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Scene36 純粋なる星園

「ついにこの魔法を使ったんだね、シルヴァ」


 ステラはシルヴァを純粋な目で見ると、シルヴァはコクリと頷いた。


「この魔法を消し去りたい。きっとこの魔法は、人を傷つけるだけだから」


「ふーん……、いいの? だってこの魔法は、どんな願いも叶えてくれるんだよ」


 リーシャはシルヴァの手をぎゅっと握った。シルヴァが少しびっくりしてリーシャを見ると、リーシャは声を振り絞って言った。


「……願いは、自分で叶えるものだと思うの。自分で叶えないと、何も得られないでしょ?」


 ステラは少し考えるそぶりを見せると、納得したかのように「うんうん」と頷いて、女王を見た。


 女王はただ何も出来ず、三人を見ているだけだった。


「……女王さまは、いいの?」


「……勝手にして、ってかんじよ。あの子達にはもう負かされたし」


「……見た目だと、シルヴァたちの方が傷ついてそうだけど」


「精神がやられたのよ」


 女王がため息をつくと、ステラは軽い足取りで三人の周りをぐるぐる回った。それから三人の真ん中に立って、シルヴァとリーシャの手を取った。


 シルヴァとリーシャは手を繋いでいたから、シルヴァ、リーシャ、ステラが円になった。


 女王はただじっと見ていた。


「よーしっ、じゃあ今からシルヴァの願いを叶えるよ。二人はただこの魔法が消えるように願えばいいから」


 シルヴァが目を閉じると、リーシャもそれを見て目を閉じた。


「この魔法がなくなると、本当に世界が良くなるのかな」



 ステラがボソリと呟いた。



 シルヴァとリーシャが強く願い、ステラは近くの流れ星を捕まえてそっと魔法をかける。




 ガラスの割れる音がして、シルヴァはそっと目を開けた。



 周りの星が次々と粉々になって、星の粉が四人に降り注ぐ。

 綺麗な、いろんな色の粉だった。



「よし、これで魔法は消えたよ。星の子と人間を繋ぐ魔法がね」


 ステラは少し悲しそうに微笑んで、宇宙をそっと小さくした。シルヴァはただ小さく、「ありがとう」と言った。



 今にもステラが消えそうなとき、女王が叫んだ。


「……ねぇ、その、ごめんなさい」


 ステラは目を丸くして女王を見た。


「私、あなたを傷つけた……。友達と離れ離れにして、挙げ句の果てには殺しちゃって。本当に、ごめんなさい」


 ステラは優しく女王を見て、「いいよ」と言った。


「まぁ、ニーと離れ離れになったのは嫌だったけど……。どっちにしろすぐにバイバイしなきゃいけなかったし……。それに……」


 ステラは何か呟いたけれど、それは誰にも聞こえなかった。


 ステラが「じゃあね」と言うと、シルヴァとリーシャ、女王は元の部屋に戻った。



 冷たい部屋は、どこか暖かかった。




「……消えちゃった、私の求めてた魔法が」


 女王がポツリと漏らした。シルヴァはそっと女王に近づいて、側にしゃがみ込んだ。


「今からでも、やり直せるんじゃないかな。国王さまも、きっと、きちんと女王さまを見てくれると思うよ」


 シルヴァが女王をニコッと笑って見ると、女王はクスリと笑った。


「もう手遅れね」


 女王はそう言うと、杖をリーシャに渡した。リーシャは驚いてそれを受け取った。


「……人殺しの女王なんて、存在しちゃいけないもの。私はこのまま消える。どこか遠いところで……」


 女王の目は、どこか遠くを見ていた。


「リーシャ、それ、ミシレーヌに渡しておいてくれる? ……私の大事な姪っ子のあなたに、任せたいの」


 リーシャは首を横に振った。


「ダメです、ご自分で渡してください。私のお母さん、きっとあなたに会いたいと思ってますから。お母さん、あなたを悪者じゃないって言ってたんですよ」


「……あの子がなんと思おうと、関係ないわ。純粋なあの子に、私が会っていいわけないの」



 リーシャが何か言おうとしたとき、扉が大きな音を立てて開いた。


 びっくりしてシルヴァとリーシャが振り向くと、そこには先生とニースヒールが立っていた。


「先生に、ニースヒールさん」


「二人とも、無事だった?」



 傷だらけの先生が二人に駆け寄った。先生は女王をじっと見た。


「どうして、ニースくんもいるの?」


 シルヴァが言うと、先生は女王から目を離して、優しく言った。


「途中で会ったんだ。彼、心配でここまで来たらしくて。……それで、シルヴァたちが少しでも傷つかないように僕と二人であちこちに潜んでいた兵士たちと戦ってたってわけ」


 ニースヒールは、近くにあったステラの亡骸をじっと見ていた。



「……終わったんだね」


 先生が言うと、二人は頷いた。先生は二人の頭を撫でてから、優しく言った。


「ニースヒールさんと、お家に帰ってゆっくりしな。僕はちょっと、話したいことがあるから」


「……うん」


 シルヴァが言うと、リーシャは女王の近くに行った。


「……この杖、お母さんに渡しておきますけど、必ず会いに行ってくださいね。約束です」


 そう言うとシルヴァの近くへ駆け寄った。



 ニースヒールはステラの亡骸を抱えると、シルヴァとリーシャを連れて部屋から出て行った。



 部屋には、フィルと女王の二人だけになった。




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