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転生魔王の英雄譚  作者: 優流
一章
2/7

取引

暗闇。

意識だけは妙にハッキリしているが、手足の感覚は全くない。


「人間」


暗闇から声がした。どこか重々しくて、全身が硬直したように緊張する声だ。


〔誰?〕


「我は魔王。かつて、勇者に滅ぼされたが、間もなく死ぬ貴様の体を使い、復活を果たすためにこうして話しかけている」


〔魔王?復活?意味がわからない。それに死ぬ?誰が?〕


「人間、貴様だ。貴様がもう間もなく死ぬ」


〔死……ぬ……?〕


「そう悲観することはない。貴様は死ぬが、その体は我が貰い受け、有効活用させてもらう。光栄に思うがいい」


話が見えてこない。だが、"彼"の答は決まっている。


〔こんな体で良ければ、どうぞ、使ってください〕


「……ほぅ……随分潔いな」


〔ぼくはずっと臆病で、黒づくめに追われている時もずっと隠れていました。見知った人達が捕まるのを見ているだけで、何も出来なかった。恐くて動けなかった。それだけじゃない。ずっといつ黒づくめが現れるかわからない恐怖で、身動きが出来なかった〕


「過去にも黒づくめに追われたか?」


〔はい。

でも、もう死ぬなら恐くなくなる。だから!!……だから、ぼくの体で良ければ使ってください〕


「……いいだろう。取引成立だ………………貴様、名は?」


〔……"イオ"です〕


"イオ"の体に染み付いていた恐怖心が静かに和らいでいくのを感じた。同時に、妙にハッキリしていた意識もゆっくりと薄れていった。

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