ。人が2人死んだんだ。そして事件現場にいて、生きている私が話を聞かれるのは当たり前の事だ。「怪我は大丈夫かい、目を覚ましたと聞いてねお話を聞きたいんだいいかな」50歳を超えたぐらいのおじさんが優しい声色で話しかけてくる。

「話すことなんて、何もないですよ」そう言ってさっき持ってきてもらった水を飲む。久しぶりに水を飲んで喉が潤った。

「お父さんとお母さんと、無理心中をしたのかい」単刀直入に聞かれて驚いた。

パパは、あの時泣いていた。それもグレーの服を色を変えるぐらい泣いていた。だからパパは、本当はママを殺したかったわけじゃない。私はそう思っていた。それが事実じゃなくてもパパが罪人になるのは嫌だった。ママは、なんていうかわからない。怒っているかもしれない。パパにちゃんと罪を与えろと。でも私は本当のことを言いたくなかった。「そうです。その日2人が帰ってこなくて、店に向かったんです。そしたらパパが包丁を持っていてママの胸に刺してそのあとパパが自分の首を切った。2人とも泣きながら。ありがとうって、、、いい、ながら。私1人取り残されなくて、包丁を手に取って自分のお腹に刺したんです」話しながら私は泣いていた。

私が泣いているのを見て警察の人は私が話したことを真実だと信じ帰って行った。

帰る時「君の父方のおばさんが君を引き取ってくれるらしい君はまだ成人していない。ゆっくりと休んでゆっくりと自分の人生を歩んでいけばいい」そう言われた。

その日のうちに叔母さんが来て話をされた。「戸籍上あなたを引き取ることにしたけどあなたは今まで通り兄さんと住んでいた家に住んで、学校とかの費用は兄さんとリリさんの遺産で賄えるでしょ。手続きは全部終わってるわ。緊急事態の時しか電話はしてこないで。私にも家族がいるしこっちの生活がある。音亜ちゃんまで見てられないからね。もう高校2年生だし大丈夫でしょ」親戚の集まりの時からずっとイヤな人だった。だから別に今更優しくされたいだなんて思わない。一緒に住もうだなんて思わない。パパとママの一緒に住んでた家に残れるなら十分だ。お金が足りなくなればアルバイトをすればいい。でもそんな心配しなくてもママとパパが作った曲たちが私を守ってくれる。2人の曲は今でもずっと色褪せず人気があるから印税が入ってくる。2人とも歌が上手いのに、歌わず曲を作っていろんなアーティストさんに提供していた。もう一度2人が歌ってるところ、2人の作った曲を聴きたかった。

なんでパパは、あーなってしまったんだろうか。自分の意思じゃなさそうだったから誰かに操られてたのかな。なんてありえないことを考えてまた泣いて泣いて泣いた。


私が退院したのは、2人が死んでから2週間とちょっと経った時だった。まだお葬式も火葬も終わってないらしく叔母さんが早く終わらしたいから早く退院できないかと医者に文句を言っていたらしい。なんて薄情なやつだ。まぁお金をねだらないだけマシか。

お葬式は小さなものにした。2人のお金を使って2人の好きなお花を飾った。少し寂しいものにした。パパとママが死んだことはニュースになっていたみたいでパパとママのマネージャーさんから連絡があった。他にも2人に繋がりのあったアーティストさんからたくさんのメッセージが来た。それに返信する気力もなくただ家に着いて泣いていた。

2人が火葬されて私の知ってる2人は骨になってしまった。骨だ。考えられない。

2人は、もう帰ってこない。

これからどうしよう。経営なんて一切わからない。アワスタをどうやって続けていったらいいんだろう。2人の残してくれた大切なものだ。でもあそこは当分人は入らない。警察の人がいろんな調査のついでに綺麗にしてくれたみたいだがまだ重い空気が漂ってるだろう。

バイトの人たちから連絡があって一旦皆さんアワスタに集まってもらうことにした。明日までゆっくり寝よう。

どうせ今日も悪夢を見るのだろうけど、、、


アラームが鳴った。大好きなアーティストさんの曲。この軽やかなリズムに乗って心も体も動いてくれたらいいのにな。

適当に昨日コンビニで買ってきたツナマヨネーズが具のおにぎりをひとつ食べてアワスタへと向かった。

裏口の鍵を開けて、約3週間ぶりに入る。怖い。ここにきたら思い出がたくさん蘇って2人の面影が頭の中に流れていく。店を見渡すだけでママとパパの思い出が溢れ出して頭がショートしかける。今まではこんな事なかったのに、涙が溢れ出した。ずっとずっと止まらない止めようとしても止まらない。蛇口を無くしてしまった水道みたいにドバーッと涙が出続ける。

なんでだろう毎晩悪夢を見て泣いて、朝起きてリビングに行って2人の匂いがして泣いて、2人の部屋に行って2人が着ていた服を見て泣いて、3人でよく座ったソファに1人で座って泣いて、玄関でいってきます、ただいまと言ったら家に響き渡る私だけの声に泣いて、2人の作った曲を聴いて泣いて。

1日に2人の残していったものを見て何度も泣くのに涙は一生枯れない。こんなみっともない姿で、みんなに会いたくないがしょうがない。アルバイトの人たちが来る時間まであと10分早く泣き止まないと。

