美少女サンドウィッチ
「えっ、先輩東河大付属高校だったんですか」
「うん」
「私東高校です」
「あ、そうなんだ」
あのセーラー服がかわいいと、地元の男子高校生の間で超有名な高校だ。
「・・・」
僕はあゆちゃんのかわいいセーラー服姿を想像する。想像しただけで気を失いそうにかわいい。
「電車同じですね」
「えっ、うん」
そういえばそうだった。東河大付属高と東高校は隣りの隣りの同じ町にあり、最寄りの駅が同じだった。よく、電車内とか駅で東高校の生徒を見かけた。
「もしかしたら、一緒に登校できていたかもしれないですね」
「え、ああ・・」
僕は登校拒否の引きこもりだ。それはあり得ない。1しかし、そんなパラダイスな想像はしてしまう。そこにいるあゆちゃんと並んで登校している僕は、恋愛漫画顔負けの完全完璧な幸せの中にいた。
しかし・・、それにしても、なんか話しが弾んでいる。美少女と話が弾んでいる。僕が高校中退と言っても、あゆちゃんは全然気にする風もない。そのまま自然と受け入れてくれている。
「これは夢なのか・・?」
「えっ」
「い、いや、なんでもない」
こんなことが今まであっただろうか。こんな幸せでミラクルなことが今までに・・、
「あった」
「えっ」
あゆちゃんが、突然叫ぶ僕を驚いて見る。
「ヒロシさん」
そして、その時、僕の背後で声がした。振り返ると、そこに愛ちゃんが立っていた。
「わっ」
「なんで、そんなに驚くんですか」
「えっ、いや、決して愛ちゃんのことを忘れていたわけじゃないんだ」
僕はなんか知らんが滅茶苦茶動揺してしまっていた。
「?」
愛ちゃんは、不思議そうに僕の顔を見ている。
「ヒロシさんのライブ終わっちゃったんですね」
「え、ああ、うん」
そういえばそうだった。
「間に合わなかったんだ。残念」
愛ちゃんは心底残念そうに言う。
「う、うん」
だが、僕は間に合わなくてよかったと思った。あの凉美に馬乗りになって殴られている情けない姿は、愛ちゃんに絶対に見られたくなかった。
「ふふふっ」
「ん?」
その時、急に愛ちゃんが、微笑みながら僕のすぐ隣りに寄り添うようにスススっと近寄って来た。
「でも、ヒロシさんに会えてよかった」
「えっ?」
「ふふふっ」
愛ちゃんは意味ありげに微笑んで僕を見る。
「う、うん・・」
やっぱり愛ちゃんはかわいかった。僕は痺れるような幸せを感じる。
「ん?」
すると、そんな愛ちゃんと連動するように、なぜか右側のあゆちゃんも僕にすり寄るようにスススっと近づいて来て僕のすぐ隣に立った。
「ふふふっ」
そして、あゆちゃんも僕を見て意味ありげに笑う。それはもう、二の腕が触れるか触れないかの距離だった。
「えっ?なんで?」
僕は困惑し驚く。
「・・・」
二人の美少女が僕のすぐ隣りに立っている。僕は突然、美少女二人からはさみ込まれた。二人の体温を感じるほどに二人は近い。
「・・・」
右にあゆちゃん、左に愛ちゃん。これ以上ない天国なはずなのに、なぜか僕は、言い知れぬ苦しみを感じていた。
「うううっ」
なんだこのシュチュエーションは・・。
「スーハー、スーハー」
なんだか、息がうまく吸えない。二人のその存在感の迫力が僕を圧迫する。
「うううっ」
あり得ない状況に、僕はどうしていいのか分からず頭も体も固まる。
「スーハー、スーハー」
そして、さらに息が吸えなくなってくる。
「うっ、うううっ」
そして、僕の意識は、真っ白になり、そして、飛んだ。
「ヒロシさん」
「先輩」
最後に、愛ちゃんとあゆちゃんの叫ぶ声だけが聞こえた・・。
ベシッベシッ
何やら、強烈な何かを叩く音と共に、頬の痛みを感じて僕は目が覚めた。
「ん?んん?」
目を開けると凉美が、僕の頬を思いっきり平手打ちしていた。
「い、痛いよ」
「おおっ、目が覚めたか」
「おおっ、目が覚めたかじゃないよ。なんでまた殴ってんだよ」
「お前、大丈夫か?」
凉美が僕の顔を覗き込む。
「えっ?」
僕は辺りを見回す。
「え、ああ、ぼ、僕は一体・・」
なんだか記憶があいまいだった。
「急にバタンて倒れたんですよ。先輩」
あゆちゃんが僕の隣りにしゃがみ込んで言った。
「えっ」
「そうですよ。急にバタンて」
愛ちゃんがその反対側から同じようにしゃがみ込んで言った。
「倒れる前、なんか、蝋人形みたいになってましたよ。先輩」
あゆちゃんが言う。
「・・・」
そうか、二人の天国のような圧迫が、僕のメンタルの限界値を超えて、プレッシャーとなり、僕の脳みそはオーバーロードしてしまったのか。
「ヒロシさん大丈夫ですか?」
愛ちゃんが僕を心配そうに覗き込む。
「う、うん・・」
体は大丈夫だが・・。僕のチキンぶりが二人にもろばれになってしまった・・。しかも、凉美に殴られている情けない姿を愛ちゃんに見られなくてよかったと思っていたのに、結局見られてしまった。
「情けない・・」
僕は自分にがっかりした。