ゾロゾロとアルバイトの人たちが来る。全員で15人。みんな揃った。

「皆さん今日は集まってくれてありがとうございます。もうニュースなどで知っていると思いますが田崎 空心と田崎 リリは、死にました。なのでアワスタを続けることが困難となってしまいました。すごく言いづらいのですがアワスタは、私が経営できるようになるまでお休みします。明確に期間が決められず申し訳ないです。こんな自分勝手なこと言っているので辞める方はやめてもらっても大丈夫です」そう言い切る。私は何もできない。だから店を閉めるそれが1番だと思う。「ここにいるメンバー全員辞める気はありません。アワスタで何かあった場合なんでも手伝うのですぐに声かけてください。音亜さんゆっくり休んで、またアワスタを復活させてください。私たちはずっと待ってます」ここの1番古参の那智山がそういう。「なっちのバカ」つい口から出たのはこの言葉だった。私が小6の時から、ここのバイトをしている那智山はとても優しくこんな私とも仲良くしてくれてなっちと呼んでよく遊んでもらっていた。そのほかのメンバーも仲が良くてみんなアワスタが大好きだから残るよと声をかけてくれる。本当にいいのかなと悩みながらも「みんな、ありがとう」と感謝の言葉が口から出ていく。甘えてしまってもいいのだろうかこの思いを私は絶対に無下にしてはいけない。同い年の衣空と鈴那と永笑は、私の手を取って大丈夫だった?と聞いてきた。「電話しても全然出ないしチャット送っても既読すらつかないし心配したんだからね」と鈴那から言われ、ごめんねと謝る。いつもの日常に少しづつ戻りつつあるのに心がずっと追いつかない。でももう前を向いていかなくちゃいけないんだ。

バイトの人たちがみんな帰り衣空と鈴那と永笑のスリーピースバンドSkyのバンド練が始まった。

この3人は、今話題の高校生バンドだ。

SNSでバズってから注目され始めた。

「ここのステージでは当分パフォーマンスできないんだな」ギターの衣空がそう言う。「いつでも練習に使ってよ。ここも使われてた方が嬉しいだろうし、アワスタを再開した時廃墟みたいになってたら誰もきてくれなくなっちゃうからね」パパとママが音楽が好きな人のために作ったのがこの施設だ。だからこそ誰かにずっと使われていてほしい。私はステージ前に一脚の椅子を置きながらパパとママのことを考えた。ここはもう私が持ち主になっている。

「じゃあありがたく使わせてもらうよ」ドラムのシンバルの位置など確認しながら永笑が言う。

「ここで歌うのが1番楽しい。それにSkyの原点はここだしね」鈴那は、マイクスタンドを調節しつつベースを肩にかけてマイクテストをし始めた。

あー始まる。ビリビリとする緊張感がたまらなくて私はライブハウスでやっているライブが大好きだ。Skyの新曲を1番最初に聴けるなんて、私は幸せ者だ。あー生きてる。そう感じる音圧、振動。心地が良くてついリズムに乗って手拍子をしてしまう。曲が終わる、ポロポロと涙が雫となって目から落ちていく。もうパパとママがここで歌っているところを見ることはできないんだ。その事実を突きつけられてしまった。まだここに来ればパパとママがいるんじゃないかと帰ってくるんじゃないかとどこか思っていた。でもここに戻ってくることも返ってくることもなくて、もう会うこともできない。

「は、ちょ音亜どうした」焦った顔でギターを置いて衣空がこっちにくる。他の2人もこっちに来て慰めてくれる。3人は何も言わず私の手を握っていてくれたり背中をささってくれたり頭を撫でてくれたりした。

「ごめんなんか涙出た。あははごめんバンド練続けて」私が落ち着いたのを見てステージに上がり3人は楽器の元に戻ってまた曲を奏で始める。聴いたことのない歌。


"大丈夫だよだなんて言えるかな、あなたの心の中はわからないけどずっとそばにいるよただそれだけは言えるだって君が大切だから"


なんだろ心の奥がポカポカする久しぶりの感覚。

3人はその曲が終わると楽器を片付けてステージから降りた。

「どうだ、最後の曲は3人で作った音亜を元気にするための曲だ」衣空が自慢げな顔で言う。

「私たちができることって言ったら歌を届けることだけだからさだからさこの歌聴いて元気出してよ音亜」泣きそうな声で鈴那が言う。たくさん心配をかけてしまっただろう。1人で悩んで悩んで3人からの連絡に気づいていたのに返信もせず本当にバカだ。

「ごめんなさい。私バカだ。ありがとう、この歌すごく心が温かくなる元気が出るよ。毎日、毎時間、毎分聴く。ありがとう。大好き」 永笑が私の頭をポンポンと叩く。「今回はこれぐらいで許しといてやる次1人で抱え込んだら一日中曲作り手伝ってもらうからな」みんな優しくて大好きな人たちだ。 

頑張らなくちゃいけない。

まだ死んじゃダメってことだよねパパ、ママ。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

一話目は、音亜ちゃんの生い立ちみたいな感じのお話です。次話では、プロローグの男の子と音亜ちゃんが出会うお話にして行きたいなって思っております。次話の投稿までお待ちください。


それぞれの年齢

音亜→18、高校3年生

衣空、鈴那、永笑この3人は、音亜と一緒。

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